公開日:2026.09.21
更新日:2026.09.21
エンジェル税制はベンチャー資金調達をどう変えるか|2026年改正と投資を受ける会社の実務

東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。貸金業務取扱主任者。
東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。貸金業務取扱主任者。
エンジェル税制は、一定の要件を満たすスタートアップへ投資する個人投資家に対し、投資時や株式売却時の税制上の優遇措置を設ける制度です。
2026年1月1日以後に取得する一定の株式については、前年に生じた株式譲渡益との関係でも優遇を受けられる仕組みが導入され、投資家が投資先を検討できる期間に余裕が生まれました。一方で、プレシード・シード特例の非課税措置には一定の保有期間も設定されています。
ただし、資金調達をする会社が「エンジェル税制が使えるので投資してください」と制度を前面に出すのは適切ではありません。
重要なのは、会社の要件、投資家の要件、株式の取得方法、投資契約、払込み、株主名簿、確認申請、投資家への書類交付までを、増資前から一つの資金調達プロセスとして設計しておくことです。
税制メリットがあるから良い投資になるわけではありません。投資家がまず見るのは、事業の成長性、経営チーム、企業価値、資金使途、資本政策、次回調達、EXITなどです。そのうえで、エンジェル税制を投資判断を補助する材料として位置付ける。この順番で考える必要があります。
▼ この記事で分かること
- 制度と改正エンジェル税制の主な優遇措置と2026年改正のポイント
- 投資家側投資家にとってのメリット・デメリットと注意点
- 会社側の実務対象企業・投資家の要件、申請の流れ、投資前に整えるべき実務
- 戦略エンジェル税制を資本政策・資金調達戦略へどう組み込むべきか
エンジェル税制はベンチャー資金調達をどう変えるのか
結論:2026年改正で投資家の選択肢は広がりましたが、会社側は投資前から制度利用の準備を整えることが重要です。
2026年1月1日以後、優遇措置Bやプレシード・シード特例の対象となる一定の投資では、必要な手続きを前提に、株式譲渡益が発生した翌年末までの投資について前年分所得税の還付を請求できる仕組みが導入されました。経済産業省は、令和7年度税制改正における「再投資期間の延長」として整理しています。
投資家から見れば、株式譲渡益が発生した年のうちに投資先を決め切らず、翌年まで候補を検討できる余地が生まれたことになります。資金調達側にとっても、投資家との接点を持てる期間が広がる可能性があります。
ただし、「改正されたから出資を受けやすくなる」とまでは言えません。投資家が最終的に判断するのは、その会社へ投資する合理性があるかどうかです。税制は投資判断を補助できても、事業性や資本政策の代わりにはなりません。
エンジェル税制にはどのような優遇措置があるのか
結論:優遇措置A・A-2・B、プレシード・シード特例では、対象要件や税務上の効果が異なります。
現在、エンジェル投資に関する主な措置は次のとおりです。このほか経済産業省は、自ら会社を設立する人を対象とした「起業特例」も設けています。
| 措置 | 主な控除先・内容 | 主なポイント |
|---|---|---|
| 優遇措置A | 投資額から2,000円を差し引いた一定額を総所得金額等から控除 | 控除対象投資額は「総所得金額等×40%」と「800万円」のいずれか低い額が上限 |
| 優遇措置A-2 | 控除方法はAと同様 | プレシード・シード特例の追加要件を満たす場合、外部資本比率要件が1/6以上から1/20以上へ緩和 |
| 優遇措置B | 一定の投資額を株式等の譲渡所得等から控除 | 原則として取得価額調整が行われる課税繰延措置 |
| プレシード・シード特例 | 一定の投資額を株式等の譲渡所得等から控除 | 適用額20億円以下の部分は原則として取得価額調整が不要。ただし2026年以降の取得分には保有期間に関するルールあり |
経済産業省は、各措置の基本的な対象企業を次のように示しています。ただし、いずれも設立年数以外の企業要件があります。
| 優遇措置A | 設立5年未満の企業 |
|---|---|
| 優遇措置A-2 | 設立5年未満の企業(プレシード・シード特例の企業要件を追加で満たす場合) |
| 優遇措置B | 設立10年未満の企業 |
| プレシード・シード特例 | 設立5年未満の企業 |
– 税金が戻る額ではない –
特に注意したいのが「800万円」という数字です。これは優遇措置Aで税金が800万円戻るという意味ではなく、所得控除の対象となる投資額の上限です。実際の所得税への影響は、投資家の所得などによって異なります。
– 税金が永久になくなるわけではない –
優遇措置AやBでは、税制適用後の株式の取得価額に一定の調整が行われます。「投資額の分だけ永久に税金がなくなる」という理解も適切ではありません。
会社側が投資家へ制度を説明する際は、こうした違いを曖昧にしないことが重要です。
2026年改正で何が変わったのか|令和7年度税制改正のポイント
結論:2026年改正では「再投資期間の延長」と「非課税措置の保有期間設定」が主な変更点です。
| 変更点 | 押さえておくべき内容 |
|---|---|
| 再投資期間の延長 | 優遇措置B・プレシード・シード特例の対象となる一定の投資について、要件を満たせば前年分所得税の還付を請求できる |
| 保有期間の設定 | 非課税措置に、原則として株式取得年の翌年末までの保有期間が設定された |
2026年1月1日以後、優遇措置Bやプレシード・シード特例の対象となる一定の株式を取得した場合、その年の株式譲渡益だけでは控除しきれない一定額について、要件を満たせば前年分所得税の還付を請求できるようになりました。
たとえば、2025年に株式譲渡益が発生し、2026年に対象となるスタートアップへ投資するケースでも、制度を利用できる可能性があります。
ただし、前年分の税金が自動的に戻るわけではありません。国税庁によれば、前年分の確定申告に、翌年中に対象株式を取得する見込みであることなどを記載した所定の書類を添付し、期限内に申告していることなどが必要です。投資した年についても、期限内の申告等が要件となります。
「前年に株式譲渡益がある」→「翌年に投資する」→「自動的に還付される」という制度ではありません。投資家は、投資する前年から税務手続を意識しておく必要があります。
また、2026年1月1日以後に取得した株式については、プレシード・シード特例などの非課税措置に、原則として株式取得年の翌年末までの保有期間が設定されました。
期間内に一定の譲渡をした場合は、非課税措置から課税繰延措置へ切り替わることがあります。IPOやM&A等の一定の場合の譲渡は除かれます。
したがって、「2026年から有利になった」とだけ説明するのも正確ではありません。再投資期間が広がった一方で、非課税措置には保有期間の条件が加わった、と理解するのが適切です。
エンジェル税制のメリット・デメリット|投資家と資金調達側の注意点
結論:税負担を軽減できる可能性がある一方、投資リスクがあり、会社側にも一定の手続負担があります。
投資家にとってのメリット
投資家にとっての主なメリット
- 優遇措置Aでは一定額を総所得金額等から、優遇措置Bやプレシード・シード特例では一定額を株式等の譲渡所得等から控除できる場合がある
- プレシード・シード特例では、一定の対象株式について適用額20億円以下の部分は原則として取得価額調整が不要となり、通常の課税繰延措置とは税務上の効果が異なる
- 一定の特定株式を売却して損失が生じた場合、一定の要件のもとで他の株式譲渡益との通算や、控除しきれない損失の翌年以後3年間の繰越控除が認められる場合がある
投資家が注意すべきデメリット・リスク
投資家が注意すべき点
- エンジェル税制は、スタートアップ投資の事業リスクをなくす制度ではない
- 投資先の業績が伸びなければ株式価値が下がる可能性があり、EXITできなければ投資資金を回収できない可能性もある
- 企業が事前確認を受けていても、それだけで個々の投資家への税制適用が保証されるわけではない
- 事前確認後に投資が行われた場合も、実際の投資について改めて確認手続が必要
資金調達側のメリットと実務負担
会社側から見ると、エンジェル税制の対象となり得ることは、個人投資家が出資を検討する際の判断材料を一つ増やす可能性があります。特に株式譲渡益が生じた個人投資家にとって、税制上の措置が再投資を検討する材料になる場合があります。
ただし、エンジェル税制の対象であることだけで、資金調達が成立しやすくなるわけではありません。投資家が見る中心は、あくまで事業の成長性、企業価値、経営チーム、資金使途、資本政策、次回調達、EXITなどです。
また、会社側には、企業要件の確認、確認申請の準備、投資家への確認書等の交付、株主名簿や株式異動の管理など一定の実務負担があります。
したがって、「税制メリットがあるから資金調達しやすい」と考えるのではなく、投資家へ提示できる判断材料が一つ増える一方、そのための手続きと管理体制も必要になる、と捉える方が実務的です。
出資を受ける会社が投資前に整えるべき実務
結論:会社・投資家・取得方法の3点を確認し、増資と税制の手続きを一体で設計することが重要です。
最初に確認すべきは、自社がどの措置の企業要件に該当し得るかです。設立からの期間、中小企業者への該当、未上場であること、大規模法人グループの所有状況、外部資本比率、研究開発等に関する要件、営業損益やキャッシュフローなど、確認項目は措置によって異なります。
「スタートアップだからエンジェル税制の対象になる」とは判断できません。
投資家側にも要件があります。エンジェル税制は個人投資家に対する税制上の措置であり、同族株主など一定の者については対象から除かれる場合があります。
さらに、株式の取得方法にも条件があります。直接投資の場合は、原則として株式発行時の金銭の払込みによる取得が前提であり、既存株主から株式を単純に譲り受ける場合とは区別する必要があります。
実務では、次の3点を分けて確認することが重要です。
- 01会社が対象か
- 02投資家が対象か
- 03取得方法が対象か
資金調達前には、事前確認制度を利用することもできます。
事前確認は必須ではなく、受けたからといって個々の投資家への税制適用が確定するわけでもありません。
そのため、投資家には「エンジェル税制を利用できます」と断定するより、次のように説明する方が正確です。
「当社については企業要件を確認しています。実際の適用には、投資時点の会社・投資家・取得方法等の要件確認、所定の確認手続、投資家自身の確定申告等が必要です」
投資契約・払込み・株主名簿を別々に管理しない
結論:税制申請のために後から書類を合わせるのではなく、増資を実行する時点で契約・払込み・株主情報・登記等の整合性を確保しておくことが重要です。
エンジェル税制の申請から確定申告までの流れ
直接投資の場合、会社側の確認申請と投資家側の確定申告を一続きの手続きとして考える必要があります。基本的な流れは次のとおりです。
- 01必要に応じて、資金調達前に企業要件の事前確認を受ける
- 02投資契約を締結し、投資家から株式の払込みを受ける
- 03スタートアップが、企業要件や実際の投資について都道府県等へ確認申請を行う
- 04交付された確認書等を会社から投資家へ渡す
- 05投資家が必要書類を添えて確定申告を行う
なお、認定LPSや認定ECFなどを経由する場合は、確認申請の方法や確認主体が直接投資の場合と異なります。資金調達を始める段階で、どの経路で投資を受けるのかを整理しておく必要があります。
申請前にそろえておきたい主な書類
必要書類は、利用する措置、事前確認の有無、直接投資・認定LPS・認定ECF等の投資経路によって異なります。そのうえで、直接投資の確認手続では、たとえば次のような書類や情報を整理しておく必要があります。
- 確認申請書
- 株式の払込みがあったことを確認できる資料
- 登記事項証明書
- 投資契約書
- 払込日時点の株主名簿
- 企業要件を確認するために必要となる事業・財務関係資料
申請時点で初めて資料を作り始めると、投資契約、払込日、株式数、株主名簿、登記などの間に不整合が生じることがあります。必要書類は最新の経済産業省ガイドラインと申請先の案内を確認し、増資の実行前から準備しておくことが重要です。
契約・払込み・登記・株主名簿を一致させる
ここで重要なのは、申請書だけを整えることではありません。次の情報について、会社法上必要となる決議、投資契約、払込記録、登記、株主名簿、資本政策表の間で矛盾がない状態を作る必要があります。
- 株式数
- 1株当たり払込金額
- 払込総額
- 払込期日
- 投資家
- 増資後の株式数
これはエンジェル税制に限った話ではありません。次回の資金調達、M&A、IPO、デューデリジェンスなどで過去の資本取引を確認される際にも、同じ資料が検証対象になります。
資金調達のたびに書類を作り直すのではなく、資金を受ける時点で、後から説明できる状態を作っておく。これが実務上の重要なポイントです。
エンジェル税制を資金調達戦略へどう組み込むべきか
結論:税制は投資理由そのものではなく、事業性と資本政策を説明した後に提示する「投資判断を補助する材料」と位置付けるべきです。
投資家へ先に説明すべきなのは、事業と資本の話です。
- なぜこの事業が成長できるのか
- 調達資金を何に使うのか
- 調達後に何を達成するのか
- 次回調達までどの程度の時間を確保できるのか
- どのような資本政策を想定しているのか
- 将来どのようなEXITを考えているのか
税制はその後です。エンジェル税制の対象となり得る場合も、次のような位置付けで伝えるのが適切です。
「当社への投資については、一定の要件を満たす場合にエンジェル税制を利用できる可能性があり、会社側で必要となる確認申請や書類交付に対応します」
制度要件を満たす会社であることと、投資対象として魅力のある会社であることは同じではありません。
税制を投資理由そのものにはしない。しかし、利用できる制度であれば正確に手続きを整え、投資家が判断できる材料として提示する。この線引きが重要です。

出資を受ける前に、資金繰りと次回調達まで設計する
結論:出資は返済不要だから資金繰りを見なくてよい、というわけではありません。調達後の資金使途と現金残高の推移、次回調達までの時間を先に確認する必要があります。
銀行融資と出資では、資金提供者が見る「出口」が異なります。
| 融資 | 返済原資と返済可能性 |
|---|---|
| 出資 | 事業成長、資金使途、企業価値、希薄化、次回調達、EXITなど |
ただし、「資金を受ける前から、後で検証できる資料を整えておく」という原則は共通しています。
エンジェル投資を受ける場合も、目先の調達額だけでなく、少なくとも3~6か月先の資金繰りを確認し、その先の事業計画と次回調達までの道筋を見ておく必要があります。
1,000万円を調達できるとしても、それだけでは十分ではありません。
その1,000万円を採用費、開発費、広告費、設備投資など何に使い、何か月分の事業活動を確保し、その間にどのKPIを達成し、次の資金調達や売上による自走へどうつなげるのか。そこまで説明できて初めて、調達額に意味が生まれます。
エンジェル税制の手続きが整っていても、資金使途とその後の資金計画が曖昧であれば、資金調達そのものの説明力は高まりません。
資金調達では、個別の商品や制度を先に選ぶのではなく、資金使途、必要時期、資金繰り、次の調達までを含めて順番を整理することが重要です。考え方については、「ミサカノミクスとは何か|三坂大作が語る資金調達の順番と判断軸」でも詳しく整理しています。
エンジェル投資を検討する会社が今確認すべきこと
結論:確認すべきなのは「税制が使えるか」だけではありません。制度要件、資本政策、増資手続、資金使途、調達後の資金繰りを、まとめて確認することが重要です。
今確認すべきこと
- 自社がどの優遇措置の対象になり得るか
- 投資家側の要件と株式取得方法
- 投資前の株主構成と増資後の持株比率
- 投資契約・払込み・登記・株主名簿の整合
- 調達資金の具体的な使途
- 3~6か月先の資金繰りと次回調達までの時間
- 投資後の確認申請・書類交付の担当と手順
慌てて決める必要がないこと
- 制度改正だけを理由に資金調達方法を変更する
- 税制メリットだけを理由に投資家を急がせる
- エンジェル税制を理由に企業価値を高く設定する
- 「対象企業だから適用される」と断定する
- 税制だけを資金調達の訴求材料にする
- 税制メリットを事業性より先に説明する
- 旧様式や過去の手続をそのまま流用する
エンジェル税制の利用を検討するとき、最初に税額計算だけを見ると順番を誤りやすくなります。まず「今回の出資を会社の資本政策としてどう位置付けるのか」を決め、そのうえで利用できる税制と必要な手続きを合わせる方が、実務として整理しやすくなります。
出資だけでなく、銀行融資、公的融資、制度融資なども含めて資金調達全体の順番を整理したい場合は、資金調達エージェントで、資金使途や資金繰りを含めた選択肢の整理を支援しています。
エンジェル税制についてよくある質問(FAQ)
エンジェル税制は、スタートアップなら利用できますか?
いいえ。会社の設立年数だけでなく、中小企業者要件、株主構成、外部資本比率、事業内容や各措置固有の要件などを確認する必要があります。企業要件は、利用する措置によっても異なります。
事前確認を受ければ、投資家は必ず税制優遇を受けられますか?
いいえ。事前確認は、資金調達前に会社の企業要件について確認を受ける仕組みです。実際の投資後には改めて必要な確認手続があり、投資家自身にも要件や確定申告の手続きがあります。
優遇措置Aの「800万円」は、800万円の税金が戻るという意味ですか?
違います。800万円は、所得控除の対象となる投資額の上限の一つです。実際の税負担への影響は、投資家の所得等によって異なります。
2026年からは、前年に株式譲渡益があれば翌年に投資するだけで還付されますか?
いいえ。前年の確定申告時に所定の書類を期限内に提出していることなど、複数の要件があります。投資後に前年分の所得税が自動的に還付される制度ではありません。
法人投資家もエンジェル税制の対象になりますか?
エンジェル税制は、一定のスタートアップへ投資する個人投資家に対する所得税上の特例措置です。法人投資家が行う投資について、法人そのものがこの個人向けエンジェル税制の適用を受ける制度ではありません。
既存株主から購入した株式もエンジェル税制の対象になりますか?
いいえ。既存株主から購入・譲受けした発行済株式は対象になりません。直接投資では、新規発行株式を金銭の払込みにより取得することが基本です。
投資時のエンジェル税制は住民税にも適用されますか?
投資時点の優遇措置は所得税のみで、住民税には適用されません。一方、売却時点の一定の優遇措置は、所得税と住民税の双方が対象です。
まとめ|エンジェル税制は税金の話ではなく、資本政策の一部として考える
結論:エンジェル税制を活用するなら、投資家の税制メリットだけでなく、投資前の資本政策、増資手続、資料整備、資金使途、調達後の計画まで含めて設計することが重要です。
エンジェル税制について経営者が誤解しやすいのは、「投資家の確定申告の話だから、会社側にはあまり関係ない」と考えることです。
しかし実際には、自社がどの措置の対象になり得るのかを確認し、投資家や取得方法、投資契約、増資条件、払込み、株主情報、確認申請まで一連の流れとして整える必要があります。
つまり、エンジェル税制は税務手続だけで完結する制度ではなく、会社の資本政策、法務、財務管理とつながっています。
2026年からは、一定の手続きを前提に再投資期間が延長され、前年に株式譲渡益を得た人が翌年にスタートアップへの投資を検討できる余地が広がりました。一方で、非課税措置には一定の保有期間も設定されています。
会社側に必要なのは、「エンジェル税制が使えます」と強く訴えることではありません。「どの措置の対象になり得るのか」「会社では何を確認しているのか」「投資後にどのような手続きを行うのか」を、投資家に正確に説明できる状態を作ることです。
銀行融資と出資では資金提供者が見るポイントは異なりますが、資金を受ける前から、後で検証できる資料を整えておくという原則は共通しています。
エンジェル税制を活用するのであれば、税制だけを見るのではなく、事業計画、資本政策、資金使途、株主名簿、投資契約、払込記録、調達後の資金繰り、EXITまで含めて設計する。それが、制度を事業成長へつなげるための現実的な使い方だと考えます。
本記事は、当サイトのコンテンツポリシーに基づき、ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・三坂大作が執筆し、資金調達顧問・丹下浩一が監修しています。

早稲田大学理工学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。法人営業・国際業務・市場営業・支店長・内部監査を歴任し、退職後は事業会社にて経営企画・業務統括責任者を経験。銀行の審査側の論理と事業会社経営の実情の双方に通じた資金調達のスペシャリストとして、中堅中小企業の"実行型支援"を展開。
早稲田大学理工学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。法人営業・国際業務・市場営業・支店長・内部監査を歴任し、退職後は事業会社にて経営企画・業務統括責任者を経験。銀行の審査側の論理と事業会社経営の実情の双方に通じた資金調達のスペシャリストとして、中堅中小企業の"実行型支援"を展開。







