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公開日:2026.01.27

更新日:2026.01.28

【中小企業の資金調達】まずは「融資」を極める!デットファイナンスの基礎知識と賢い選び方

中小企業の経営者が銀行融資を活用し、資金調達と事業成長を実現する様子。デットファイナンスの基礎や賢い選び方を象徴する。

企業の成長にとって、資金調達は血液を循環させる心臓のような役割を果たします。しかし、多くの経営者にとって「どの資金調達方法が自社に最適なのか」という判断は容易ではありません。

資金調達といっても、選択肢が多すぎて『結局、うちはどれを選べばいいんだ?』と頭を抱える経営者様は少なくありません。
しかし、それぞれの特徴を理解し、これらを混同せず、自社のステージや目的に合わせて使い分けることが、安定した経営の第一歩です。

本記事では、数ある資金調達手段の中でも、最も基本的かつ重要な「デットファイナンス(負債による調達)」に焦点を当て、その仕組みから具体的なメニューの選び方までを徹底解説します。

経営者として知っておくべき金融の基礎体力を、ここでしっかりと身につけていきましょう。

この記事の要約

  • 中小企業の資金調達は、経営権を維持できる「デットファイナンス(借入)」が基本戦略。
  • まずは「日本政策金融公庫」や「保証協会付き融資」など、低金利な公的制度をフル活用する。
  • 「プロパー融資」獲得には日頃の銀行交渉が不可欠。高金利なビジネスローンは優先順位を下げること。

資金調達の全体像と「デットファイナンス」の位置づけ

結論:資金調達は「資産・資本・負債」の3種類。中小企業は経営権を維持でき、コストが低い「負債(デットファイナンス)」を最優先に検討すべきです。

具体的な融資商品の話に入る前に、まずは会社経営における資金調達の全体像を整理する必要があります。企業の資金調達は、貸借対照表(バランスシート)の構造に基づき、大きく以下の3つのカテゴリーに分類されます。

資産を活用したファイナンス(アセットファイナンス)

これは、会社が保有している資産を資金化する方法です。典型的な例としては、遊休不動産や利用していない高額設備の売却が挙げられます。

また、近年利用が増えている「ファクタリング(売掛債権の売却)」もこのカテゴリーに含まれます。バランスシートの資産の部を圧縮して現金化するため、総資産利益率(ROA)の向上にも寄与する手法です。

銀行融資は実行までに時間がかかります。審査期間中の運転資金にお困りの場合は、融資までの「つなぎ資金」として、請求書を資金化するファクタリング(HTペイ)の活用も有効な手段です。

資本増強によるファイナンス(エクイティファイナンス)

新株を発行し、投資家から出資を受ける方法です。返済義務がない資金(資本)を調達できるため、財務体質は強化されます。

しかし、既存株主の持株比率が低下(希薄化)したり、配当政策や株主対応といった新たなコストと責任が発生したりします。ベンチャー企業やスタートアップでよく活用される手法です。

負債によるファイナンス(デットファイナンス)

そして、今回メインテーマとして取り上げるのが「デットファイナンス」です。これは銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などからの「借入」や「社債発行」を指します。

デット(Debt)とは「借金・負債」を意味しますが、ネガティブなものではありません。
利息制限法などのルールに基づき、比較的低コストで資金を調達でき、かつ経営権を維持したまま事業拡大が可能になるため、中小企業にとっては最優先で検討すべき調達手段です。

まずはこの「デットファイナンス」の主要なメニューを理解し、適切に活用することが、ファイナンス戦略の基礎となります。

確実性の高い選択肢:公的融資と信用保証協会の活用

結論:創業期や売上拡大期は、国が支援する「日本政策金融公庫」と「制度融資(保証協会付き)」が鉄則。低金利かつ固定金利での調達を目指しましょう。

デットファイナンス(融資)を検討する際、中小企業や小規模事業者がまず検討すべきなのが「公的融資」と「制度融資」です。

これらは国や自治体が政策としてバックアップしているため、民間銀行独自の融資よりも審査のハードルが比較的低く設定されていることが特徴です。

日本政策金融公庫(公庫)の役割

日本政策金融公庫は、政府系金融機関として「民間の金融機関を補完する」という役割を担っています。そのため、創業間もない企業や、一時的な業績悪化に苦しむ企業に対しても、セーフティネットとしての融資機能を果たします。

最大の特徴は、多くの場合で「固定金利」かつ「低金利」であることです。返済計画が立てやすく、長期的な資金繰りの安定に寄与します。

また、無担保・無保証人の融資制度も充実しており、経営者個人の連帯保証を外す動きも近年加速しています。
まずは公庫の窓口や、認定支援機関(税理士や中小企業診断士など)を通じて相談することが、資金調達の第一歩と言えます。

参考リンク:日本政策金融公庫「融資制度一覧」

制度融資と信用保証協会の仕組み

もう一つの重要な柱が、地方自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携して行う「制度融資」です。

通常、実績の少ない中小企業が銀行から直接融資を受けるのは困難です。

そこで、公的な機関である「信用保証協会」が借入の保証人となり、万が一返済が滞った場合には企業に代わって弁済(代位弁済)を行うことで、銀行が融資しやすくする仕組みが作られています。

企業側は融資の利息とは別に「信用保証料」を支払う必要がありますが、これにより数千万円単位の資金調達が可能になります。

特に、経済危機や災害時には「セーフティネット保証(4号・5号など)」が発動され、保証料の減免や別枠での融資が受けられるケースもあります。

メインバンクとの取引実績を作るという意味でも、制度融資の活用は非常に有効な戦略です。

経営者の信用力が試される「プロパー融資」の壁

結論:プロパー融資は銀行が100%リスクを負うため審査は厳格。獲得の鍵は、決算書の数値だけでなく、日頃の試算表提出などによる「信頼貯金」にあります。

公的融資や保証協会付き融資で実績を積んだ後に目指すべきなのが、「プロパー融資」です。
これは、信用保証協会の保証を付けず、銀行や信用金庫が100%自己責任(リスク)で企業に貸付を行う融資形態です。

プロパー融資が重要な理由

信用保証協会の保証枠には上限があります(一般的には無担保8,000万円、有担保2億円など)。事業が拡大し、年商が数億、数十億と伸びていく過程では、保証協会の枠だけでは資金需要を賄いきれなくなります。

その段階で必要不可欠になるのがプロパー融資です。
また、プロパー融資が実行されるということは、「銀行がその企業を優良な融資先として認めた」という証でもあり、対外的な信用力が大きく向上します。

審査のポイントと金融機関との関係構築

プロパー融資の審査は厳格です。決算書の数値(安全性、収益性)が良いことはもちろんですが、それ以上に「経営者との信頼関係」が重視されます。

銀行員は、決算書という過去の結果だけでなく、経営者の「将来のビジョン」や「返済の確実性」を見ています。
「この社長なら貸しても大丈夫だ」と思わせるためには、日頃から月次試算表を提出したり、事業計画の進捗を報告したりするコミュニケーションが欠かせません。

特に、メインバンクと呼べる金融機関との関係構築は重要です。いざという時に支えてくれるのは、普段から自社の内情を理解してくれている銀行担当者だからです。

プロパー融資の獲得は、一朝一夕にはいきません。長期的な視点での「信用貯金」が必要になるのです。

プロの視点銀行員は「通帳」を見ている

多くの経営者は決算書の「利益」ばかり気にしますが、銀行員がプロパー融資の審査で密かに重視するのは「預金通帳の動き」です。
税金の支払いに遅れはないか、給与の支払いは適正か、他行への返済約定は守られているか。日々の入出金管理にこそ、経営者の性格と企業の体質が現れることを知っておいてください。

銀行との交渉に不安はありませんか?

「プロパー融資を引き出したいが、銀行への説明資料が作れない」「決算書の見栄えを良くしたい」とお悩みの経営者様へ。元銀行員が貴社の財務部長代行として、融資獲得をサポートします。

注意が必要な「ビジネスローン」と資金調達の優先順位

結論:高金利なビジネスローンの安易な利用は、銀行からの信用を損なう恐れがあります。まずは低利な公的融資を最優先し、ノンバンクは最終手段と心得ましょう。

デットファイナンスの中には、銀行融資以外にもノンバンクなどが提供する「ビジネスローン」があります。これらは審査スピードが速く、無担保・無保証で借りられる商品も多いため、急な資金需要には便利に見えるかもしれません。

高金利のコストと信用の毀損リスク

しかし、ビジネスローンは一般的に金利が高く設定されています。銀行融資が数%(1〜2%前後)であるのに対し、ビジネスローンは10%〜15%、あるいはそれ以上の金利になることも珍しくありません。

高金利の借入は、確実に利益を圧迫します。本業の利益率を超えるような金利で借入を行えば、働けば働くほど資金が流出するという悪循環に陥りかねません。

また、決算書に高金利のビジネスローン借入残高があると、銀行からは「通常の融資が受けられないほど資金繰りが切迫している企業」と見なされる可能性があります。

これは将来的なプロパー融資の審査においてマイナス要因となり、結果として自社の首を絞めることになります。

資金調達の優先順位を間違えない

経営においては、資金調達の優先順位(Priority)を常に意識することが大切です。

  1. 最優先:日本政策金融公庫や制度融資(低金利・長期間)
  2. 次点:銀行・信用金庫のプロパー融資(実績作り・枠の拡大)
  3. 検討枠:親族・知人からの借入(条件次第)
  4. 最終手段:ビジネスローンや高コストなファクタリング

「借りやすいから」という安易な理由で優先順位の低い調達手段を選ぶことは、長期的な経営の自由度を奪うことになります。
どうしても短期的なつなぎ資金が必要な場合を除き、基本的には王道の融資ルートを開拓する努力を惜しんではいけません。

資金調達の優先順位ピラミッド
① 最優先(公的融資)
  • 日本政策金融公庫低金利・固定・無担保枠あり
  • 制度融資(保証協会)自治体のバックアップで借りやすい
② 目標(プロパー)
  • 銀行・信金のプロパー融資実績と信用が必要・枠制限なし
  • メインバンクとの取引将来の事業拡大に必須
③ 注意(その他)
  • ビジネスローン審査早いが金利高い・信用毀損リスク
  • 高コストなファクタリング最終手段として考える

まとめ

本記事では、資金調達の基本である「デットファイナンス(融資)」について解説しました。

負債による調達は、決して怖いものでも恥ずかしいものでもありません。適切に活用することで、自己資金だけでは実現できないスピードで事業を成長させるための「テコ(レバレッジ)」となります。

重要なのは、自社の現在のステージに合わせて、公的融資、制度融資、プロパー融資を使い分ける知識と判断力です。

融資の審査では、決算書の数字だけでなく、経営者の資質や事業計画の実現可能性が問われます。

金融機関は「雨の日には傘を貸さない」と揶揄されることもありますが、晴れているうち(業績が良いうち)に信頼関係を築き、強固な傘(融資枠)を用意しておくのが経営者の務めです。

もちろん、資金調達には銀行融資以外にも「社債」や「増資(エクイティファイナンス)」など、様々な選択肢が存在します。
一つの手法に固執せず、自社の成長フェーズに合わせて最適な手段を選べるよう、広い視野で財務戦略を構築していきましょう。

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三坂 大作
監修者三坂 大作
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役

東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。

東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。

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