• TOP
  • 新着情報
  • 【専門家が解説】ファクタリングの分割払いは違法?安全な資金繰りのための全知識

【専門家が解説】ファクタリングの分割払いは違法?安全な資金繰りのための全知識

「ファクタリングで資金調達したのはいいが、売掛先からの入金が遅れ、ファクタリング会社への支払いが厳しい…」 「一括ではなく、分割で支払うことはできないだろうか?」

このように、急な資金需要を乗り切るためにファクタリングを利用したものの、その後の支払いに不安を抱えている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から言うと、ファクタリングの分割払いは、法律に抵触する可能性が非常に高く、多くの優良なファクタリング会社は対応していません。 もし「分割払いOK」をうたう業者に出会ったら、それは悪質な「闇金ファクタリング」の危険なサインかもしれません。

この記事では、なぜファクタリングの分割払いが危険なのか、その法的な背景から詳しく解説します。さらに、もし支払いが困難になってしまった場合の具体的な対処法や、安心して相談できる公的な窓口まで、あなたの会社を危機から守るための知識を分かりやすくお伝えします。


ファクタリングと分割払いの基本

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(請求書の支払期限前の債権)を、ファクタリング会社へ売却することで現金化する仕組みです。融資ではなく売掛債権の「売買契約」に該当するため、法律上の扱いが貸金業とは異なります。

そもそもファクタリングの基本的な仕組みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。

ファクタリングが「融資」ではない理由

銀行やノンバンクなどの貸金業者から資金を借り入れる場合、借りた金額に対して利息を支払い、分割返済するという形になります。しかし、ファクタリングはあくまで売掛金を売却して資金化する取引であり、利息も発生しません。 このため、分割での返済という概念は基本的に存在しないのです。

分割払いは原則認められない

ファクタリングは「売掛金を買い取る」取引なので、売掛先からの入金後に、一括でファクタリング会社へ支払う流れが通常です。 もし分割払いを設定すると、貸金業法上の「融資」とみなされる可能性が高く、無登録の貸金業として法的問題に発展するリスクがあります。ファクタリング会社も違法行為を避けるため、分割払いを認めていないのです。

分割払いに応じる業者が危険なワケ

中には「ファクタリングでも分割払いができる」とうたっている業者が存在するかもしれません。しかし、こうした業者は違法性を帯びている(貸金業法違反)可能性があるため、利用時には慎重な判断が求められます。

貸金業法違反のリスク

ファクタリング契約と称しながら、実態は貸付けを行い、手数料ではなく事実上の利息を徴収しているケースがあります。 貸金業の登録を受けずに融資行為を行っているとすれば、利用企業だけでなく業者自身も法的に処罰される可能性が否めません。結果として、利用企業がトラブルに巻き込まれるリスクも高まるでしょう。

「闇金ファクタリング」の手口

「分割返済OK」「手数料が破格に安い」といった広告で利用者を集め、実際には高金利を課す闇金ファクタリング業者も存在します。 悪質な業者は、支払いが滞った利用者への取り立ても強引であり、経営に深刻なダメージを与えます。正規のファクタリング会社ではないと感じたら、契約を結ぶ前に専門家へ相談することが賢明です。

より具体的な闇金ファクタリング業者の手口や見分け方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ファクタリングの支払いが困難になる主なケース

ファクタリングを利用したものの、「売掛先からの入金がない」「入金を他の用途に使ってしまった」など、支払いが困難になるケースも考えられます。ここでは、よくある例を確認しましょう。

1. 売掛先の経営状況悪化・倒産

売掛先が支払い遅延や倒産により入金が滞るケースは少なくありません。 通常のファクタリング(ノンリコース契約)では、売掛先の未払リスクをファクタリング会社が負担するため、利用企業が損失を被らない仕組みになっています。しかし、リコース契約では利用企業が負担する可能性もあるため、契約内容を十分に確認しましょう。

2. 入金を別の支払いに使ってしまう

2者間ファクタリングの場合、売掛先からの入金は一旦、利用企業の口座に入ります。そこで、別の用途へ資金を回してしまうと、ファクタリング会社への支払いが滞る可能性があります。 悪質な場合は詐欺や横領とみなされる恐れがあるため、入金後は速やかにファクタリング会社に支払うことが必要です。

3. 手数料が想定より高額だった

ファクタリングは資金調達のスピードに優れる反面、手数料が高めに設定される傾向があります。 最初の見積もりでは問題なかったものの、複数回利用を重ねるうちに手数料が積み重なり、資金繰りがショートしかけるケースも少なくありません。複数のファクタリング会社を比較し、手数料率や契約内容を吟味することが大切です。

ファクタリングの支払いトラブルを回避するための対策

ファクタリングを上手に活用するためには、支払いトラブルを未然に防ぐことが重要です。ここでは、具体的な対策についてご紹介します。

1. 契約時の条件を正確に把握する

契約を結ぶ前に、手数料率や支払いスケジュール、リコース有無など、重要な条件をしっかりと確認しましょう。 見積書や契約書を熟読し、不明な点があれば必ずファクタリング会社の担当者に質問してクリアにすることが大切です。

2. 信頼できるファクタリング会社を選ぶ

違法業者や闇金まがいのサービスを避けるためには、実績や評判が良いファクタリング会社を選ぶことが不可欠です。 公式サイトの情報だけでなく、第三者からの口コミや経営状況なども参考にしつつ、慎重に会社を選定しましょう。

3. 資金使途を徹底管理する

2者間ファクタリングの場合は、売掛先から入金された売掛金を他の支払いに流用しないよう、管理体制を整えましょう。 入金と支払いの時期が近い場合は、ファクタリング利用時点で資金繰り計画を立て、口座の動きを徹底的にモニタリングすることが大切です。

支払いが難しくなったときの具体的対処法

万が一、ファクタリング会社への支払いが難しくなった場合でも、早めに行動することでトラブルの拡大を防ぐことができます。ここでは、具体的な対処法を見ていきましょう。

1. 速やかにファクタリング会社へ連絡

支払いが遅れそうだと判明した段階で、ファクタリング会社に正直に相談することが第一です。 状況を説明することで、支払い期日の一時的な調整や分割を模索できる場合もあります。もちろん、分割そのものが認められにくい仕組みではありますが、やむを得ない事情がある場合は早めに相談しましょう。

2. 弁護士や専門家への相談

支払いトラブルが深刻化しそうな場合、弁護士や税理士など専門家に助言を求めるのも有効な手段です。 専門家が間に入ることで、法的手続きや交渉をスムーズに進められる可能性があります。自社だけでは解決できない問題に直面したら、早めにプロを頼りましょう。

もし支払いが遅れたらどうなる?法的なリスクと流れ

ファクタリング会社への支払いが遅延すると、単に催促の連絡が来るだけでなく、法的な措置に発展する可能性があります。どのようなリスクがあるのか、事前に理解しておくことが重要です。

損害賠償請求のリスク

2社間ファクタリングにおいて、売掛先から入金された資金をファクタリング会社へ支払わなかった場合、契約違反となり遅延損害金を請求される可能性があります。遅延損害金の利率は契約書に明記されているため、必ず確認しましょう。場合によっては、横領罪などの刑事事件に発展するケースもゼロではありません。

訴訟や差押えに発展する可能性

支払いの遅延が悪質であると判断された場合、ファクタリング会社は債権回収のために訴訟を起こすことがあります。裁判で支払い命令が確定すれば、会社の銀行口座や他の資産が差し押さえられるリスクがあり、事業継続に深刻な影響を及ぼします。

ファクタリングトラブルの公的な相談窓口

悪質な業者とのトラブルに巻き込まれたり、高額な手数料で返済が困難になったりした場合は、一人で抱え込まずに公的な機関や専門家に相談することが解決への近道です。

金融庁:金融サービス利用者相談室

ファクタリングを装った違法な貸付(給与ファクタリングなど)に関する情報提供や相談を受け付けています。トラブルが貸金業法違反の疑いがある場合に有効な相談先です。
▶ 金融庁 金融サービス利用者相談室

日本弁護士連合会(日弁連)

全国の弁護士会では、ヤミ金融や悪質なファクタリング業者に関する無料相談窓口を設けている場合があります。法的な観点から具体的な解決策や交渉を依頼することができます。
▶ 日本弁護士連合会 全国の弁護士会の法律相談窓口

日本政策金融公庫や商工中金

そもそも資金繰りに困っている場合は、政府系の金融機関に相談するのも一つの手です。ファクタリングよりも低金利で融資を受けられる可能性があります。経営状況に応じた様々な融資制度について相談に乗ってもらえます。
▶ 日本政策金融公庫 融資制度を探す

分割払いを希望するなら「融資」も視野に

ファクタリングでは一括支払いが原則で、分割払いは法的にも難しいのが現状です。もし、定期的に分割で返済したいというニーズが大きい場合は、融資(デットファイナンス)を検討する方が良いでしょう。

融資のメリットと注意点

銀行や信用金庫などからの融資は、一度に多額の資金を借り入れ、分割で返済していく仕組みが一般的です。 メリットとしては、返済負担を長期に分散できることが挙げられますが、その分、審査が厳しく、担保や保証人が必要となるケースが多い点に注意が必要です。

ファクタリングと融資の併用も検討

急な資金ニーズにはファクタリングで素早く対応し、長期的な運転資金は融資で賄うといった併用プランも一案です。 いずれにしても、将来的なキャッシュフローを踏まえた資金計画を策定し、無理のない返済スケジュールを組むことが重要といえます。

ファクタリングの支払いに関するよくあるご質問(FAQ)

ファクタリングの支払いを1日でも遅れたら、すぐに訴えられますか?

すぐに訴訟に発展するケースは稀ですが、契約違反であることに変わりはありません。まず、契約書に基づいた遅延損害金が発生します。何よりも重要なのは、支払い遅延が判明した時点、あるいは予測できた時点で、速やかにファクタリング会社へ連絡し、誠実に状況を説明することです。無断での遅延は信頼関係を著しく損ない、厳しい対応を取られる原因となります。

売掛先が倒産した場合、ファクタリング会社への支払いはどうなりますか?

「ノンリコース(償還請求権なし)」契約であれば、売掛先の倒産によって売掛金が回収できなくなった場合でも、お客様(ファクタリング利用者)に支払い義務は発生しません。このリスクはファクタリング会社が負担します。ただし、契約が「リコース(償還請求権あり)」の場合はお客様が返済義務を負うため、契約前に必ずノンリコースであることを確認してください。

※償還請求権について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
償還請求権の意味とは?債務者の義務を解説

ファクタリング手数料が高すぎて支払えません。どうすればいいですか?

まず、支払いが困難だと感じたら、すぐに利用したファクタリング会社に相談してください。もし、法外な手数料を請求されている、悪質な業者かもしれないと感じた場合は、一人で悩まずに金融庁の相談窓口や日本弁護士連合会(日弁連)といった公的機関や専門家に助けを求めましょう。彼らは法的な観点から適切なアドバイスを提供してくれます。

まとめ

ファクタリングは、売掛金を早期に現金化し、急な資金需要に対応できる便利な手法です。しかし、分割払いは基本的に認められないという特性があるため、利用時には注意が必要となります。 もし「返済を分割で進めたい」というニーズがあるなら、融資や他の資金調達手段を視野に入れるのがおすすめです。 また、ファクタリングを利用する際は、違法性のある業者や高額手数料に注意し、信頼できるファクタリング会社を選ぶことが大切です。 一括支払いの原則を正しく理解し、キャッシュフロー管理を徹底すれば、ファクタリングは有効な資金調達方法となります。自社の状況や目的に合わせて最適な選択を行い、資金繰り改善につなげていきましょう。 また、ファクタリングの利用に当たって、事前にビジネスローンの活用もご検討ください!手数料と利率の違いはありますが、ファクタリングの利用前にビジネスローンの活用が資金調達の王道です!

最短即日融資!HTファイナンスのビジネスローン

急な受注や支払いが重なって、早急な資金調達が必要になったときに便利なのがビジネスローンです。 HTファイナンスでは、スピードと柔軟性を重視した独自の審査体制を整え、より早く経営者の皆様へ資金をご提供できるよう努めています。 必要書類もシンプルなので、準備に時間をかけることなくお申し込みいただけます。 また、オンラインやお電話でのやり取りを中心に契約まで進められるので、来店の手間を軽減できるのもポイントです。 事業拡大のチャンスを逃さないために、まずは一度HTファイナンスの借入枠診断をお試しください。

まずは借入枠診断からお申込み

 

監修者 三坂大作
監修者 三坂大作
略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社
資格
貸金業務取扱主任者(第F231000801号)
経営革新等支援機関
(認定支援機関ID:107813001112)
東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。
法人融資の専門家として、国内での金融業務に従事し、特にコーポレートファイナンス分野において豊富な経験を誇る。 同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。 法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。 金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
前へ

上場企業のファクタリングサービスを利用するメリットは?注意点や向いている場合についても紹介

一覧へ戻る

【専門家が解説】債権譲渡禁止特約はもう怖くない!民法改正でファクタリングの常識が変わった

次へ