公開日:2026.02.05
更新日:2026.02.05
【2026年最新】育成就労制度の活用法|外国人採用を武器に変え、人手不足を勝ち抜く中小企業の生存戦略
前回の記事では、AIやDXによる徹底的な省人化・自動化がいかに企業の生存に不可欠であるかを説きました。
しかし、どれほど優れたシステムを導入しても、それを使いこなし、新たな価値を創造するのは、他ならぬ「人」です。
少子高齢化という波は、日本から「若くて同質な労働力」を奪い去りました。今、経営者に求められているのは、不足分を「数」で埋める発想を捨て、異なる背景を持つ人材を組み合わせて最大火力を生み出す「人財ポートフォリオの再設計」です。
外国人材、シニア、女性、そして日本人労働者。多様性を「武器」に変えるための具体的な戦略を深掘りします。
この記事の要点
- 外国人採用は「穴埋め」ではなく、組織を活性化させる「質」の戦略へ。
- 育成就労制度の開始により、企業は人財から「選ばれる側」に立たされる。
- 日本人は「作業者」から、AIと多国籍チームを率いる「指揮者」へ進化すべき。
- 属性に関わらない「公平な評価インフラ」こそがダイバーシティ経営の成否を分ける。
育成就労制度による外国人採用の新常識:技能実習からのパラダイムシフト
結論:外国人採用は単なる不足の補填ではなく、企業の将来を担うリーダー候補との「共創」へと転換すべきです。
「労働力」から「次世代のリーダー候補」への意識改革
今なお多くの現場では、「日本人が集まらないから、仕方なく外国人を雇う」という消極的な採用が行われています。
しかし、このマインドセットこそが、実は組織の成長を阻む最大の要因です。彼らを単なる「手作業の担い手」と見なしているうちは、彼らが持つ真のポテンシャルを引き出すことはできません。
これからの時代、外国人材は「共に会社を成長させるパートナー」です。日本にはないハングリー精神や、異なる文化圏の視点を持つ彼らは、将来的に海外市場へ進出する際のブリッジ人材となり得る存在です。
「言葉が通じにくい不便な存在」と見るか、「自社にイノベーションをもたらす異能」と見るか。経営者のこの眼差し一つの差が、数年後の定着率と組織の活力を決定づけます。
【三坂’s Insight:金融のプロの眼差し】
銀行員時代、数多くの融資審査に立ち会ってきましたが、人件費を単なる「削るべきコスト」としか見ない企業は、中長期的に必ず競争力を失います。
逆に、人財を「未来への資本」と定義し、外国人材の教育に資金を投じる企業に対し、金融機関は「経営者の先見性と事業の持続性」を高く評価します。育成就労制度への対応は、まさに貴社の「信用力」を測る試金石なのです。
「育成就労制度」を戦略的に使いこなし、選ばれる企業になる
2024年に成立した「育成就労制度」は、従来の技能実習制度が抱えていた矛盾を解消し、外国人が日本でキャリアを積むことを前提とした画期的な転換です。出入国在留管理庁「育成就労制度について」
この制度の核心は、一定の条件下で「転籍(転職)」が認められる点にあります。これは企業側からすれば、過酷な「選別」の場に立たされることを意味します。
「給与が低い」「教育体制が不透明」「差別的な扱い」といった企業からは、優秀な人材は容赦なく去っていきます。
逆に、彼らのキャリア形成を支援し、特定技能への移行をスムーズに導く企業には、意欲の高い人材が定着し、口コミでさらなる優秀層が集まります。
育成就労制度への対応は、単なる法遵守ではなく、世界中の才能から「選ばれる企業」になるためのブランディング戦略そのものなのです。
外国人採用におけるパラダイムシフト
旧:技能実習(労働力の補填)
- 短期的な「作業員」単純労働の担い手として安価に雇用
- 固定的な関係転職不可を前提とした硬直的な管理
- コストとしての「人」最低限の教育で効率のみを重視
新:育成就労(共創パートナー)
- 次世代の「リーダー候補」将来の海外事業や現場改善の主軸
- 流動性と選別転籍可能。選ばれなければ去られる緊張感
- 資産としての「人」リスキリングとキャリア形成への投資
国内の潜在能力を再定義する:シニアと女性の活躍
結論:シニアや女性の活用は福利厚生ではなく生存戦略。柔軟な働き方とノウハウの資産化が組織の活力を生みます。
「定年」という概念をアップデートし、知見を資産化する
少子高齢化における最大の「埋蔵金」は、ベテラン層が持つ膨大なノウハウです。
多くの企業が定年を理由に、これらの知見を社外へ流出させていますが、これは経営資源の大きな損失です。体力が衰えたからといって、その知見までもが無価値になるわけではありません。
私は銀行員時代、数多くの決算書や現場を見てきましたが、人件費を「削るべきコスト」としか捉えていない企業は、短期的には利益が出ても、中長期的には必ず競争力を失う姿を目の当たりにしてきました。
シニア層の役割を「プレーヤー」から「エデュケーター(教育者)」や「改善の監督」へとシフトさせるべきなのです。
たとえば、匠の技を若手やAIに教えるための「標準化」作業に従事してもらう、あるいは若手マネージャーのメンターになってもらう。
シニアが誇りを持って働ける短時間勤務やジョブシェアリングを設計することは、人手不足解消の即効薬となります。
人財を「未来への資本」と定義し直すことで、金融機関からも「先見性のある投資先」として高い評価を得ることにつながります。
「柔軟な働き方」は福利厚生ではなく、生き残りのための投資
女性の活躍推進も同様です。いまだに「フルタイムで現場にいなければ評価されない」という古い評価基準が、多くの優秀な才能を埋もれさせています。
私がニューヨーク支店での勤務時代に痛感したのは、多様なバックグラウンドを持つ人間が混ざり合うことで生まれる、凄まじい「化学反応」の力です。
育児や介護といった制約がある人材が、その能力を100%発揮できるよう、在宅勤務やフレックス制を導入することは、もはや福利厚生ではありません。
優秀な人材を囲い込むための、文字通りの「生存戦略」です。日本の伝統的な「フルタイム至上主義」は、貴重な知的資産を自ら捨てているのと同義であり、バランスシートには載らない「最強の含み資産」をドブに捨てているようなものです。
多様な働き方を許容する組織は、結果として「変化に強い組織」になります。制約がある中でいかに成果を出すか、という思考が全社員に浸透すれば、それは業務の効率化やDXの推進にも直結します。
多様な人材を受け入れられない「硬直した組織」に、変化の激しい現代社会を生き抜く力はありません。
多様化する組織における「日本人労働者」の役割
結論:日本人は現場の作業員を卒業し、AIと多様な人財を統合して価値を最大化させる「指揮者」を目指すべきです。
「匠のこだわり」をデジタルの力で増幅させる
外国人が増え、AIが導入される中で、日本人の役割はどう変わるべきでしょうか。日本人が持つ最大の強みは、細部への「こだわり」と、現場から自発的に生まれる「改善(カイゼン)の文化」です。
この気質は、世界中のどの労働力にも負けない競争力の源泉です。
しかし、これまではその「こだわり」が個人の職人芸に留まっていました。これからの日本人は、自分の技術を抱え込むのではなく、それを「デジタルやマニュアルに落とし込む」役割を担うべきです。
自分の持っている高い基準を、AIや外国人、あるいは他部署と共有可能な「標準」に変換する。この「知の変換作業」に日本人のリソースを集中させることで、組織全体の品質を底上げすることが可能になります。
現場の「実行者」から、多様性を束ねる「オーケストレーター」へ
これからの日本人労働者に求められるスキルは、単なる作業の完遂力ではありません。
AIが出したデータを解釈し、外国人材と対話し、シニアの知恵を借りながら、一つのプロジェクトを完結させる「調整力(オーケストレーション)」です。いわば、異なる楽器を持つ演奏者たちを束ねる指揮者のような存在です。
この役割を果たすためには、既存社員に対しても「リスキリング(スキルの再開発)」が不可欠です。
私が推奨するのは、現場のリーダーが「異文化コミュニケーション」や「ITリテラシー」「データ分析」の手法を学び直すことです。テクノロジーと多様な人財を使いこなす「高度なマネジメント層」へと進化すること。
これこそが、日本人労働者の生き残る道であり、企業の付加価値を最大化する鍵となります。属性ではなく、明確な「成果」と「行動」に基づいた評価制度(インフラ)の上で、この指揮者たちが機能する組織こそが最強です。
三坂流・ダイバーシティ経営の本質:不公平感を排除する「評価インフラ」の構築
結論:ダイバーシティ経営の本質は、同質性の圧力を打破する経営者の覚悟と、公平な評価制度というインフラ構築にあります。
「異質」を排除する同質性の圧力を打ち破る、経営者の覚悟
ダイバーシティ(多様性)を推進する際、必ず直面するのが「これまでのやり方を変えたくない」という現場の強力な抵抗です。
日本企業に根強く残る「同質性の圧力」は、異質な視点や新しいアイデアを排除しようとする強力なブレーキとなります。これを打ち破れるのは、経営者の断固たる決意とメッセージ発信以外にありません。
私は経営支援の現場で、「なぜ、今わが社に多様性が必要なのか」を自分の言葉で語り続ける経営者の姿を重視しています。多様性を受け入れることは、一時的に組織の摩擦を増やし、管理コストを上げることになるかもしれません。
しかし、その摩擦こそが新しい価値を生むエネルギーなのです。同質性に安住し、静かに衰退していく道を選ぶのか、摩擦を恐れず進化の道を選ぶのか。経営者の覚悟が、そのまま企業の生存確率に直結します。
「公平な評価」が組織の心理的安全性を担保する
多様な人材が混ざり合う組織において、不公平感は最大の毒になります。「あの人は外国人だから」「あの人は女性だから」といった偏見に基づいた評価や役割分担は、一瞬で組織を崩壊させ、優秀な人材の流出を招きます。
経営において不公平は、組織を内側から腐敗させる最大のリスクなのです。
そこで私たちが推奨するのは、属性ではなく、明確な「成果」と「行動」に基づいた公平な評価インフラの整備です。
誰が、どのような貢献をすれば、どのように報われるのか。この基準を透明化し、全社員に共有することで、初めて「心理的安全性」が生まれます。
自分の背景に関わらず、正当に評価されると確信できる環境があってこそ、多様な人材は安心して持てる力を100%発揮し、組織に貢献しようとするのです。
評価制度の刷新は、ダイバーシティ経営における最も重要な「経営インフラの投資」であることを忘れてはなりません。
2030年を見据えた組織変革を、プロと共に
育成就労制度への対応や人財への投資には、戦略的な資金計画が不可欠です。累計1.2万社の支援実績を持つ私たちが、貴社の変革と資金調達を強力にサポートします。
まとめ:2030年、貴社の「多様性」は最強の武器になっているか
少子高齢化による労働力不足は、日本企業にとって「これまでの成功体験」を強制的にリセットさせる試練です。
しかし、この試練を乗り越え、AIという「仕組み」と多様な人財という「ソフト」を高度に融合させた企業にとって、世界はかつてないほど魅力的な市場となります。
人手不足を理由に事業を縮小し、消極的な延命を図るのか。それとも、世界中の才能を味方につけ、国籍や世代を超えた新たな価値を創造する「ハイブリッド組織」へと進化するのか。
その答えは、今日、あなたが隣に座る社員(あるいは未来の社員)にどのような「期待」を寄せるかによって決まるのです。
私がこれまで数多くの経営再建や成長支援に携わってきた経験から言えるのは、2030年に日本を、そして貴社を救う鍵は、今日から変革を始めるあなた自身の決断に他ならないということです。
多様性を力に変え、新しい時代の勝ち残りへと突き進んでいきましょう。








