公開日:2026.01.22
更新日:2026.01.27
「壁」を越えたその先へ —— 解散総選挙と、これからの「働く」を考える
「103万円の壁」が「160万円」へと引き上げられ、私たちの働く環境は大きく変わりました。長年の課題であった制度の壁が、国民の声と現実的な議論によって突破されたのです。
そして今、衆議院の解散・総選挙が発表されました。
制度というハードルが下がった今、私たち企業や働く個人は、次にどこへ向かうべきなのでしょうか。
政治の季節が再びやってくる中で、人材ビジネスに携わる身として、今の時代の流れとこれからの「働く」について、未来志向で考えてみたいと思います。
- 「160万円の壁」への引き上げにより、労働市場の自由化と人材流動が加速している
- 今後の地方創生と企業成長の鍵は、補助金(カネ)ではなく「人と知恵の流通」にある
- 「時間の壁」が消えた今、企業は従業員のリスキリング支援と高付加価値化が急務
2025年の熱狂と、勝ち取った成果を振り返る
結論:160万円の壁への引き上げは単なる減税ではなく、労働市場の自由化を意味します。企業は「働き控え」解消を好機と捉え、積極的な人材活用へ舵を切るべきです。
まずは、時計の針を少し戻してみましょう。
約1年前の2025年春、私たちは固唾を飲んで国会の予算審議を見守っていました。
連日のニュースやSNSでの議論、そして働く現場から上がる切実な声。あの時の熱気は、今でも鮮明に記憶に残っています。
当時、最大の争点だった壁の問題が解消されたことは、間違いなく私たち国民が政治に関心を寄せ、声を上げたことによる大きな成果です。
実際に、パートやアルバイトの方々の「働き控え」が減少し、年末の繁忙期に現場の活気が戻りつつある光景を目の当たりにすると、制度変更のポジティブなインパクトを肌で感じずにはいられません。
この成功体験は、日本の民主主義において非常に大きな意味を持ちます。
私たちは、「どうせ変わらない」という諦めから、「変えられるかもしれない」という希望へと、マインドセットを転換させることに成功したのです。
160万円への引き上げは、単なる減税措置ではなく、労働市場における「自由化」の第一歩だと言えるでしょう。(参考:厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」)
「カネ」の議論から、「ヒト」と「社会」の本質的議論へ
結論:壁の撤廃は通過点に過ぎません。少子高齢化が進む今、問われるのは一時的な金銭支援以上に、将来不安を払拭する「持続可能な社会保障」の再構築です。
しかし、壁がなくなったからといって、すべての課題が解決したわけではありません。
むしろ、制度が変わった今だからこそ、冷徹に現実を見つめる必要があります。
団塊の世代が全員75歳以上となる局面を迎え、医療や介護にかかる社会保障費は増え続けています。
これまでの政治手法で見られたような、一時的な給付金や補助金といった「カネ」を配るだけの政策は、いわば対症療法に過ぎません。
もちろん、困窮する方への支援は必要ですが、それだけでは持続可能な社会は作れません。
「手取り」の先にある「安心」
大切なのは、「人間本来の生活の安定」が担保される社会構造を作ることです。
少子高齢化対策一つとってもそうです。
単に子育て支援金を配るだけでなく、若者が将来に不安を感じずにキャリアを築ける環境、出産や育児でキャリアが分断されない柔軟な働き方、そして老後も安心して暮らせる社会保障制度。
これらがセットになって初めて、少子化という大きな流れを食い止めることができます。
今回の総選挙では、昨年のように「壁をどうするか(カネの話)」だけでなく、その先にある「どのような社会保障を構築するか(安心の話)」が問われるべきです。
弥縫策(びほうさく)の継ぎ接ぎではなく、抜本的な構造改革に踏み込めるかどうかが、各政党の力量を測る物差しとなるでしょう。
地方創生の鍵は「予算」ではなく「知恵の流通」にある
結論:地方創生に必要なのは予算(カネ)以上に「人と情報の流通」です。DXを活用し、都市部の知見を地方へ還流させる仕組みづくりが企業の新たな成長エンジンとなります。
視点を「地方」に移してみましょう。
日本全体の経済成長を牽引するには、東京一極集中の解消と地方経済の活性化が不可欠であることは論をまちません。
しかし、これまでの地方創生は、中央から地方へ「予算(カネ)」を流すことに主眼が置かれすぎていたように感じます。
ビジネスの4要素で見直す地方の課題
ビジネスには「人・モノ・カネ・情報」という4つの経営資源が必要です。
地方創生の現場を見ると、補助金によって「カネ」は届き、ハコモノなどの「モノ」は整備されました。
しかし、決定的に不足しているのは、それを動かす「人」と、ビジネスを生み出すための「情報(知恵)」ではないでしょうか。
カネだけを流し込んでも、それを運用する人材がいなければ、大切な税金は一瞬で溶けてなくなってしまいます。
今必要なのは、予算のばら撒きではなく、「人」と「情報」の流通量を増やす政策です。
幸いなことに、DX(デジタルトランスフォーメーション)やAIの進化により、物理的な距離による情報の格差は解消されつつあります。
東京にいなくても、最先端のビジネスに触れ、仕事ができる環境は整いました。
これからは、都市部の人材が地方の課題解決に参画したり、地方にいながらグローバルな仕事に従事したりといった、「知恵の還流」をどうデザインするかが鍵を握ります。
地方創生・企業成長モデルの転換
これまでのモデル(〜2024)
- 重視された資源「カネ(補助金)」と「モノ(ハコモノ)」
- 課題人材不足・情報の非対称性
- 結果一時的な効果・税金の浪費
これからのモデル(2025〜)
- 重視すべき資源「ヒト(人材)」と「情報(知恵)」
- 解決策DXによる知見の還流・リスキリング
- 結果自律的な成長・生産性の向上
地方自治体や地元企業も、「予算をもらう」発想から、「人材を惹きつける」発想へと転換しなければなりません。
魅力的な仕事、豊かな生活環境、そしてチャレンジできる風土。これらを整えることこそが、真の地方創生につながると私は確信しています。
壁を越えた先に求められる「スキルの壁」の突破
結論:「時間の壁」消失後は「スキルの壁」が課題となります。企業はリスキリング投資を行い、高付加価値業務へ人材をシフトさせることが生産性向上の絶対条件です。
さて、話を「働く現場」に戻しましょう。
103万円の壁が160万円になり、就業調整を気にせず働けるようになった今、企業と働き手の関係性も新たなフェーズに入っています。
「時間」の勝負から「価値」の勝負へ
これまでは「働きたくても働けない(時間の壁)」が課題でしたが、これからは「長く働くだけでなく、いかに価値を発揮するか(質の壁)」が問われるようになります。
企業側からすれば、長時間働けるようになったスタッフに対して、これまでと同じ単純作業だけを求めていては、生産性は上がりません。
AIやロボットができる仕事は任せ、人間にしかできない付加価値の高い業務を任せていく必要があります。
一方で、働く個人にとっても変化が必要です。
壁がなくなったからといって、漫然と労働時間を延ばすだけでは、本当の意味での収入アップやキャリア形成にはつながりません。
「時間の壁」が消えた今、次に越えるべきは「スキルの壁」です。
- ・デジタルツールを使いこなすリテラシー
- ・変化に対応する柔軟な思考力
- ・他者と協働して成果を出すコミュニケーション能力
こうしたスキルを身につけるための「リスキリング(学び直し)」は、もはや一部のエリートだけのものではありません。
パート・アルバイトを含むすべての働き手にとって、自分の市場価値を守り、高めるための必須科目となりつつあります。
私たち企業も、単に労働力を調整するだけでなく、従業員の教育やスキルアップに投資し、「ここで働けば成長できる」という環境を提供できるかどうかが、人材確保の生命線となるでしょう。
人材への投資を加速させるためには、安定したキャッシュフローが不可欠です。
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静かなる覚醒――若者たちが変える政治と未来
結論:若者層は一次情報に触れ、自らの力で社会を変える手応えを感じ始めています。この「静かなる覚醒」こそが、旧態依然とした構造を打破する最大の希望です。
最後に、少し希望のある話をしたいと思います。
昨年の予算審議から現在に至る流れの中で、私が最もポジティブに感じているのは、若者たちの変化です。
かつて「政治に無関心」「現状維持でいい」と思われていた30代以下の世代。物心ついた時から不景気しか知らず、将来に過度な期待を持たないと言われてきた彼らが、今、静かに覚醒し始めています。
ネットと情報の力によって、彼らは大手メディアのフィルターを通さず、直接一次情報に触れ、自分たちの頭で国の予算や行政のあり方を考え始めています。
これは、かつての熱狂的なブームや、特定の組織による動員とは異なる、もっと静かで、しかし確固たる「個」の意思表示です。
「自分たちの生活は、自分たちの選択で変えられる」
この実感を持った新しい世代が、今回の総選挙でも鍵を握ることは間違いありません。
古い利権構造やしがらみにとらわれない彼らの視点は、日本社会の停滞を打ち破る大きな原動力になるはずです。
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まとめ
160万円の壁への引き上げは、ゴールではなくスタートです。
制度というハード面の制約が取り払われた今、私たちには、その自由なフィールドで「どう働き、どう生きるか」というソフト面の進化が求められています。
間もなく行われる総選挙。それは単なる政党選びのイベントではありません。
これからの日本が、人口減少を嘆くだけの国になるのか、それとも一人ひとりの生産性と幸福度を高め、活力ある国へと生まれ変わるのか。
その分岐点を選択する機会です。
政治の動きは重要ですが、私たちビジネスパーソンの日常は止まることなく続きます。
「手取りを増やす」という目標を達成しつつ、私たち自身も変化を恐れず、新しい時代の働き方を模索していく。
喧騒に流されることなく、しかし確かな視点を持って、自分の足でしっかりと歩んでいく。
そんな前向きで自律した姿勢こそが、物価高や将来不安に負けない、本当の意味での「生活の安心」と「リラックスした日常」につながると信じています。
変化の激しい時代ですが、共に新しい「働く」の形を作っていきましょう。
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東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。
東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。







