公開日:2025.11.25
更新日:2025.11.25
請求書や領収書の偽造は犯罪!罰則や発生を防止する方法について紹介
会社経営をするなかで、請求書は日常的に扱う書類です。経営状況が厳しくなると、これらを偽造して、目先の問題を解決しようとする方もいるかもしれません。しかし実のところ、請求書の偽造は重大な犯罪行為にあたります。
請求書の偽造は、詐欺罪や私文書偽造罪に該当し、発覚すれば刑事罰だけでなく、企業の信用失墜や多額の損害賠償など深刻な結果を招きます。本記事では、請求書の偽造の具体的な事例や法的リスク、そして企業として偽造を防止するための効果的な対策を解説します。
- 請求書・領収書の偽造は「詐欺罪」や「私文書偽造罪」等の重罪にあたる
- 発覚すれば社会的信用を失い、取引停止や損害賠償で倒産のリスクも
- 偽造防止には社内のダブルチェック体制や電子インボイス導入が有効
- 資金難の解決には偽造ではなく「無担保ビジネスローン」等の正規手段を
請求書の偽造とは
請求書の偽造は、ビジネス取引において存在しない取引を作り出したり、実際の取引内容を不正に改変したりする行為です。多くの場合、不正な資金調達や経費の水増しを目的として行われます。
請求書を偽造することの危険性
請求書の偽造とは、実際には存在しない取引を装ったり、取引内容や金額を意図的に改ざんしたりして、不正に利益を得ようとする行為です。具体的には、架空の取引に基づく請求書を作成したり、実際の取引金額よりも高額な請求書を作成したりすることが該当します。
偽造された請求書は、主に不正な資金調達や経費の水増し、脱税などの目的で使用されることが多いものです。このような行為は、単なる不正経理ではなく犯罪行為にあたります。
請求書の偽造は、一時的な資金繰りの解決策として考える経営者もいますが、発覚した場合のリスクは非常に大きく、企業の存続すら危うくする可能性があります。
偽造された請求書が使われる状況
偽造請求書が使用される主な状況には、いくつかのパターンがあります。資金繰りに困った企業が、銀行融資を受けるための売上水増しとして使用するケースや、経費の過大計上による税金逃れを目的として利用されることがあります。
また、内部の従業員が、私的な利益を得るために架空の取引先からの請求書を作成し、会社の資金を不正に引き出すといった事例も報告されています。特に、内部統制が脆弱な中小企業が標的になりやすい傾向にあります。
さらに、企業間の取引において、取引先と共謀して実際よりも高額な請求書を発行し、差額を不正に得るという手口も存在します。このような行為は、組織的な犯罪に発展することもあります。
請求書の偽造に該当する主な行為
請求書の偽造には、様々な手口がありますが、大きく分けていくつかの典型的なパターンが存在します。
架空取引による請求書の作成
架空取引による請求書作成は、実際には存在しない商品やサービスの提供があったように見せかける手法です。例えば、存在しない取引先との取引を装い、架空の請求書を作成して経理処理を行うことがあります。
このような偽造は、売上高の水増しや経費の過大計上によって、会社の業績を良く見せかけたり、不正に資金を引き出したりする目的で行われます。実体のない取引を捏造するため、調査が入れば比較的容易に発覚するリスクがあります。
架空取引による請求書の偽造は、融資審査の際に業績を良く見せるために使われることも多く、金融機関を欺く詐欺罪にも該当する重大な犯罪です。
金額や日付の改ざん
実際に存在する取引の請求書の金額や日付を改ざんするケースも、請求書の偽造の一種です。例えば、10万円の取引を100万円に改ざんしたり、過去の取引日を現在の決算期に合わせて変更したりする行為が該当します。
金額の改ざんは、主に経費の水増しや売上の操作を目的として行われ、日付の改ざんは、決算対策や税務対策のために行われることが多いようです。デジタルデータの痕跡が残るため、専門家による調査で発覚しやすい特徴があります。
特に、電子請求書システムが普及している現代では、改ざんの痕跡が電子的に記録されることが多く、従来の紙の請求書よりも発覚リスクが高まっています。
他社名義での請求書の作成
他社の名義を無断で使用して請求書を作成する行為も、明らかな偽造行為です。他社のロゴや社印を模倣し、あたかもその会社からの正規の請求書であるかのように装います。
この手法は、取引先や金融機関に対して、信用のある企業からの請求書に見せかけることで、不正な資金移動や融資を引き出す目的で使用されます。他社の信用を不正利用する行為であり、名義を使用された企業からの損害賠償請求リスクも高まります。
最近では、デジタル技術の発達により、精巧な偽造が可能になっているため、企業は取引先との確認プロセスを徹底することが重要です。
資金繰りの悪化により不正を検討せざるを得ない状況であれば、現在の調達コストを見直すことが先決です。
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請求書の偽造に対する罰則
請求書の偽造は、単なる不正会計ではなく、法律で厳しく罰せられる犯罪行為です。その行為の内容や目的によって、適用される罪状や罰則が異なります。
詐欺罪が適用されたときの罰則
請求書の偽造により不正に資金を得た場合、詐欺罪が適用されます。刑法246条によれば、詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させた者」に適用され、10年以下の懲役に処せられます。
例えば、架空の取引による請求書を金融機関に提出して融資を受けた場合や、取引先に虚偽の請求書を送って支払いを受けた場合などが該当します。不正な金銭取得を目的とした請求書の偽造は、ほぼ確実に詐欺罪の構成要件を満たします。
詐欺罪は刑事罰だけでなく、被害者からの民事上の損害賠償請求も発生するため、経済的なダメージも非常に大きくなります。経営者個人の資産も、賠償の対象となる可能性があります。
私文書偽造罪が適用されたときの罰則
請求書の偽造は、刑法159条に規定される私文書偽造罪にも該当します。私文書偽造罪は、「行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書を偽造した者」に適用され、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
具体的には、他社の印鑑や署名を無断で使用した請求書の作成や、既存の請求書の内容を改ざんする行為などが該当します。偽造文書を実際に使用する「行使罪」も、同様の刑罰が科せられます。
私文書偽造罪は、詐欺罪と比べると刑罰は軽いものの、両方の罪に問われるケースも多く、実質的な刑罰は重くなる傾向があります。
公文書偽造罪が適用されたときの罰則
公的機関に提出する書類に関連した請求書の偽造の場合、刑法155条の公文書偽造罪が適用されることがあります。公文書偽造罪は、「行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公文書、図画若しくは電磁的記録を偽造した者」に適用され、1年以上10年以下の懲役に処せられます。
例えば、税務申告書に添付する請求書を偽造したり、公的助成金の申請に偽造請求書を使用したりした場合などが該当します。公的信用を害する行為として、私文書偽造よりも厳しく罰せられます。
また、組織的に行われた場合や反復継続的に行われた場合は、組織犯罪処罰法が適用され、さらに刑罰が加重される可能性があります。
請求書の偽造が発覚した後の影響

請求書の偽造が発覚した場合、企業や経営者個人に様々なリスクが生じます。法的責任だけでなく、社会的・経済的な影響も計り知れません。
企業の信用の失墜
請求書の偽造が発覚すると、企業の社会的信用は一気に失墜します。取引先や金融機関との信頼関係が崩れ、新規取引の停止や既存契約の解除につながる可能性が高まります。
特に上場企業の場合、株価の急落や株主からの訴訟リスクも発生します。非上場企業でも、風評被害による売上減少は避けられず、最悪の場合は倒産に至ることもあります。
また、金融機関からの融資引き上げや新規融資の拒否といった資金繰りの悪化も発生し、事業継続が困難になるケースも少なくありません。一時的な資金調達のつもりが、企業存続の危機を招くことになります。
契約の解除や損害賠償請求の殺到
請求書の偽造によって被害を受けた取引先や金融機関は、契約解除や損害賠償請求を行う権利を有します。不正に取得された資金の返還はもちろん、信用失墜による間接的な損害についても賠償を求められることがあります。
民法上の債務不履行や不法行為に基づく損害賠償請求は、刑事罰とは別に発生し、会社資産だけでなく個人資産も対象となる可能性があります。中小企業の場合、経営者個人の連帯保証も多いため、個人の資産も失うリスクが高まります。
また、偽造請求書に基づいて行われた取引は無効となる可能性もあり、関連する契約全体の見直しが必要になることもあります。
経営者個人の刑事責任の追求
請求書の偽造に関与した経営者や従業員は、前述の詐欺罪や文書偽造罪などの刑事責任を問われます。特に経営者は、直接指示していなくても監督責任を問われるケースがあります。
刑事罰として実際に懲役刑が科されると、事業継続が物理的に不可能になります。また、前科が付くことで将来的な事業展開にも大きな制約が生じます。
さらに、税務申告に関連した偽造の場合は、脱税による追徴課税や重加算税などの行政罰も加わり、経済的な負担が一層大きくなります。経営者としての社会的評価も大きく損なわれ、再起が難しくなることも少なくありません。
請求書の偽造を防止するための社内における対策
請求書の偽造のリスクを軽減するためには、企業として適切な予防策を講じることが重要です。社内体制の整備から技術的対策まで、複合的なアプローチが効果的です。
内部監視の徹底
請求書の偽造を防止する最も基本的な対策は、適切な内部統制システムの構築です。特に、請求書の作成・承認・支払いのプロセスにおいて、職務分掌を明確にし、複数の担当者によるチェック体制を整えることが重要です。
例えば、請求書の発行担当者と承認者を分け、さらに支払い処理を行う担当者も別にするという「三権分立」の体制を整えることで、単独での不正行為を防止できます。
また、定期的な内部監査を実施し、請求書と取引実態の整合性を確認することも効果的です。特に、高額な取引や不定期な取引、新規取引先との取引については、より厳格なチェック体制を敷くことが望ましいでしょう。
電子化による証跡の管理
請求書の電子化は、偽造防止に大きく貢献します。電子請求書システムを導入することで、作成・承認・支払いの各段階で履歴が記録され、不正な改ざんを検出しやすくなります。
特に、電子署名や暗号化技術を活用した電子インボイスシステムでは、文書の真正性を担保し、改ざんが行われた場合に警告を発する機能が備わっています。
また、クラウド型の会計システムやERP(統合基幹業務システム)を導入することで、取引データと請求書の整合性をリアルタイムで確認できるようになります。これにより、架空取引や金額の改ざんといった不正行為の発見が容易になります。
定期的な外部監査の実施
内部統制に加えて、定期的な外部監査を受けることも、請求書の偽造の抑止力となります。外部の公認会計士や監査法人による第三者視点のチェックは、社内では見落としがちな不正の兆候を発見する効果があります。
特に中小企業では、費用面から外部監査を敬遠しがちですが、不正発覚後の損失を考えれば、予防投資として十分に価値があります。
外部監査では、請求書と実際の取引記録の突合、取引先への残高確認、異常な取引パターンの分析などが行われ、不正行為の早期発見につながります。また、監査の存在自体が、不正行為を思いとどまらせる心理的効果も期待できます。
従業員教育や内部通報制度の充実
請求書の偽造を含む不正行為を防止するためには、従業員への教育も欠かせません。コンプライアンス研修を定期的に実施し、不正行為が企業にもたらすリスクや法的責任について理解を促すことが重要です。
特に経理担当者や営業担当者など、請求書を扱う機会の多い部署には、具体的な事例を用いた研修を行うことで、不正の兆候に気づく目を養うことができます。
また、不正行為を発見した場合に、安全に通報できる内部通報制度を設けることも効果的です。通報者の保護を明確にし、匿名での通報も受け付けるなど、従業員が安心して不正を報告できる環境を整えることが、早期発見・早期対応につながります。
デジタルの請求書の偽造への対策
テクノロジーの進化に伴い、請求書の偽造の手口も巧妙化していますが、同時に偽造を防止するためのデジタル技術も発展しています。
電子インボイスシステムの活用
電子インボイスシステムは、請求書の作成から送付、受領、保存までのプロセスをデジタル化することで、偽造リスクを大幅に低減する効果があります。日本でも、2023年10月からインボイス制度が始まり、電子インボイスの普及が進んでいます。
電子インボイスシステムでは、デジタル署名や暗号化技術により、請求書の真正性が保証され、改ざんが技術的に困難になります。また、すべての処理履歴が記録されるため、不正行為の追跡も容易です。
さらに、システム間の自動連携により、発注情報と請求情報の整合性チェックが自動化され、人為的なミスや不正の余地が減少します。業務効率化とセキュリティ向上の両面でメリットがある電子インボイスの導入は、現代の企業にとって重要な投資といえるでしょう。
AI技術による不正の検知
人工知能(AI)技術を活用した不正検知システムも、請求書の偽造対策として注目されています。これらのシステムは、過去の取引データを学習し、通常とは異なるパターンや不自然な取引を自動的に検出します。
例えば、同一取引先からの請求金額が突然増加した場合や、過去に取引のない相手からの高額請求、休日や深夜に処理された請求などを、異常値として検知し、警告を発することが可能です。
また、画像認識技術を用いて、請求書のフォーマットや署名、印影の一致性を検証したり、自然言語処理技術で請求書の内容に不自然な点がないか分析したりすることもできます。これらのAI技術は、日々進化しており、不正検知の精度も向上しています。
ブロックチェーン技術の活用
ブロックチェーン技術は、改ざん耐性の高さから、請求書の偽造対策として大きな可能性を秘めています。ブロックチェーン上に記録された請求書情報は、分散台帳によって管理されるため、事後的な改ざんが技術的に極めて困難です。
例えば、取引の発生時点で契約内容や金額をブロックチェーンに記録しておけば、後から請求書の内容を偽造しようとしても、原本との不一致が即座に判明します。
また、スマートコントラクト機能を活用すれば、請求書の発行から支払いまでを自動化し、人為的な操作余地を減らすことも可能です。現時点ではコスト面や技術的ハードルから普及途上ですが、将来的には、請求書の偽造対策の主流となる可能性を持つ技術です。
もし現在の借入返済が重く、資金繰りが回らない場合は、借り換えによる負担軽減も検討してください。
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まとめ
請求書の偽造は、単なる不正経理ではなく、詐欺罪や文書偽造罪に該当する重大な犯罪行為です。発覚した場合、刑事罰だけでなく、企業の信用失墜や損害賠償請求、最悪の場合は倒産というリスクを伴います。
資金繰りに悩む状況でも、不正行為に手を染めることなく、専門家への相談や、ビジネスローン等の合法的な資金調達手段を検討することが重要です。一時の迷いで犯罪に手を染める前に、まずは正規の金融機関へ相談しましょう。また、内部統制の強化、電子インボイスシステムの導入、従業員教育の徹底など、予防的な対策を講じることで、請求書の偽造のリスクを大幅に低減することができます。
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