ファクタリング

公開日:2025.09.12

更新日:2026.06.17

ファクタリング手数料の相場【2026年最新】2社間・3社間の仕組みと節約法

監修者三坂 大作

監修者・三坂大作からの一言

ファクタリングの手数料を年利換算すると、2社間で手数料10%なら実質年利120%超になります。緊急時の「つなぎ」として使うのは有効ですが、継続利用は財務を確実に悪化させます。本記事では30年以上の金融実務の経験をもとに、手数料の実態と「いつ・どう使うべきか」を正直にお伝えします。

ファクタリング手数料の相場は、2社間で公表幅5〜18%・実態として6〜15%に落ち着くケースが大半、3社間で公表幅1〜9%・実態として1〜8%が大半です(HTファイナンス調べ・2026年6月)。本記事では手数料の仕組みから安く抑える方法、悪質業者の見分け方まで網羅的に解説します。

  • ファクタリングの仕組みと2社間・3社間の違い
  • 手数料の相場と計算シミュレーション
  • 手数料を安く抑える具体的な方法
  • 利用時の注意点・よくある疑問への回答

この記事を読み終える頃には、ファクタリングが自社にとって本当に有効な選択肢かどうかが明確になり、いますぐ何をすべきかが具体的にわかるはずです。

CONTENTS

ファクタリングとは?基本の仕組みと日本での利用状況

ファクタリングとは、会社が保有する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、売掛債権の期日より前に現金化できる資金調達方法です。融資ではなく「債権の売買」であるため、返済義務がなく担保・保証人も不要という点が最大の特徴です。

ファクタリングは16世紀のイギリスで生まれ、20世紀にアメリカで普及し、1970年代に日本に取り入れられました。当時の日本では手形を使った商取引が主流だったためファクタリングはなかなか普及しませんでしたが、バブル崩壊をきっかけに手形の利用が減少し、売掛債権を現金化する手段としてファクタリングが広まるようになりました。

日本の商取引では、1か月分の取引をまとめて掛け取引にすることが多いです。たとえば1月に10回の商品提供があった場合、1月末に締めて翌月末に1か月分をまとめて支払ってもらう形が一般的です。そのため、商品・サービスの提供から実際に売掛金を回収するまでには通常30〜60日程度かかります。

売上があっても、その前に買掛金や人件費などの費用を支払わなければならないため、売掛金回収までの期間に手元資金が不足すると資金繰りが苦しくなります。自己資本が少なく手元資金が不足しがちな中小企業にとって、ファクタリングは画期的な資金調達方法といえます。

現在ではメガバンクなどの大手金融機関グループ会社もファクタリングサービスを取り扱っており、中小企業だけでなく大手企業も活用しています。また、インターネット上で申し込みから買い取りまで完結するオンラインファクタリングも普及が進み、以前より利用しやすい環境が整っています。

売掛金を早期に現金化できるサービス

最短で即日、一般的には数日以内に現金化が可能です。企業にとって売掛金は確実な資産ですが、現金化までに時間がかかります。ファクタリングを利用することで、その待ち時間を大幅に短縮できます。

たとえば500万円の売掛金があり、回収まで2か月かかる場合、ファクタリングを利用すれば手数料を差し引いた金額(手数料10%なら450万円)をすぐに受け取れます。これにより、給与支払いや仕入れ資金など緊急性の高い支出に対応できるようになります。

ファクタリングと融資の違い

ファクタリングは「売掛金を売る(債権譲渡)」取引であり、「お金を借りる(借入金)」融資とは根本的に性質が異なります。融資には返済義務・利息・担保が伴いますが、ファクタリングにはいずれも不要です。また融資では自社の財務状況や信用力が審査の中心になりますが、ファクタリングでは売掛先の信用力が重視される点も大きな違いです。そのため、自社の業績が芳しくなくても、取引先の信用力が高ければ利用できる可能性があります。

項目ファクタリング銀行融資
性質売掛債権の売買(譲渡)金銭の貸し借り
返済義務なしあり(元本+利息)
審査の重点売掛先の信用力自社の財務状況
担保・保証人不要原則必要
資金調達スピード最短即日〜数日1か月程度
コスト手数料5〜18%(売掛金に対して)利息年利1〜5%程度
信用情報への影響なしあり

ファクタリングの仕組み|2社間・3社間をわかりやすく解説

ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があり、手数料・スピード・売掛先への通知有無が大きく異なります。どちらを選ぶかで手元に残る金額が変わるため、自社の状況に合わせて選ぶことが重要です。

2社間ファクタリングの特徴と流れ

2社間ファクタリングは、売掛先に通知せず最短即日で資金化できる方式です。売掛債権を売却したい契約者とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶ仕組みで、売掛先はこの契約に関与しません。

契約締結後の流れは以下のとおりです。

  1. 契約者がファクタリング会社に売掛債権を譲渡する
  2. ファクタリング会社が売掛債権の額面から手数料を差し引いた金額を契約者の口座に振り込む
  3. 売掛債権の決済日に、売掛先から契約者の口座に売掛金が入金される
  4. 契約者は受け取った売掛金をそのままファクタリング会社に振り込む

2社間ファクタリングの最大のメリットは、最短即日で資金調達できる点と、売掛先に知られずに利用できる点です。ただし、売掛金の決済時に一度契約者の口座を介するため、ファクタリング会社にとっては契約者が使い込んでしまうリスクがあります。その分リスクが高く、手数料は高めに設定されています。

3社間ファクタリングの特徴と流れ

3社間ファクタリングは、売掛先の承諾を得る代わりに手数料を大幅に抑えられる方式です。売掛先・契約者・ファクタリング会社の3社間で契約を結ぶ仕組みで、ファクタリングを利用することを売掛先に通知し、承諾を得る必要があります。

契約締結後の流れは以下のとおりです。

  1. 契約者がファクタリング会社に売掛債権を譲渡する
  2. 売掛先にファクタリング利用を通知し、承諾を得る
  3. ファクタリング会社が売掛債権の額面から手数料を差し引いた金額を契約者の口座に振り込む
  4. 売掛債権の決済日に、売掛先からファクタリング会社へ直接支払いが行われる

売掛先が直接ファクタリング会社に支払うため、ファクタリング会社にとってのリスクが大幅に低減されます。その分手数料は低く設定されます。ただし、売掛先にファクタリング利用を知られること、また売掛先が承諾しない場合は利用できないリスクがあります。

2社間・3社間の比較表

項目2社間ファクタリング3社間ファクタリング
契約当事者契約者・ファクタリング会社契約者・売掛先・ファクタリング会社
売掛先への通知不要必要(承諾も必要)
手数料相場(公表幅)5〜18%1〜9%
手数料相場(実態)6〜15%が大半1〜8%が大半
資金調達スピード最短即日〜数日数日〜2週間程度
ファクタリング会社のリスク高い低い
向いているケース急ぎの資金調達・売掛先に知られたくない場合手数料を抑えたい・売掛先との関係が良好な場合

ファクタリング審査の核心|「売掛先の与信」が手数料と成否を決める理由

ファクタリング審査で最も重視されるのは、利用者(自社)ではなく「売掛先(取引先)の支払い能力(与信)」です。これはファクタリングが「融資」ではなく「債権の売買」であるためで、売掛先の信用度が高いほど審査通過率は上がり、手数料は低くなる傾向にあります。

自社が赤字・債務超過でも資金調達できる理由

銀行融資では「自社の決算内容」が審査の大部分を占めますが、ファクタリングは「売掛金が確実に回収できるか」を重視します。そのため、たとえ自社が赤字決算や税金滞納の状態であっても、売掛先が上場企業や公的機関など信用力の高い先であれば、問題なく即日現金化できるケースが多々あります。

銀行融資では営業利益ベースで2期連続赤字になると融資を受けるのが非常に難しくなりますが、ファクタリングでは自社の財務状況が悪くても、大手企業や業績のよい売掛先の債権があれば利用できる可能性が高いです。

売掛先の信用度が手数料相場に直結する

手数料は「回収不能リスク」の対価です。審査では以下の3点が特に重要視されます。

  • 売掛先の業績と規模:倒産リスクが低いほど手数料は下がる
  • 取引の継続性:長年の取引実績がある請求書は信頼が高い
  • 支払期日までの長さ:回収までの期間が短いほどリスクが低く、手数料も優遇される

売掛先が大手上場企業であれば手数料が低く抑えられる一方、財務状況が不安定な中小企業の場合は手数料が高くなるか、審査が通りにくくなることがあります。

具体的な与信の判断基準

与信判断の指標は対象によって異なります。個人の場合はCICやJICCといった指定信用情報機関の履歴が重視されますが、法人間のファクタリング審査では帝国データバンク(TDB)や東京商工リサーチ(TSR)の評点「40点以上」が、手数料を低く抑えるための重要な境界線となります。

評点50点を超えれば「超優良先」として銀行融資も容易ですが、ファクタリング審査においては「40点」を維持していれば支払い能力に大きな懸念なしと判断されるケースが多いです。逆に30点台後半の売掛先の場合、手数料が跳ね上がるか、審査通過が難しくなるリスクがあります。

ファクタリングの手数料はなぜ発生するのか?

ファクタリングの手数料は、売掛債権を買い取る際のリスクと事務手続きのコストに対する対価です。ファクタリング会社は売掛先と取引企業の信用調査に時間と手間をかける必要があり、また売掛先が倒産したり支払いが遅延したりするリスクを引き受けるため、そのリスクに見合った対価を徴収します。

ファクタリングの手数料が融資の利息と異なる点は、利息が借入金額に対して発生するのに対し、ファクタリングの手数料は売掛金の買取リスクに応じて設定されるという点です。同じ取引額でも、リスクの度合いによって手数料が変動します。手数料の主な内訳は以下のとおりです。

基本手数料

基本手数料とは、ファクタリング会社が債権を買い取る際に発生するリスクや、債権の入金管理などにかかるコストを包括したものです。売掛債権の買取と支払いリスクを負担するため、企業の信用力や取引金額、売掛先の信用状況などによって手数料率が変わります。ファクタリング会社のサービス内容やリスクの見積もり次第で変動が大きい点も特徴です。

着手金

着手金とは、契約に向けた審査や事務手続きなどを開始する段階で発生する費用です。企業によっては契約が成立しなかったとしても一定の事務コストがかかるため、着手金の名目で費用を請求する場合があります。着手金の有無や金額はファクタリング会社によって異なるため、事前に必ず確認しましょう。

登記費用

ファクタリング契約の内容次第では、譲渡登記を行う場合があります。2社間ファクタリングでは二重譲渡を防ぐため、債権譲渡登記をするファクタリング会社が多いです。登記手続きに伴う主な費用は以下のとおりです。

  • 登録免許税:債権個数5,000個以下の場合は1件7,500円、5,000個以上の場合は1件15,000円
  • 登記抹消:1,000円
  • オンラインでの登記事項証明書交付:500円
  • 司法書士報酬:約6〜8万円(司法書士に依頼する場合)

参考:法務省 債権譲渡登記の費用

経費

契約書の作成や郵送、印紙代といった細かな費用もファクタリング利用時に発生することがあります。これらは大きな金額になることは少ないものの、複数の処理が重なればコストとして無視できなくなる場合があります。小さな出費も総額に含めて比較検討することで、より明確な手数料のイメージを持つことができます。

ファクタリング手数料の相場は?【2026年6月最新】

2026年6月時点の相場は、2社間で公表幅5〜18%・実態として6〜15%に落ち着くケースが大半、3社間で公表幅1〜9%・実態として1〜8%が大半です(HTファイナンス調べ)。競合他社が公表している数値は最低〜最高の幅であり、実際の成約案件では多くがこの実態帯域に収まります。複数社の見積もりを取り、比較検討することが納得のいく手数料で契約する第一歩です。

2社間ファクタリングの相場は5〜18%(実態:6〜15%)

2社間では売掛先に通知せずに契約を進めるため、ファクタリング会社のリスクが高まります。このリスク分のコストが反映され、公表幅は5〜18%に及ぶケースが一般的です。ただし、売掛先が安定した大企業で取引実績も長い場合は、実態として6〜15%の範囲に収まることがほとんどです。

売掛債権の決済時には、一度契約者の銀行口座に振り込まれ、その後ファクタリング会社に振り込む流れとなっているため、ファクタリング会社には契約者が使い込んでしまうリスクがあります。このリスクが3社間より高いため、手数料が高めに設定されています。

3社間ファクタリングの相場は1〜9%(実態:1〜8%)

3社間ファクタリングでは、売掛先もファクタリングの契約に参加し、支払いを直接ファクタリング会社に行います。ファクタリング会社にとってはリスクが低いため、公表幅1〜9%・実態1〜8%と大幅に低い水準での契約が可能です。売掛先が大手企業で業績がよい場合には、債務不履行となるリスクが低いので手数料も低く設定できます。

額面100万円・手数料率の比較表

額面100万円の売掛債権をファクタリングした場合、手数料率によって手元に入る金額がどう変わるかをまとめました。

契約方式手数料率(実態帯域)手数料額手取り額
2社間(低め)6%6万円94万円
2社間(標準)10%10万円90万円
2社間(高め)15%15万円85万円
3社間(低め)1%1万円99万円
3社間(標準)4%4万円96万円
3社間(高め)8%8万円92万円

【具体例】ファクタリング手数料の計算シミュレーション

同じ100万円の売掛債権でも、2社間か3社間かで手取り額に大きな差が生まれます。実際の例で手数料がどのように計算されるかを見てみましょう。

ケース1:2社間ファクタリング(オンライン完結型)の場合

すぐに資金が必要で、取引先に知られずに手続きを完了させたいケースです。

  • 売掛債権の額面:100万円
  • 適用手数料率:10%(実態帯域の標準)
  • 手数料額:100万円 × 10% = 10万円
  • 最終的な入金額:100万円 − 10万円 = 90万円

ケース2:3社間ファクタリングの場合

時間に少し余裕があり、売掛先の協力も得られるため、手数料を最大限抑えたいケースです。

  • 売掛債権の額面:100万円
  • 適用手数料率:4%(実態帯域の標準)
  • 手数料額:100万円 × 4% = 4万円
  • 最終的な入金額:100万円 − 4万円 = 96万円

このように、契約方式によって最終的な手取り額に6万円の差が出ることがわかります。売掛債権の額面が大きくなるほどこの差は広がるため、3社間ファクタリングが使える状況であれば積極的に検討しましょう。

ファクタリング手数料が決まる要因

手数料を決める最大の要因は「売掛先の信用力」と「契約方式(2社間/3社間)」です。ファクタリングの手数料を決める要因は複数あり、それぞれの取引状況や企業の信用度によってさまざまな要素が関わってきます。主な要因を整理します。

要因手数料が下がる条件手数料が上がる条件
売掛先の信用力上場企業・官公庁など信用力が高い財務状況が不安定な中小企業
契約方式3社間ファクタリング2社間ファクタリング
売掛債権の金額金額が大きい少額(事務コストの割合が増える)
支払期日までの期間短い(リスク期間が短い)長い(リスク期間が長い)
取引の継続性長期取引実績あり初回・単発取引
利用回数継続的に複数回利用初回利用
自社の財務状況健全・黒字赤字・債務超過

企業側としては、ファクタリングの利用目的や調達スピード、売掛先との関係性を踏まえたうえで、最適な手数料を目指した契約を結ぶことが重要です。交渉の余地や見積もりの取り方ひとつで手数料率が変わる場合もあるため、自社の状況と照らし合わせながら慎重に進めましょう。

【法的根拠】ファクタリング手数料の上限と関連法規

ファクタリングの手数料は利息制限法の対象外です。ファクタリングの高い手数料率を見て「これは利息制限法などに抵触しないのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。ここでは手数料の法的な位置づけを解説します。

手数料は「利息制限法」の対象外

結論から言うと、ファクタリングの手数料は利息制限法の対象外です。なぜなら、ファクタリングは金銭の貸し借りである「融資」ではなく、売掛債権という資産の「売買(譲渡)」契約だからです。そのため、融資における年利15%〜20%という上限金利は適用されません。これが2社間ファクタリングで高い手数料率が存在する法的背景です。

参考:利息制限法 − e-Gov法令検索

ただし、利息制限法の対象外であることは「手数料に上限がない」ことを意味するわけではなく、常識の範囲を超えた手数料を請求する悪質な業者も存在します。手数料率が著しく高い場合は注意が必要です。

債権譲渡禁止特約と民法改正

以前は、取引先との契約書に「この債権は他人に譲渡してはならない(債権譲渡禁止特約)」という条項があると、ファクタリングの利用が困難でした。しかし、2020年4月1日に施行された改正民法により、この特約があっても原則として債権譲渡は有効と判断されるようになりました。これにより、中小企業は以前よりもファクタリングを利用しやすくなっています。

ただし、法的には有効であっても、売掛先との関係性を考慮すると心理的なハードルは依然として高い場合があります。3社間ファクタリングを利用する場合は、売掛先への説明を丁寧に行うことが重要です。

参考:法務省:民法(債権関係)改正

ファクタリングのメリット

ファクタリングの主なメリットは「最短即日の現金化」「担保・保証人不要」「赤字でも利用可能」「売掛先倒産時の補填義務なし」の4点に集約されます。特に中小企業や個人事業主にとって大きな助けとなる特徴を詳しく見ていきましょう。

資金調達までの時間が早い

ファクタリングの最大のメリットは、売掛金を素早く現金化できることです。最短即日に資金調達できる会社もあり、時間がかかっても通常1週間以内には資金調達が完了します。銀行融資の場合、審査に数週間から数か月かかることもありますが、ファクタリングはスピーディーな資金調達が可能です。急な資金ニーズへの対応や、好条件の仕入れ案件への即時対応など、スピードが求められる場面で特に力を発揮します。

保証人・担保が不要

銀行融資を利用する場合は原則として保証人や担保の差し入れが必要ですが、ファクタリングは融資ではないため保証人・担保が不要です。担保にできる不動産を持っていない創業間もない会社や、担保設定の手間を避けたい経営者にとって大きなメリットです。

売掛先に知られない(2社間の場合)

2社間ファクタリングであれば、売掛先にファクタリングを利用する事実を伝えることなく資金調達できます。売掛先に資金調達の事実が知られると「経営状況が悪いのではないか」と不安に思わせてしまう可能性もあります。取引関係に影響を与えることなく資金調達したい場合に有効です。

財務状況が悪くても利用できる可能性がある

銀行融資では債務者の財務状況が悪いと融資を受けることはできませんが、ファクタリングでは売掛先の信用力が高ければ、自社の財務状況が悪くても利用できる可能性があります。赤字・債務超過でも、大手企業や業績のよい売掛先の債権があれば検討する価値があります。

債権回収の手間がかからない

売掛債権はファクタリング会社に譲渡されるため、売掛金の回収管理をファクタリング会社に任せることができます。回収の確認作業や、万が一回収できなかった場合の催促・法的措置といった手間がなくなり、本業に集中できます。

オフバランス化できる

ファクタリングは売掛債権を手放して現金化するため、貸借対照表(バランスシート)上の売掛金(資産)が減少します。これがオフバランス化です。財務指標が改善されるため、金融機関の融資審査に有利に働く場合があります。特に負債が多い会社や、財務体質の改善を目指している会社にとってメリットがあります。

信用情報に悪影響がない

ファクタリングを利用しても信用情報機関への登録はありません。将来的に金融機関での融資を検討しているのであれば、信用情報をクリーンに保つことは重要です。ファクタリングは信用情報に傷をつけずに資金調達できる点で優れています。

売掛先の倒産リスクに備えられる

ノンリコース(償還請求権なし)契約のファクタリングでは、売掛先が倒産して売掛金の回収ができなくなっても、自社が補填する必要はありません。売掛先の業績が怪しくなった場合のリスク回避策としても活用できます。特に自己資本が十分でない中小企業にとって、売掛金が回収できなくなると連鎖倒産の危機に直面するリスクがあるため、ファクタリングによるリスクヘッジは非常に有効です。

ファクタリングのデメリット

ファクタリングの最大のデメリットはコストの高さです。メリットが多い一方で、利用前に正しく理解しておく必要があります。

売掛債権の金額しか資金調達できない

ファクタリングは、保有する売掛債権の額面が資金調達の上限となります。売掛金以上の大きな金額を調達したい場合や、長期的に大きな資金が必要な場合には向きません。また、売掛金が発生していなければそもそも利用できないため、受注前の資金調達には使えません。

手数料コストの負担が重い

ファクタリングの手数料を実質年利に換算すると、非常に高コストになります。たとえば手数料10%のファクタリングを1か月のつなぎで利用した場合、実質年利は120%に達します。2社間で15%の手数料であれば年利換算で180%という水準です。利益率の低いビジネスでは手数料負担が経営を圧迫する可能性があるため、費用対効果を十分に検討する必要があります。

3社間ファクタリングは売掛先に断られる可能性がある

3社間ファクタリングは売掛先の承諾が必要です。売掛先によってはファクタリングの利用を断られる場合があるほか、「資金繰りが苦しい会社との取引は控えたい」という印象を与えてしまい、信用低下につながる可能性もあります。売掛先にはファクタリングを利用する経緯を明確に説明できる準備をしておきましょう。

ファクタリング手数料を安く抑える方法

手数料を下げる最も確実な方法は「3社間を選ぶ」「大口でまとめる」「複数社で相見積もりを取る」の3つです。ファクタリング手数料を少しでも抑えるために、押さえておきたいポイントと具体的な方法を紹介します。

3社間ファクタリングを利用する

最も効果的な方法は3社間ファクタリングを利用することです。3社間の実態帯域は1〜8%と、2社間(6〜15%)と比べて大幅に低くなります。売掛先が協力的であれば積極的に3社間を選びましょう。会社によっては売掛先への説明や契約締結のサポートをしてくれる場合もあります。

大きな売掛債権でファクタリングを利用する

まとめて大きな金額をファクタリングしたほうが、単発の少額ファクタリングより手数料率を抑えられるケースがあります。ファクタリング会社の事務コストは金額の大小にかかわらず大きく変わらないため、金額が大きいほど手数料率を低く設定してもらえる可能性が高いです。たとえば、小口の売掛金を複数まとめてファクタリングするといった方法も検討しましょう。

継続して利用する

ファクタリングを複数回継続して利用すると、ファクタリング会社との信頼関係が構築され、手数料率の交渉余地が生まれやすくなります。取引がスムーズに進む実績を重ねることで、さらなる優遇条件を引き出せる可能性があります。初回は高めの手数料でも、継続利用によって改善されるケースは少なくありません。

複数のファクタリング会社から見積もりを取る

同じ売掛債権でも、ファクタリング会社によって審査基準やリスクの見方が異なるため、提示される手数料に大きな差が出ることがあります。必ず複数社に見積もりを依頼し、比較検討してから契約を結びましょう。他社の見積もり結果を提示しながら交渉することで、手数料が下がる場合もあります。

よくある失敗事例

手数料に関する失敗で多いのは以下のようなケースです。

  • 1社目の見積もりで比較検討をせずに契約してしまい、相場より高い手数料を払い続けた
  • 基本手数料以外の着手金や登記費用を事前に確認せず、トータルコストが想定外に膨らんだ
  • 急いでいたために条件を確認しないまま契約し、後から不利な条件に気づいた
  • 手数料の実質年利換算を把握せず、継続利用でコストが積み上がり資金繰りが悪化した

こうした失敗を防ぐためにも、契約前の情報収集と複数見積もりの取得は必須です。

ファクタリングと他の資金調達方法の比較

ファクタリングは「スピード」と「審査の柔軟性」に優れますが、コストは最も高い調達方法の一つです。資金調達にはファクタリング以外にも様々な方法があります。それぞれの特徴を正しく理解し、自社の状況に最適な方法を選択することが重要です。

銀行融資との違い

銀行融資は最も一般的な資金調達方法です。融資の場合、借りた金額に利息(年利1〜5%程度)を付けて返済する必要がありますが、ファクタリングに比べてコストは低くなります。ただし審査が厳しく、融資実行まで1か月程度かかるうえ、担保や保証人が必要です。銀行融資は財務状況が健全で時間的余裕がある場合に適しており、ファクタリングは急ぎの資金調達や財務状況が厳しい場合に向いています。

売掛債権担保融資(ABL)との違い

ABL(Asset Based Lending)は、売掛金や在庫などの動産を担保にした融資です。ファクタリングと異なり、ABLでは売掛金の所有権は企業に残り、返済義務があります。ABLは担保価値に応じてより大きな金額の調達が可能な場合がありますが、自社の信用力が一定水準に達していないと利用できません。自社の財務状況に不安がある場合はファクタリング、返済能力があってより大きな資金が必要な場合はABLが適しているといえます。

手形割引との違い

手形割引は、受取手形を金融機関に持ち込み、割り引いてもらうことで期日より前に資金を調達できる方法です。ファクタリングと仕組みは似ていますが、そもそも手形取引をしていない場合は利用できません。また手形割引は裏書人に遡及されるため、売掛先が倒産した場合に自社が補填しなければならないリスクがあります。一方ファクタリングはノンリコース契約であれば補填不要です。手形割引料(年利1.5%〜程度)はファクタリング手数料より低コストですが、手形取引をしている場合にしか使えません。

でんさい割引との違い

でんさい割引とは、手形を電子記録したでんさい(電子記録債権)を割り引く制度です。手形に代わる新しい方法として普及し始めており、分割での割引も可能です。ただし、でんさいによる決済を行っていない場合は利用できません。

補助金・助成金との違い

補助金・助成金は返済不要の資金提供であり、コスト面では最も有利です。しかし申請から受給まで数か月〜1年以上かかる場合があり、使途が特定の事業目的に限定されているため、一般的な運転資金には使えないことがほとんどです。急ぎの資金調達にはファクタリング、長期的な設備投資や研究開発には補助金・助成金というように使い分けることが理想的です。

調達方法コストスピード担保・保証人返済義務審査の重点
ファクタリング手数料5〜18%最短即日不要なし売掛先の信用力
銀行融資年利1〜5%1か月程度原則必要あり自社の財務状況
ABL年利数%〜数週間動産担保あり自社+担保資産
手形割引年利1.5%〜数日不要遡及あり手形・売掛先
補助金・助成金なし(返済不要)数か月〜1年以上不要なし事業計画の審査

ファクタリングを利用する際の流れ

申し込みから入金まで、最短即日〜数日で完了します。ファクタリングを実際に利用する際の基本的な流れを理解しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。

必要書類の準備

ファクタリングを利用する際に一般的に必要な書類は以下のとおりです。ファクタリング会社によって多少異なりますが、事前に準備しておくと審査から入金までの時間を短縮できます。

  • 売掛金に関する書類:請求書、納品書、発注書、基本契約書など
  • 自社に関する書類:登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、決算書(直近1〜3期分)、会社の印鑑証明書、代表者の本人確認書類
  • 通帳:法人口座の通帳コピー(直近3〜6か月分)

オンラインファクタリングの場合は書類のアップロードで対応できるケースが多く、対面より手続きが簡便です。

申し込みから審査まで

ファクタリング会社のウェブサイト・電話・メールなどで申し込みます。申し込み時には会社の基本情報(会社名・代表者名・設立年・業種)と売掛金の情報(金額・取引先・支払期日)を伝えます。この段階で概算の手数料率を確認しておくとよいでしょう。

審査では主に売掛先の信用力と売掛金の実在性・確実性が確認されます。審査期間はファクタリング会社によって異なりますが、オンライン完結型では最短数時間〜即日で結果が出るケースもあります。

契約から入金まで

審査通過後、手数料率・入金日・必要書類などの契約条件が提示されます。条件に納得できれば契約書にサインして正式契約成立です。

2社間ファクタリングの場合は、自社とファクタリング会社の間だけで債権譲渡手続きが完結し、その後入金となります。3社間ファクタリングの場合は、売掛先にも債権譲渡通知を送付し承諾を得る手続きが必要です。

全手続き完了後、指定口座への入金が行われます。2社間のほうが3社間より早く入金される傾向があります。

ファクタリングを利用する際の注意点

特に重要な注意点は「二重譲渡の禁止」と「銀行融資審査への間接的な影響」の2点です。ファクタリングを有効活用するためには、いくつかの重要な注意点を押さえておく必要があります。

債権譲渡禁止条項を確認する

取引先との契約書に「債権譲渡禁止条項」が含まれていないか確認してください。2020年の民法改正により、債権譲渡禁止特約があっても原則として債権譲渡は有効となりましたが、売掛先との関係性を考慮すると心理的なハードルは依然として存在します。特に3社間ファクタリングでは、条項の有無にかかわらず売掛先との事前相談が重要です。

2社間での債権譲渡登記の有無

2社間ファクタリングを利用する際、二重譲渡防止のために債権譲渡登記を行うファクタリング会社が多くあります。債権譲渡登記は登記簿に記載されるため、売掛先が登記簿を確認した場合にファクタリングの利用が知られる可能性があります。絶対に売掛先に知られたくない場合は、債権譲渡登記なしで利用できるファクタリング会社を選びましょう。

登記費用がかかる

債権譲渡登記を行う場合、登録免許税(7,500円〜)に加え、司法書士に依頼する場合は報酬(約6〜8万円)がかかります。この費用はファクタリングの手数料とは別に発生するため、トータルコストとして把握しておきましょう。

分割払いができない

ファクタリングは分割払いができません。分割払いは貸金業にしか認められておらず、貸金業登録をしていないファクタリング会社で分割払いの契約をすることは法律違反です。「分割払い可能」と謳っている会社があれば、偽装ファクタリングの可能性が高いため利用を避けましょう。

銀行融資の審査への影響

ファクタリングの利用そのものは信用情報に残りませんが、決算書(貸借対照表)上の「売上債権」の不自然な減少や「支払手数料」の急増は、銀行の格付け審査において資金繰りの懸念材料と見なされるリスクがあります。手数料10%以上のファクタリングを継続利用している状態は「調達コストが利益率を圧迫している」と判断されることがあるため、短期的なつなぎとして利用しつつ、早期に銀行融資やより低コストな資金調達に切り替える出口戦略を持つことが重要です。

個人事業主は利用できないケースもある

ファクタリング会社によっては個人事業主が利用できないケースがあります。また、個人事業主の場合は法人と比べて売掛金の規模が小さいことが多く、手数料が高めに設定される場合もあります。個人事業主でファクタリングを検討する場合は、事前に対応可否を確認してから申し込みましょう。

複数社に見積もりを取る

ファクタリング会社によって手数料・資金調達期間・買取可能金額などの条件は大きく異なります。同じ売掛債権でも評価が変わることがあるため、必ず複数社に相談し、自社に合った条件のファクタリング会社を選ぶことを検討してください。

計画的に利用する

ファクタリングは便利な資金調達手段ですが、依存しすぎると手数料コストが積み上がり資金繰りがさらに悪化するリスクがあります。ファクタリングを利用しながら、並行して手元資金を増やす計画を立てるようにしましょう。あくまで一時的なつなぎ資金として活用し、中長期的には低コストな資金調達方法への切り替えを目指すことが財務健全化の鍵です。

二重譲渡は絶対に避ける

⚠️ 二重譲渡は犯罪です
すでに他社に売却済みの同じ売掛債権を、別のファクタリング会社にも重ねて売却する「二重譲渡」は、詐欺罪や横領罪に問われる可能性がある明確な犯罪行為です。意図的かどうかにかかわらず厳しい法的措置の対象となり、即時の契約解除と一括返済、さらには刑事罰を免れません。他社との取引がある場合は必ず正直に申告し、同じ請求書を複数社に提出することは絶対に避けてください。

ファクタリングの安全性と悪質業者の見分け方

ファクタリングは政府も利用を推奨している合法的な資金調達方法ですが、悪質業者が混在していることも事実です。メガバンクなどの大手金融機関グループ会社も参入しており、利用方法さえ間違えなければ安全な資金調達方法です。安全に利用するためのポイントを解説します。

大手ファクタリング会社を利用する

ファクタリング会社は銀行や貸金業と異なり、運営するために免許や資格が必要ありません。信頼性に自信がなければ、数年以上の実績がある大手ファクタリング会社を選ぶのが安心です。大手は企業イメージを重視するため、誠実な対応が期待できます。情報が少なく信頼できるかわからない会社は避けるのが無難です。

高すぎる手数料を請求する会社は避ける

ファクタリングには手数料の法的上限がないため、常識の範囲を超えた手数料を請求する悪質業者も存在します。2社間で20%を超えるような極端に高い手数料を提示する会社には注意が必要です。また、契約前に審査料や事務手数料などの名目で前払いを要求する会社も避けましょう。正規のファクタリング会社では、成約後に手数料が差し引かれるのが一般的です。

契約書内容を必ず確認する

そもそも契約書を用意してくれない会社とは取引を避けてください。契約書には手数料率・入金日・必要書類・償還請求権の有無などが明記されているか確認しましょう。契約内容が不明確だったり、説明が曖昧だったりする場合は要注意です。少しでも不審に感じたら、専門家(弁護士・税理士など)に相談することをお勧めします。

融資の話を持ち掛けてくる会社に注意

ファクタリングといいながら、実際には売掛金を担保にした融資を勧めてくる会社が存在します。過去にはファクタリングを装って高利子で融資を行い逮捕されたケースもありました。契約書に「売買」ではなく「金銭消費貸借契約」と記載されている場合や、売掛金を担保にした融資を勧めてくる会社は利用しないでください。

会社概要で信頼性を見極める

公式サイトの会社概要に、会社名・住所・代表者名・電話番号が明記されているか確認しましょう。所在地が曖昧だったり、連絡先が携帯電話のみだったりする場合は注意が必要です。インターネット上の口コミや評判も複数の情報源から確認することをお勧めします。

オンラインか対面かで選ぶ

近年はオンラインで完結するファクタリングが増えています。時間や場所の制約なく手続きできるオンライン型は、急ぎの資金調達や地方の企業に便利です。一方で、複雑な案件や初めてファクタリングを利用する場合は、対面で担当者と詳細を話し合える会社のほうが安心感があります。自社の状況に合わせて選択しましょう。

ファクタリングは中小企業・個人事業主に向いている?

「大手企業を売掛先に持つ中小企業・個人事業主」に特に向いている資金調達方法です。ファクタリングは、中小企業や個人事業主に特に向いている資金調達方法です。理由は以下のとおりです。

  • 手元資金が少なく資金繰りが悪化しやすい
  • 担保にできる十分な資産を持っていないことが多い
  • 銀行融資の審査が通りにくい場合がある
  • 売掛先が大手企業の場合、自社の財務状況に関わらず利用できる
  • 連鎖倒産リスクに対するヘッジとして有効

特に「大手企業を顧客に持つ中小企業・個人事業主」にとって、ファクタリングは強力な資金調達手段です。銀行融資では断られるような状況でも、大手企業の売掛債権があれば即日で資金調達できる可能性があります。

個人事業主が利用する際の注意点

個人事業主がファクタリングを利用する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 対応していない会社も多いため、事前確認が必須
  • 法人よりも審査基準が厳しくなる傾向がある
  • 最低でも1年以上の事業実績を求められることが一般的
  • 取引先が大企業や官公庁であることが重視される
  • 確定申告書や帳簿などの書類準備が必要(青色申告が有利な場合もある)
  • 「給与ファクタリング」は金融庁が違法と明言しているため絶対に利用しない

【目的別】ファクタリングの主な種類

ファクタリングには売掛債権を売却する「買取ファクタリング」以外にも、目的別に3種類があります。自社の目的に合わせて最適なサービスを選ぶことが重要です。

保証ファクタリング

売掛債権の現金化を目的とせず、売掛先の倒産などによる貸し倒れリスクに備えるためのファクタリングです。保証料を支払うことで、万が一売掛金が回収不能になった場合にファクタリング会社が保証金を支払います。取引先の与信に不安がある場合や、特定の大口取引先への依存度が高い場合に有効な手段です。

医療(診療報酬)ファクタリング

病院・クリニック・介護施設などが、社会保険診療報酬支払基金(社保)や国民健康保険団体連合会(国保連)に対して持つ診療報酬債権・介護給付費債権を対象としたファクタリングです。医療機関の診療報酬の入金サイクルは約2か月と長いため、このファクタリングを利用することで資金繰りを安定させることができます。

国際ファクタリング

輸出取引において発生する売掛債権を対象としたファクタリングです。海外企業との取引では為替変動リスクや代金未回収リスクが国内取引より高くなりますが、国際ファクタリングを利用することでこれらのリスクを回避しながら安全に海外展開を進めることができます。

ファクタリング利用時の会計処理・仕訳例

ファクタリングの手数料は「売上債権売却損」として営業外費用に計上し、消費税は非課税です。ファクタリングを利用した際の資金の動きを、正しく帳簿に記録する必要があります。一般的な会計処理(仕訳)の例を解説します。

2社間ファクタリングの仕訳例

100万円の売掛金を、手数料10万円(10%)を支払って2社間ファクタリングで現金化した場合の仕訳は以下のとおりです。

【売掛債権の売却時】

勘定科目借方勘定科目貸方
普通預金900,000円売掛金1,000,000円
売上債権売却損(※)100,000円

※手数料は営業外費用である「売上債権売却損」として計上するのが一般的です。

【売掛先からの入金後、ファクタリング会社へ送金時】

2社間ファクタリングでは一旦自社の口座に売掛金が入金されるため、その資金をファクタリング会社へ送金する際の仕訳も必要です。

勘定科目借方勘定科目貸方
未払金(または預り金)1,000,000円普通預金1,000,000円

消費税の取り扱い

ファクタリングの手数料に消費税はかかるのでしょうか。結論から言うと、ファクタリングによる資金調達は非課税取引です。国税庁は金銭債権の譲渡を「非課税取引」として明確に位置付けており、ファクタリングは売掛債権(金銭債権)の売買契約であるため、手数料は消費税の課税対象外となります。もしファクタリング会社から消費税を上乗せした手数料を請求された場合は注意が必要です。

参考:国税庁 No.6201 非課税となる取引

ファクタリングと法律の関係|違法性やヤミ金との違い

ファクタリング自体は民法で認められた正当な「債権譲渡」契約であり、完全に合法な取引です。ただし、ファクタリングを装って違法な貸付を行う悪徳業者が存在することも事実です。

ファクタリングは「貸金業」ではない

ファクタリングは債権の「売買」であり、お金の「貸し借り」ではありません。そのため利息制限法の上限金利は適用されず、貸金業登録も不要です。これが銀行融資などとは異なる手数料体系が設定される理由です。

悪質な「偽装ファクタリング」に注意

ファクタリング契約と見せかけて実質的には高金利の貸付を行う「偽装ファクタリング」に注意が必要です。金融庁や中小企業庁も注意喚起を行っています。

危険な業者の特徴:

  • 契約書に「売買」ではなく「金銭消費貸借契約」と記載されている
  • 償還請求権(リコース)があり、売掛先が倒産した場合に返済を求められる
  • 手数料が年利換算すると利息制限法の上限(20%)を大幅に超える
  • 分割払いを勧めてくる
  • 「給与ファクタリング」など個人の給与を対象にしたサービスを提供している

このような業者と契約してしまうとヤミ金と同様の被害に遭う可能性があります。契約内容は必ず細部まで確認し、少しでも不審な点があれば専門家へ相談しましょう。

参考:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」

よくある疑問(FAQ)

手数料は交渉によって変わりますか?

ファクタリング会社は売掛先や契約企業のリスクをもとに手数料を設定していますが、一定の範囲内であれば交渉によって下げられるケースもあります。特に、他社の見積もりを提示しながら交渉すれば、ファクタリング会社が歩み寄る可能性を高められるでしょう。ただし、過度に低い手数料を求めると契約自体が難しくなる場合もあるため、適正な範囲を見極めて交渉することが大切です。

赤字・債務超過でも利用できますか?

利用できる可能性があります。ファクタリングでは利用企業の財務状況よりも売掛先の支払い能力が重要視されるため、赤字や債務超過の状態でも、売掛先の信用力が高ければ審査を通過できるケースがあります。銀行融資では厳しい審査が行われますが、ファクタリングはあくまで売掛金の回収を前提とするため、売掛先の信用力が審査の核心です。

一社で断られた場合、他社でも利用できますか?

はい、可能性があります。ファクタリング会社によって審査基準やリスクの見方は異なります。ある会社では断られても、別の会社では条件付きで契約が可能となるケースも珍しくありません。諦めずに複数社をあたってみることが重要です。

個人事業主でも利用できますか?

利用できる場合があります。個人事業主であっても、事業としての売掛債権があればファクタリングの利用は可能です。ただし、対応していないファクタリング会社もあるため事前確認が必要です。また、売掛金の規模や取引先との関係によっては手数料がやや高めに設定される可能性があります。

起業したばかりでも利用できますか?

売掛先が安定していて継続的な取引見込みがあれば、審査を通過できる場合があります。ファクタリング会社は売掛先の信用度と継続的な取引の見込みを重視します。取引先との契約関係や今後の見通しを丁寧に説明できれば、有効な資金調達手段となる可能性があります。

悪質なファクタリング会社の見分け方は?

以下のような特徴がある会社には注意してください。

  • 極端に高い手数料(2社間で20%超など)を提示してくる
  • 契約内容が不透明なまま契約を急かす
  • 審査前に着手金や事務手数料の前払いを要求する
  • 分割払いを提案してくる
  • 契約書を提示しない
  • 会社概要に住所・代表者名・電話番号が明記されていない

手数料を「実質年利」で考えるとどうなりますか?

手数料10%のファクタリングを1か月のつなぎで利用した場合、実質年利は120%に達します。2社間で手数料15%の場合は実質年利180%という水準です。この事実を認識せずに常用すると、キャッシュフローは確実に悪化します。緊急時のつなぎとして割り切って利用し、早期に低コストな資金調達方法へ切り替えることを強く推奨します。

税金滞納や社会保険未払いがあっても審査に通りますか?

分納(支払い計画)さえ進めていれば利用可能なケースがほとんどです。銀行融資では即座に審査落ちの対象となりますが、ファクタリング会社は税務署による差し押さえリスクさえクリアできれば買い取るケースが多いです。ただし、差し押さえ予告通知が届いている段階では、どのような優良債権でも買取は難しくなります。手遅れになる前に早めに動くことが重要です。

二重譲渡のリスクについて教えてください

同じ売掛債権を複数のファクタリング会社に売却する「二重譲渡」は、詐欺罪・横領罪に問われる可能性がある犯罪行為です。ファクタリング会社は債権譲渡登記や通帳の入金履歴から高確率でこれを発見します。他社と併用する場合(別の請求書を他社で現金化すること自体は違法ではありません)は、必ず正直に申告し、同じ請求書を絶対に複数社に提出しないようにしてください。

まとめ

ファクタリングの手数料と仕組みについて、基礎から実践的な活用方法まで網羅的に解説しました。最後に重要なポイントを整理します。

  • ファクタリングとは:売掛債権をファクタリング会社に売却し、期日前に現金化する資金調達方法。融資ではないため返済義務なし
  • 2026年6月の相場(HTファイナンス調べ):2社間は公表幅5〜18%・実態6〜15%、3社間は公表幅1〜9%・実態1〜8%
  • 審査の核心:自社の財務状況より売掛先の信用力が重視される。赤字・債務超過でも利用できる可能性あり
  • 手数料を安く抑えるには:3社間を選ぶ・大きな売掛債権でまとめる・継続利用・複数社で見積もり比較
  • 実質コストを把握する:手数料10%/月は実質年利120%相当。緊急時のつなぎとして使い、低コスト調達に早期移行を
  • 安全に利用するには:実績ある会社を選ぶ・契約書を必ず確認・偽装ファクタリングに注意・二重譲渡は絶対に避ける

ファクタリングは「急場しのぎ」だけでなく、売掛先倒産リスクのヘッジや財務体質の改善(オフバランス化)など、戦略的に活用できる資金調達手段です。ただし高コストな調達方法であることを忘れず、自社の状況と目的に合わせて複数のファクタリング会社を比較し、納得のいく条件で契約することが最も重要です。

資金調達の方法やファクタリング会社の選び方で迷っていらっしゃる場合は、資金調達コンサルティングを行うヒューマントラスト株式会社へお気軽にご相談ください。元銀行員・税理士など経験豊富なスタッフが、貴社の状況に合わせた最適なアドバイスを行います。

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監修者三坂 大作
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役

東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。

東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
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