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公開日:2026.07.01

更新日:2026.07.01

部門収益最大化支援の実績|保守費・歩留まり・不良率をPLに接続すべき理由

製造現場を背景に、部門収益最大化支援の実績と保守費・歩留まり・不良率をPLに接続する考え方を示したアイキャッチ画像
三坂 大作
執筆・解説三坂 大作
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役

東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。貸金業務取扱主任者。

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東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。貸金業務取扱主任者。

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▼ この記事で分かること

  • 記事の主題
    製造業の現場改善を部門PLへ接続し、経営判断できる資料へ変える支援
  • 重要指標
    保守費・歩留まり・不良率が部門収益に与える影響
  • 整理の順番
    PLから現場原因へ戻し、改善計画へつなぐ考え方
  • 実務上の学び
    現場の勘を否定せず、自社で何を先に確認すべきかの判断軸

製造業における収益改善は、現場の努力だけで完結するものではありません。工程改善、設備保守、品質管理、歩留まり改善など、現場での取り組みはもちろん重要です。

しかし、それらが部門PL(部門別損益)のどの項目に影響しているのかを整理できなければ、改善活動は「現場では頑張っているのに、経営上の効果が見えにくい取り組み」になってしまいます。

本件の支援範囲は、工場改善そのものではありません。現場改善に強い専門コンサルティング会社が工場運営の改善を担い、本支援では、部門PLの検証、財務上の問題点の抽出、現場原因への翻訳、改善計画の数値化を行いました。

つまり本件の本質は、現場改善を、部門収益を最大化するための経営管理資料へ変換した点にあります。関連する支援事例は、資金調達・経営改善支援の実績一覧でも確認できます。

ご相談時の状況:現場は稼働しているのに、部門収益が見えにくい状態だった

結論:現場は稼働していたものの、利益率低下の原因が保守費・歩留まり・不良率のどれにあるかを経営側が判断できない状態でした。

対象となったのは、価格競争の影響を受けやすい部材を継続的に生産する製造部門です。会社名、所在地、具体的な製品名は伏せますが、同様の構造は多くの製造業に見られます。

販売単価を簡単には引き上げにくい一方で、原材料費、設備保守費、不良ロス、歩留まりの悪化は収益を圧迫しやすい。さらに、生産ラインは簡単に止められず、現場では日々の稼働を維持することが優先されていました。

当時の現場には、担当者の経験や勘に支えられた判断が多くありました。

現場で日々問われていた判断
  • どのタイミングで設備を止めるべきか
  • どの工程で不良が出やすいか
  • どの程度の材料ロスを許容範囲と見るべきか
  • 保守を先送りしてよいのか、早めに対応すべきなのか

こうした判断は、現場運営には欠かせないものです。しかし、それが経営側に伝わるときには、必ずしも部門PLと結びついた形になっていませんでした。

そのため経営側から見ると、利益率が低下していることはわかっても、その原因が保守費の増加なのか、歩留まりの悪化なのか、不良率の上昇なのかを判断しにくい状態だったのです。

表面的な課題:生産性向上をしなければ部門収益が悪化する構造だった

結論:価格圧力の強い部門では原価率の悪化が利益を大きく削るため、生産性向上が収益維持の前提になっていました。

当初見えていた課題は、生産性を向上させなければ部門収益が悪化する、というものでした。

価格圧力の強い製造部門では、売上が一定程度維持されていても、原価率が少し悪化するだけで利益は大きく削られます。特に、保守費の増加、歩留まりの悪化、不良率の上昇は、部門PLに直接影響します。

保守費が増えれば、製造コストは重くなります。歩留まりが悪化すれば、同じ材料を投入しても製品化できる数量が減ります。不良率が上がれば、材料ロス、再加工、検査、納期対応などの負担が増えます。

こうした要因が複合すると、現場は忙しく稼働しているにもかかわらず、利益が残りにくくなります。

ただし、ここで注意すべきなのは、「現場が頑張っていないから利益が出ない」という話ではないことです。むしろ現場は、限られた条件の中でラインを止めないように努力していました。

問題は、その努力が部門収益にどう反映されているのかを、経営側が判断できる資料になっていなかったことでした。

本当の論点:保守費・歩留まり・不良率がPLと接続されていなかった

結論:保守費・歩留まり・不良率という現場指標が部門PLと接続されておらず、暗黙知を経営の数字へ翻訳する必要がありました。

本件で重く見た論点は、保守費、歩留まり、不良率という現場指標が、部門PLと十分に接続されていなかった点です。

保守費は、単に多ければ悪いというものではありません。必要な保守を行わなければ、短期的には費用を抑えられても、中期的には設備停止や大規模修繕につながる可能性があります。

歩留まりも同じです。歩留まりの悪化は、材料費の増加だけでなく、生産計画、在庫、納期、品質管理にも影響します。

不良率についても、不良品の数量を見るだけでは不十分です。不良がどの工程で発生しているのか、それが再加工で吸収されているのか、廃棄になっているのか、納期対応に影響しているのか。そこまで見なければ、PL上の影響は把握できません。

現場指標は、単独で見るものではありません。部門PLと結びつけて初めて、経営判断に使える情報になります。本件で必要だったのは、現場の暗黙知を、経営が管理できる言葉と数字に置き換えることでした。

先に整理した判断軸:PLから現場原因へ戻す

結論:作業項目からではなく部門PLから問題を確認し、現場原因へ戻して改善計画へつなぐ往復作業が出発点でした。

本件では、まず部門PLを検証することから始めました。見るべき順番は、現場の作業項目からではありません。最初に、部門PL上のどこに問題が出ているのかを確認したうえで、その問題を現場の事象へ戻していきました。

部門PLと現場指標を接続するための確認表
現場指標 PL上で確認すること 現場で確認すること
保守費 増加の程度と製造コストへの影響 計画的な保守によるものか、突発的な修繕によるものか
歩留まり 悪化が原価率に与える影響 材料・工程管理・設備状態のどこに原因があるか
不良率 材料ロスや再加工負担への波及 特定工程の偏り・検査基準・作業条件のばらつき

財務数字だけを見ても答えは出ません。反対に、現場だけを見ても経営判断にはなりません。PLから現場原因へ戻し、現場原因から改善計画へつなげる。この往復作業こそが、本件における支援の中核でした。

なぜ改善計画の数値化を優先したのか

結論:改善対象が多いため、PLを起点に収益を最も圧迫する論点を特定し、改善の優先順位を数値で示す必要がありました。

本件で改善計画の数値化を優先したのは、改善すべき項目が多すぎたからです。製造現場には、保守計画、工程管理、品質管理、歩留まり管理、段取り、在庫、検査、人員配置、生産計画など、見直しの対象が広範囲に及びます。

しかし、すべてを同時に改善することはできません。特に、ラインを止めにくい工場では、改善活動そのものが生産に影響します。改善の順番を誤れば、現場負担が増え、かえって収益改善が遅れる可能性もあります。

そのため、まず部門PLを起点に、どの問題が収益を最も圧迫しているのかを整理する必要がありました。保守費なのか、歩留まりなのか、不良率なのか。あるいは、それらが複合して収益を押し下げているのか。

この整理を行うことで、現場改善会社が実行する施策と、経営側が期待する収益効果をつなぐことができます。改善計画の数値化とは、単なる資料作成ではありません。現場改善を、経営判断に耐える計画へ変える作業です。

支援内容:現場改善会社との役割分担と財務面からの検証

結論:現場改善は専門会社が担い、本支援ではPL検証と改善効果の数値化を通じて、現場の施策をPL上の改善項目へ変換しました。

本件では、現場改善に強い専門コンサルティング会社が、工場運営の改善を担当しました。工程管理、作業手順、設備保守、品質管理、生産計画など、現場レベルでの改善は、専門コンサルティング会社が担う領域でした。

一方で、本支援の中心は、財務面からの検証と、改善効果の数値化でした。まず、部門PLを確認し、収益悪化の要因を分解しました。特に、保守費、歩留まり、不良率を重点項目として確認しました。

次に、それらの数値が、現場のどの工程、どの管理項目、どの判断に起因しているのかを整理しました。そのうえで、現場改善会社が提示する改善施策が、部門収益にどのような影響を与えるのかを検証しました。

保守計画を見直すことで、突発修繕や停止リスクをどの程度抑えられるのか。歩留まりを改善することで、材料ロスや原価率がどの程度改善するのか。不良率を下げることで、再加工、廃棄、検査負担、納期対応にどのような影響があるのか。

このように、現場の改善項目をPL上の改善項目へ変換することで、改善計画は単なる現場指導ではなく、部門収益最大化の提案になっていきました。

現場の勘を否定せず、経営管理へ接続する視点

結論:現場の経験を否定せず、暗黙知を部門PL・改善項目・数値計画へ落とし込むことで、工場改善を収益提案に変えました。

本件で重要だったのは、現場担当者の経験を否定しなかったことです。製造現場では、長年の経験がなければ判断できないことが多くあります。設備の癖、工程の状態、作業者の熟練度、材料の扱い、納期対応など、数字だけでは見えない情報もあります。

しかし、それをすべて「勘」のまま残してしまうと、経営管理には使えません。担当者が変われば判断も変わり、改善効果も検証しにくくなります。

本件で重視したのは、現場の知見を尊重しながら、それを部門PL、改善項目、数値計画へ落とし込むことでした。

三坂大作
執筆者|三坂のコメント現場の努力を、経営が判断できる数値に変える。部門PLの問題を、現場が動ける改善項目へ戻す。この往復ができて初めて、工場改善は部門収益最大化の提案になります。

結果と今後の課題

結論:改善計画は作って終わりではなく、月次でPLと現場指標のズレを検証し修正し続けることが収益改善につながります。

この支援により、工場改善の論点を、現場の勘や経験だけに依存する状態から、経営側が確認できる改善計画へ整理することができました。

保守費、歩留まり、不良率を中心に収益悪化要因の見える化が進み、改善施策の優先順位を説明しやすい状態になりました。また、現場改善と部門PLの関係が整理されたことで、経営側と現場側の会話も、感覚論ではなく数値を前提に行いやすくなりました。

もっとも、これで課題がすべて解決したわけではありません。今後の課題は、改善計画を一度作って終わりにせず、月次で実績を確認し、PLと現場指標のズレを継続的に修正していくことです。

特に、ラインを止めにくい工場では、保守、品質、歩留まり、稼働率、納期のバランスを継続的に見なければなりません。改善計画は、作った瞬間に価値が出るものではありません。運用し、検証し、修正して初めて、部門収益の改善に結びつきます。

同様の会社が確認すべきこと

結論:価格圧力の強い会社はまず部門PLと現場指標がつながっているかを確認し、収益への影響が大きい論点から見るべきです。

価格圧力が強く、生産性向上が収益維持に直結する会社は、まず部門PLと現場指標がつながっているかを確認すべきです。確認すべき論点は、次の5点に整理できます。

  • 01保守費は計画的な費用か、突発対応による費用か
  • 02歩留まりの悪化はどの工程で起きているか
  • 03不良率を単なる品質問題として見ていないか
  • 04管理資料が担当者の経験に依存しすぎていないか
  • 05改善計画が月次で検証できる形になっているか

第一に、保守費が計画的な費用なのか、突発対応による費用なのかを分けて見る必要があります。保守費が増えていても、それが将来の停止リスクを抑えるための計画的な支出であれば、単純に削減すべきとは言えません。

反対に、保守の遅れが突発修繕を増やしているのであれば、費用削減ではなく保守計画の再設計が必要です。

第二に、歩留まりの悪化がどの工程で起きているのかを確認する必要があります。歩留まりは、材料費だけの問題ではありません。工程管理、設備状態、作業条件、品質基準、生産計画と関係します。原因を特定しなければ、改善策は表面的なものにとどまります。

第三に、不良率を単なる品質問題として見ないことです。不良率の上昇は、廃棄、再加工、検査負担、納期遅延、顧客対応に波及します。PL上では見えにくい負担も含めて、収益への影響を確認する必要があります。

第四に、現場の管理資料が担当者の経験に依存しすぎていないかを確認することです。経験や勘は重要です。しかし、それが資料化されていなければ、改善効果の検証も、次世代への引き継ぎも難しくなります。

第五に、改善計画が月次で検証できる形になっているかを確認することです。計画を作るだけでは不十分です。実績との差異を確認し、現場に戻し、再度修正する仕組みが必要です。

実務上の注意点:現場改善を一般論で処理してはいけない

結論:工場改善は一般論で処理できず、現場の事象とPL上の表れのズレを順に整理しなければ部分最適に陥りやすくなります。

工場改善は、一般論だけでは処理できません。同じ製造業でも、製品特性、設備構成、稼働時間、受注形態、在庫負担、価格交渉力、保守体制、人員構成によって、見るべき論点は変わります。

特に、ラインを止めにくい工場では、単純な効率化だけを追うと危険です。保守を後回しにすれば、短期的には稼働を維持できます。しかし、中期的には設備停止や大規模修繕のリスクが高まることがあります。

反対に、保守を厚くしすぎれば、短期の生産量やコストに影響する可能性もあります。

歩留まりや不良率についても同じです。現場に改善を求めるだけでは不十分であり、それがPL上でどの程度の効果を生むのか、いつ効果が出るのか、どの指標で確認するのかを整理する必要があります。

現場改善と部門PLは切り離さない

現場で何が起きているのか。PL上ではどう表れているのか。そのズレをどう埋めるのか。この順番で整理しなければ、改善活動は部分最適になりやすくなります。だからこそ、現場改善と部門PLを切り離してはいけません。

よくある質問(FAQ)

結論:部門収益の改善では、現場改善そのものよりも、現場指標をPLと接続して経営判断できる状態にすることが重要です。

Q部門PLと現場指標をつなぐとは、どういう意味ですか?
A保守費、歩留まり、不良率などの現場指標が、原価率、製造コスト、材料ロス、再加工負担などのPL項目にどう影響しているかを整理することです。現場の状況を経営側が判断できる数字へ変換することで、改善の優先順位を決めやすくなります。
Q保守費は少ない方がよいのでしょうか?
A必ずしもそうとは限りません。必要な保守を先送りすれば、短期的には費用を抑えられても、中期的には設備停止や大規模修繕につながる可能性があります。保守費は、単純な削減対象ではなく、計画的な支出か突発対応かを分けて見る必要があります。
Q現場の勘や経験は、経営管理では不要になるのでしょうか?
A不要になるわけではありません。製造現場では、経験や勘が重要な判断材料になる場面があります。ただし、それを勘のまま残すのではなく、部門PL、改善項目、数値計画へ落とし込むことで、経営判断や改善効果の検証に使いやすくなります。

まとめ:現場改善は、経営が判断できる数字に変えて初めて機能する

結論:現場改善は否定するものではなく、経営が判断できる数字へ翻訳して初めて部門収益最大化の提案として機能します。

本件は、工場の生産性向上を、単なる現場改善ではなく、部門収益を最大化するための経営管理へ接続した支援事例です。重要なのは、現場改善を否定することではありません。現場改善を、経営の言葉に翻訳することです。

部門PL上でどこに問題が出ているのか。その問題は、保守費、歩留まり、不良率のどこに起因しているのか。現場の判断や暗黙知を、どのように改善項目と数値計画へ変えるのか。改善後は、どの指標を月次で確認し、どのように修正していくのか。

この順番で整理できれば、現場改善は単なる努力目標ではなく、経営判断に使える改善計画になります。

製造部門の収益改善を考える会社にとって大切なのは、改善しやすい場所から手をつけることではありません。

まず、部門PLと現場指標をつなぎ、収益に最も影響している論点から確認することです。その整理があって初めて、現場の知見は経営判断に活かされ、改善活動は部門収益最大化の提案へ変わります。

MISAKANOMICS — NEXT STEP
部門収益を見直すなら、まず『数字のつながり』を整理する

保守費・歩留まり・不良率などの現場指標が、部門PLにどう影響しているのか。

改善計画を作る前に、収益構造・資金繰り・説明資料の順番を整理することが重要です。

金融機関への説明や今後の資金調達を見据える場合も、まず全体像の確認から始める必要があります。


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本記事は、当サイトのコンテンツポリシーに基づき、ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・三坂大作が執筆・監修しています。実在の支援事例をもとに、守秘義務に配慮して一部情報を匿名化・抽象化し、事業計画策定支援と資金調達判断の実務論点として整理しています。

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