公開日:2026.07.21
更新日:2026.07.21
ファクタリングの借り換えと乗り換えの違い|ビジネスローン・ABLと手数料見直し

東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。貸金業務取扱主任者。
東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。貸金業務取扱主任者。
ファクタリングの「借り換え」と「乗り換え」は、資金調達方法の変更先が異なります。
本記事でいうファクタリングからの借り換えとは、現在利用しているファクタリングから、ビジネスローンやABLローンなどの融資型ファイナンスへ資金調達手段を変更することです。
一方、ファクタリングの乗り換えとは、現在利用しているファクタリング会社から、HTペイなど別のファクタリングサービスへ変更することを指します。
整理すると、次の違いがあります。
| 区分 | 変更先 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 借り換え | ビジネスローン・ABLローンなど 融資型ファイナンス |
資金調達コストや資金繰りの見直し |
| 乗り換え | HTペイなど 別のファクタリングサービス |
手数料・買取条件・契約条件の見直し |
どちらも資金調達コストを見直す選択肢ですが、契約の仕組み、審査で確認される内容、利用後の資金繰りへの影響は同じではありません。
また、借り換えや乗り換えを行えば、必ず手数料や資金調達コストが下がるわけではありません。
現在の利用条件、売掛債権の内容、返済原資、今後の資金繰りを確認したうえで、自社に適した方法を判断する必要があります。
▼ この記事で分かること
-
基本の違い
借り換えと乗り換えでは、資金調達方法の変更先が異なる -
ビジネスローン
事業資金を借り入れ、元金と利息を分割して返済する融資 -
ABLローン
売掛債権に債権譲渡担保を設定して資金を借り入れる融資 -
HTペイ
他社ファクタリングからの乗り換えに対応する2者間ファクタリングサービス -
判断基準
手数料・資金調達コストを見直せる会社の特徴と選び方 -
審査・必要資料
売掛債権・返済原資などの確認と、契約書・請求書・通帳・決算書など
本記事では、単に「どの方法が安いか」を比較するのではなく、現在の資金繰り、売掛債権、返済原資を踏まえ、どの方法をどの順番で検討すべきかを整理します。
資金調達全体をどの順番で検討すべきかについては、資金調達の順番と判断軸を整理する「ミサカノミクス」で詳しく解説しています。
「現場で使われる言葉をWebでも統一する」「借り換え」と「乗り換え」は、相談現場で混同されることがあります。だからこそ、営業現場とWebで定義を揃える必要があります。
そこで、ファクタリングからビジネスローンやABLローンなどの融資型ファイナンスへ変更する場合を「借り換え」、現在利用しているファクタリング会社から別のファクタリングサービスへ変更する場合を「乗り換え」と整理します。
ファクタリングは借入ではなく売掛債権の売買である
ファクタリングは、一般的な融資とは仕組みが異なります。
一般的な真正ファクタリングは、事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社へ譲渡し、支払期日前に資金化する取引です。
金銭を借り入れる契約ではなく、売掛債権の売買・譲渡として行われます。
そのため、ビジネスローンやABLローンのように、借入金を元金と利息に分けて返済する仕組みではありません。
ファクタリング会社は、売掛先の信用力、請求内容、入金予定日、過去の入金実績などを確認し、審査のうえ買取可否や買取条件を決定します。
主な違いを整理すると、次のとおりです。
| 比較項目 | ファクタリング | ビジネスローン・ABLローン |
|---|---|---|
| 取引の性質 | 売掛債権の売買・譲渡 | 金銭の貸付 |
| 主なコスト | 買取手数料など | 利息、契約費用など |
| 利用後の対応 | 契約に基づく売掛金の引渡し | 元金と利息の返済 |
| 主な審査対象 | 売掛先、債権内容、入金予定日など | 申込企業、資金使途、返済能力など |
ファクタリングには、主に2者間ファクタリングと3者間ファクタリングがあります。
2者間ファクタリングでは、利用会社とファクタリング会社の間で契約を締結し、売掛先から利用会社へ入金された売掛金を、契約に基づいてファクタリング会社へ引き渡す形が一般的です。
一方、3者間ファクタリングでは、利用会社、ファクタリング会社、売掛先の3者が取引に関与し、売掛先からファクタリング会社へ直接支払いが行われる形が一般的です。
いずれの方式も、借入金を返済する取引ではありません。ただし、2者間ファクタリングでは、利用会社が売掛先から受領した売掛金をファクタリング会社へ引き渡す義務を負います。
売掛金を別の支払いに使用してよいという意味ではなく、契約上の取扱いを誤ると重大なトラブルにつながる可能性があります。
また、名称が「ファクタリング」であっても、契約内容や取引実態によっては、実質的な貸付に近い取引と判断される可能性があります。
そのため、サービス名や広告表現だけで判断せず、売掛金が回収できなかった場合の取扱い、買戻し義務や保証責任の有無、違約金、契約解除条件などを契約前に確認することが重要です。
それでも「ファクタリングからの借り換え」と表現する理由
ファクタリングは売掛債権の売買であり、法的には借入ではありません。そのため、借入金を別の融資で返済する一般的な「借り換え」と、厳密には同じ意味ではありません。
一方、資金調達の相談現場では、現在利用しているファクタリングからビジネスローンやABLローンなどへ資金調達方法を変えたいという意図で、「ファクタリングを借り換えたい」という言い方が使われることがあります。
こうした相談の背景には、主に次のような事情があります。
• ファクタリングの利用ごとに発生する手数料負担を見直したい
• 売掛金を繰り返し前倒しする資金繰りから抜けたい
• 売掛金の入金時に精算する資金調達から、分割返済型の融資へ移行したい
• 毎月の返済額や資金調達コストを把握しやすくしたい
つまり、相談者がいう「借り換え」は、ファクタリングに基づく債務を別の借入金で返済するという意味ではありません。
現在の資金調達方法を融資型ファイナンスへ変更し、手数料負担や資金繰りの構造を見直したいという意図を表しています。
現場で使われる言い方と、本記事での意味を整理すると、次のとおりです。
| 借り換え | ファクタリングから、ビジネスローンやABLローンなどの融資型ファイナンスへ変更すること |
|---|---|
| 乗り換え | 現在のファクタリング会社から、HTペイなど別のファクタリングサービスへ変更すること |
こうした実務上の用法を踏まえ、本記事では、ファクタリングからビジネスローンやABLローンなどの融資型ファイナンスへ資金調達手段を変更する場合を「ファクタリングからの借り換え」、利用するファクタリング会社を変更する場合を「ファクタリングの乗り換え」と整理します。
ただし、ビジネスローンやABLローンへ借り換えれば、必ず資金調達コストが下がるわけではありません。融資を受けた後は、契約条件に従って元金と利息を返済する必要があります。
そのため、ファクタリング手数料と融資金利だけを単純に比較するのではなく、毎月の返済額、返済期間、契約に伴う費用、資金使途、返済原資まで含めて判断することが重要です。
給与、仕入代金、外注費、税金、社会保険料などを支払いながら、借り換え後の返済を継続できるかも確認しなければなりません。
次章では、ファクタリングからビジネスローンへ借り換える場合の考え方を整理します。
ファクタリングからビジネスローンへ切り替える場合
ファクタリングの継続利用による手数料負担が重くなっており、毎月の返済原資を確認できる場合は、ビジネスローンへの借り換えを検討する余地があります。
ファクタリングは、売掛債権を支払期日前に売却して資金化する方法です。
一方、ビジネスローンは事業資金を借り入れ、契約で定められた期間に元金と利息を返済する融資です。
ファクタリングからビジネスローンへ切り替えることで、利用のたびに手数料が発生し、将来受け取る売掛金が減少する資金繰りから、返済額と返済期間をあらかじめ確認できる資金調達へ移行できる可能性があります。
ただし、ファクタリング手数料よりビジネスローンの金利が低く見えるという理由だけで、借り換えを判断するのは適切ではありません。
融資へ切り替えた後は、契約条件に従って元金と利息を返済する必要があるためです。
借り換えを検討する際は、次の項目を同じ条件で確認します。
- 実際の受取額
ファクタリングの着金額と、ビジネスローンの融資実行額を同じ金額条件で比較できているか - 資金使途・必要額
何の支払いに、いつ、いくら必要なのかを整理し、過不足のない借入希望額を算定できているか - 返済原資
給与、仕入代金、外注費、税金、社会保険料などを支払った後に、毎月の返済資金を確保できるか - 既存借入
現在の借入返済と、新たなビジネスローンの返済を合わせても資金繰りを維持できるか - 利用期間・返済条件
ファクタリングの利用期間とビジネスローンの返済期間を踏まえ、適切な条件で比較できているか - 総コスト
手数料、利息、契約費用、その他の諸費用を含めた実際の資金流出額を確認できているか - 借り換え後の資金繰り
毎月の返済後も、事業に必要な運転資金を確保できるか
借入希望額は、現在のファクタリング利用額をそのまま基準にするのではなく、借り換えに必要な金額と、給与、仕入代金、外注費、納税などの今後の支払予定を踏まえて算定します。
一方、必要額を超えて借り入れると、返済負担や利息負担が増える可能性があります。資金使途と今後の入出金予定を整理し、必要な金額を過不足なく算定することが重要です。
また、ファクタリングとビジネスローンでは、費用の表示方法が異なります。ファクタリングは買取ごとの手数料、ビジネスローンは金利や返済総額で示されるため、表面上の数字だけを単純に比較することはできません。
短期間のファクタリング手数料を年率換算してビジネスローンの金利と比較する場合も、利用期間や利用回数などの試算条件を明確にする必要があります。重要なのは表示上の料率ではなく、同じ金額と期間を前提とした実際の資金流出額です。
ビジネスローンへの借り換えを検討する際は、現在の収支や返済負担だけでなく、借り換え後の資金繰りまで確認する必要があります。
売上や粗利益が安定し、返済原資・資金使途・返済計画を確認できる状態
本業の赤字が継続し、既存借入の負担が重く、借り換え後の返済原資を説明できない状態
慎重な確認が必要な状態で借り換えだけを進めると、ファクタリング手数料の負担が借入返済の負担へ変わるだけで、資金繰りの問題が残る可能性があります。
その場合は、新たな借入だけで対応するのではなく、固定費、売掛金の回収状況、支払条件、既存借入の返済額なども含めて、資金繰り全体を見直すことが必要です。
貸金業登録事業者であるヒューマントラスト株式会社は、法人向け融資サービス「HTファイナンス」を提供しています。
HTファイナンスでは、無担保・無保証の法人向けビジネスローンを中心に、ファクタリングから融資型ファイナンスへの借り換えにも対応しています。
申込内容、財務状況、資金使途、返済原資、必要書類などを確認し、所定の審査によって融資可否と条件を判断します。
借り換えや融資実行、資金調達コストの低下を保証するものではありません。売掛債権を活用して融資型ファイナンスへ移行する方法には、ビジネスローンのほかにABLローンがあります。次章では、債権譲渡担保を利用するABLローンの仕組みと位置づけを整理します。
ABLローンは債権譲渡担保を使う例外的な融資型ファイナンス
ABLローンは、売掛債権や在庫などの事業資産を担保として活用する融資です。ABLは「Asset Based Lending」の略で、日本語では「動産・債権担保融資」などと呼ばれます。
HTファイナンスでは、無担保・無保証のビジネスローンを前提としています。これに対し、ABLローンは売掛債権に債権譲渡担保を設定するため、同サービスの商品構成の中では「例外的な商品」という位置づけです。
ファクタリングとABLローンは、どちらも売掛債権を活用する点では共通しています。しかし、取引の法的な性質は異なります。
| 比較項目 | ファクタリング | ABLローン |
|---|---|---|
| 取引の性質 | 売掛債権の売買・譲渡 | 売掛債権を担保とする融資 |
| 売掛債権の扱い | ファクタリング会社へ売却する | 債権譲渡担保を設定して融資の担保にする |
| 利用後の対応 | 契約方式に応じて売掛金を引き渡す | 契約に従って元金と利息を返済する |
| 主な審査対象 | 売掛先の信用力、債権内容、入金予定日など | 申込企業の返済能力、売掛債権の内容、入金実績など |
| 主な費用 | 買取手数料など | 利息、契約費用、登記関係費用など |
ファクタリングが売掛債権の売買であるのに対し、ABLローンは売掛債権に債権譲渡担保を設定して資金を借り入れる融資です。
このため、ファクタリングからABLローンへ移行する場合は、ファクタリング会社を変更する「乗り換え」ではなく、本記事では融資型ファイナンスへの「借り換え」と整理します。
ABLローンは、信用力のある売掛先との継続取引があり、売掛債権の発生原因や入金実績を、契約書、請求書、通帳などで確認できる会社にとって検討対象となります。
ただし、売掛債権が存在すれば、すべて融資の担保として活用できるわけではありません。ABLローンでは、売掛債権が実際に発生しているか、入金の可能性を確認できるか、すでに他社へ譲渡・担保提供されていないかなどを確認します。
- 売掛債権の発生原因を示す契約書や請求書を確認できない
- 請求内容と通帳の入金実績が一致しない
- 売掛債権に譲渡制限特約が付されている、または相殺の可能性がある
- すでに他社へ譲渡または担保提供している債権が含まれている
- 売掛先との間で請求内容や支払条件について争いがある
- 特定の売掛先への依存度が高く、入金停止時の影響が大きい
- 借り換え後の返済原資を確認できない
特に、ファクタリングで利用した債権とABLローンの担保対象債権が重なる場合は、対象債権について、既存の買取契約に基づく精算状況や、債権譲渡・担保設定の有無を正確に確認しなければなりません。
二重譲渡や担保の重複を避けるため、現在のファクタリング契約書、債権譲渡登記の有無、対象債権の明細などを整理する必要があります。
既存の債権譲渡関係を整理し、売掛債権をABLローンの担保として活用できる場合は、資金調達コストや月々の資金繰りを見直せる可能性があります。
ただし、必ずファクタリングより低コストになるわけではありません。金利、登記関係費用、契約費用、返済期間、毎月の返済額などを含めた総コストで比較することが重要です。
HTファイナンスのABLローンでは、売掛債権に債権譲渡担保を設定し、融資実行時に債権譲渡登記を行います。
利用可否や融資条件は、対象となる売掛債権の内容だけでなく、申込企業の財務状況、資金使途、返済原資、既存借入、必要書類などを確認したうえで、所定の審査により判断されます。
次章では、融資型ファイナンスへの「借り換え」とは異なる、ファクタリング会社の「乗り換え」について整理します。
他社ファクタリングからHTペイへ変える場合は「乗り換え」
現在利用しているファクタリング会社から、別のファクタリング会社・サービスへ変更することは、一般に「ファクタリングの乗り換え」と呼ばれ、融資型ファイナンスへ変更する「借り換え」とは異なります。
ヒューマントラスト株式会社が提供する2者間ファクタリングサービス「HTペイ」は、法人・個人事業主・フリーランスを対象としています。
売掛先、請求内容、入金予定日、必要書類などを確認し、所定の審査によって売掛債権の買取可否と条件を判断します。
他社ファクタリングからHTペイへ変更する場合も、売掛債権を売却して支払期日前に資金化するという基本的な仕組みは変わりません。変わる可能性があるのは、手数料、買取可能額、契約条件、必要書類、入金までの手続きなどです。
ファクタリングの乗り換えを検討するときは、広告に表示された「最低○%」という手数料率だけで判断しないことが重要です。広告上の最低手数料が、自社の売掛債権にそのまま適用されるとは限らないためです。
現在の契約と乗り換え先を比較する際は、同じ売掛債権・同じ希望金額を前提に、次の点を確認します。
- 乗り換え前に確認したい
4つのポイント - 01最終的にいくら受け取れるか
- 02いつ入金されるか
- 03手続き・契約の変更点
- 04次回以降も同じ条件か
特に重要なのは、表示された手数料率ではなく、最終的に手元へ入る金額です。
たとえば、手数料率が現在より低く見えても、振込手数料や事務手数料などが加われば、実際の着金額がほとんど変わらない場合があります。乗り換え前には、現在の契約と乗り換え先について、売掛債権額、差し引かれる費用、最終着金額を並べて確認することが大切です。
同じ売掛債権の二重譲渡を避けるため、乗り換えの際は、対象となる債権について、既存の買取契約に基づく精算が完了しているか、他社への譲渡や担保設定が残っていないかを確認する必要があります。
もっとも、現在の手数料や契約条件、法人の場合は債権譲渡登記の有無などを、ご自身だけで整理することが難しい場合もあります。HTペイでは、ご提出いただいた契約書、買取明細、入金履歴などをもとに、現在の契約で確認すべき点を一緒に整理します。そのうえで、現在の条件とHTペイでご案内できる条件を比較し、審査のうえ買取可否と条件をご案内します。
現在の契約内容がよく分からない場合でも、分かる範囲の資料からご相談いただけます。
HTペイへの乗り換えによって、手数料や契約条件を見直せる可能性があります。ただし、必ず現在より手数料が下がるわけではなく、買取可否や条件は所定の審査によって決まります。
また、ファクタリング会社を変更しても毎月の資金不足が続く場合は、手数料や契約条件の見直しだけでは根本的な改善につながらないことがあります。その場合は、ビジネスローンやABLローンへの借り換え、売掛金の回収条件、固定費、今後の支払予定なども含めて、資金繰り全体を確認することが重要です。
次章では、借り換えや乗り換えによって手数料や資金調達コストを見直せる可能性がある会社の特徴を整理します。
手数料を見直せる可能性がある会社の特徴
ファクタリングの手数料を見直せる可能性があるのは、売掛先の信用力が比較的高く、売掛債権の発生根拠や入金実績を確認しやすい会社です。
継続的な取引があり、請求書・契約書・通帳の内容に整合性がある場合は、売掛債権の回収可能性を確認しやすく、別のファクタリング会社で条件を再検討できる可能性があります。
また、売上や粗利益が一定程度安定し、毎月の返済原資を確認できる会社は、ファクタリング会社の乗り換えだけでなく、ビジネスローンやABLローンへの借り換えによって、資金調達コスト全体を見直せる場合があります。
ただし、これらの特徴があっても、必ず手数料が下がるわけではありません。
ファクタリングの乗り換えや融資型ファイナンスへの借り換えによって、手数料や資金調達コストを見直せる可能性がある会社の特徴は、次のとおりです。
| 信用力のある売掛先との継続取引がある | 売掛債権の入金可能性を確認しやすく、ファクタリングやABLローンの条件を検討しやすい |
|---|---|
| 請求内容と過去の入金実績が一致している | 契約書、請求書、通帳などから売掛債権の実在性と取引の継続性を確認しやすい |
| 現在の手数料や最終着金額を把握している | 乗り換え前後の条件を比較し、実際に負担が軽くなるか判断しやすい |
| ファクタリングの利用が一時的な資金不足を補う目的だった | 資金不足の原因が解消に向かっていれば、融資型ファイナンスへ移行できる可能性がある |
| 売上や粗利益が一定程度安定している | ビジネスローンやABLローンへ借り換える場合の返済原資を確認しやすい |
| 決算書、試算表、通帳、資金繰り表などを提出できる | 財務状況や今後の入出金を確認し、借り換え後の返済計画を検討しやすい |
| 現在のファクタリング契約を整理できる | 対象債権の精算状況や既存の譲渡・担保設定の有無を確認し、二重譲渡や担保重複を避けやすい |
一方、ファクタリングを毎月の赤字補填に利用している場合や、売上減少・利益不足の原因が整理されていない場合は、ファクタリング会社を変更するだけで資金繰りが改善するとは限りません。
手数料が下がっても、売掛金の前倒しを繰り返す状態が続けば、翌月以降も資金不足が発生する可能性があります。
次章では、現在の状況に応じて、ビジネスローン・ABLローンへの借り換えと、ファクタリング会社の乗り換えのどちらを検討すべきか、判断表を使って整理します。
借り換えと乗り換えの判断表
借り換えと乗り換えのどちらを検討すべきかは、現在の手数料だけでなく、返済原資、売掛債権の内容、ファクタリングの利用目的、今後の資金繰りによって異なります。
現在の状況と、検討しやすい選択肢を整理すると、次のとおりです。
| 現在の状況 | 検討しやすい選択肢 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 売上や粗利益が安定し、返済原資を確認できる | ビジネスローンへの借り換え | 毎月の返済額と、返済後に確保できる運転資金を確認する |
| 継続的な売掛債権と入金実績を確認できる | ABLローンへの借り換え | 対象債権、既存の譲渡・担保設定、返済原資を確認する |
| 融資への移行は難しいが、現在の条件を見直したい | ファクタリングの乗り換え | 最終着金額、入金時期、対象債権の精算・譲渡状況を確認する |
判断の基準は、「融資を利用できるなら借り換え、利用できないなら乗り換え」という単純なものではありません。現在の資金繰り、返済原資、売掛債権の内容、利用中の契約条件を踏まえて判断する必要があります。
また、借り換えと乗り換えは、必ずどちらか一方だけを選ぶものでもありません。短期的にはファクタリングの乗り換えで手数料や契約条件を見直しながら、将来的にビジネスローンやABLローンへの借り換えを目指すなど、資金繰りの状況に応じて順番を設計する場合もあります。
重要なのは、目先の調達額だけでなく、資金調達後も事業に必要な資金を維持できる方法を選ぶことです。
相談前に確認すべき資料
借り換えや乗り換えを具体的に検討するためには、現在のファクタリング契約、対象となる売掛債権、会社の財務状況や資金繰りを確認できる資料をそろえる必要があります。資料が不足していると、現在の手数料負担や契約状況、借り換え後の返済可能性を正確に判断できません。
主に確認しておきたい資料は、次のとおりです。
| 現在のファクタリング契約 | ファクタリング契約書、買取明細書、入金明細、対象債権の精算状況が分かる資料、債権譲渡登記の有無が分かる資料(法人の場合) |
|---|---|
| 売掛債権・取引内容 | 請求書、基本契約書、注文書・発注書、納品書・検収書、売掛先からの入金履歴 |
| 財務状況 | 決算書、試算表、確定申告書、事業用口座の通帳・入出金明細 |
| 既存借入・支払予定 | 借入金返済予定表、税金・社会保険料の納付状況、給与・仕入れ・外注費などの支払予定 |
| 今後の資金繰り | 月次資金繰り表、今後3か月から6か月程度の入出金予定 |
ファクタリングの乗り換えでは、現在の契約書や買取明細を確認し、手数料率だけでなく、差し引かれた費用と最終的な着金額を把握することが重要です。
また、同じ売掛債権の二重譲渡を避けるため、乗り換えの対象となる債権について、既存の買取契約に基づく精算が完了しているか、他社への譲渡や担保設定が残っていないかを確認します。
ビジネスローンへの借り換えでは、決算書や試算表、通帳、既存借入の返済予定などから、借り換え後の返済原資を確認します。
ABLローンを検討する場合は、これらに加えて、担保として活用する売掛債権の発生根拠、入金実績、既存の債権譲渡や担保設定の状況を整理する必要があります。
必要資料は相談前にそろえ、案件に応じて追加資料を準備します。
次章のFAQでは、ファクタリングの借り換えと乗り換えの違い、ABLローンとの違い、手数料が必ず下がるのかといった、よくある疑問を整理します。
FAQ|ファクタリングの借り換え・乗り換えに関するよくある質問
ファクタリングからの借り換えとは何ですか。
現在利用しているファクタリングを前提に、ビジネスローンやABLローンなど融資型ファイナンスへ資金調達手段を切り替えることです。
ファクタリングの乗り換えとは何ですか。
現在利用している他社ファクタリングから、HTペイなど別のファクタリングサービスへ切り替えることです。
ファクタリングは借入ではないのに、なぜ借り換えと表現するのですか。
法的には借入ではありませんが、資金調達手段をファクタリングから融資型ファイナンスへ変更する意味で、当社では借り換えと整理しています。
ABLローンは無担保・無保証ですか。
ABLローンは売掛債権等を活用するため、債権譲渡担保を設定する例外的なファイナンスです。無担保・無保証ビジネスローンとは分けて説明します。
HTペイに乗り換えると必ず手数料は安くなりますか。
必ず安くなるとは限りません。売掛先、請求内容、入金予定、必要書類等を確認し、審査のうえ買取可否・条件をご案内します。
借り換えと乗り換えのどちらを選べばよいですか。
ファクタリングから融資型ファイナンスへ切り替えるなら借り換え、ファクタリング会社を変更するなら乗り換えです。どちらが適しているか分からない場合は、資金繰り全体の状況を確認することが重要です。
まとめ|高コスト調達を続ける前に、借り換え・乗り換えの両方を確認する
ファクタリングからビジネスローンやABLローンなどの融資型ファイナンスへ変更することが「借り換え」、現在利用しているファクタリング会社から別のファクタリングサービスへ変更することが「乗り換え」です。
ファクタリングの手数料負担が重くなっている場合でも、借り換えと乗り換えのどちらが適しているかは、会社の状況によって異なります。
毎月の返済原資を確認できる場合は、ビジネスローンへの借り換えを検討できます。継続的な売掛債権があり、債権の発生根拠や入金実績を確認できる場合は、ABLローンも選択肢となります。一方、融資への移行が難しい場合でも、ファクタリング会社を乗り換えることで、手数料や契約条件を見直せる可能性があります。
ただし、借り換えや乗り換えによって、必ず資金調達コストが下がるわけではありません。現在の手数料率だけで判断せず、最終的な着金額、金利、諸費用、返済期間、毎月の返済額、借り換え後の資金繰りまで含めて比較することが重要です。
また、ファクタリングを毎月の赤字補填に利用している場合は、利用する会社や資金調達方法を変更するだけでは、資金不足が繰り返される可能性があります。その場合は、売掛金の回収条件、固定費、既存借入、今後の支払予定なども含めて、資金繰り全体を見直す必要があります。
高コストの資金調達をそのまま続ける前に、まず現在の契約内容と資金繰りを整理し、借り換えと乗り換えの両方を比較してください。重要なのは、目先の調達額だけでなく、資金調達後も事業に必要な資金を維持できる方法を選ぶことです。
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