公開日:2026.09.16
更新日:2026.09.16
日本成長戦略の「17の戦略分野」は中小企業に何を変えるか|62の製品・技術と資金調達の順番

東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。貸金業務取扱主任者。
東京大学法学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
さらにニューヨーク支店にて国際金融業務も経験し、法務と金融の双方に通じたスペシャリストとして、30年以上にわたり中小企業・個人事業主の“実行型支援”を展開。貸金業務取扱主任者。
2026年7月21日、政府は「日本成長戦略」を閣議決定しました。その中核となるのが、AI・半導体、造船、量子、航空・宇宙、資源・エネルギー安全保障・GX、創薬・先端医療、フードテックなどの「戦略17分野」と、そこから選定された62の「主要な製品・技術等」です。
政府資料では、この62の製品・技術等について、2040年度までに累計370兆円を超える官民投資が期待されるとしています。
ただし、中小企業の経営者がこの政策を読むとき、「自社は17分野のどこに入るのか」「使える補助金は何か」から考え始めるのは早いと考えます。先に確認すべきなのは、自社の技術、設備、人材、取引関係が、62の製品・技術のどの工程、どの課題、どの供給網に接続できるのかです。
そのうえで、誰から受注し、どれだけの粗利益が残り、どの時点で資金が必要になり、何を返済原資とするのかまで説明できる状態にする。ここまで整理して初めて、日本成長戦略は自社の経営判断につながります。
▼ この記事で分かること
- 政策の読み方戦略17分野と62の主要な製品・技術等を、中小企業がどう読むべきか
- 事業機会自社が戦略分野そのものに属していなくても、供給網へ接続できる可能性
- 資金調達研究・試作、受注、量産、安定化で資金調達を分ける考え方
- 判断の順番今確認すべきことと、政策期待だけで急いで決める必要がないこと
日本成長戦略の「17の戦略分野」を中小企業はどう読むべきか
結論:17分野のどこに自社を分類するかより、62の製品・技術のどこへ自社の機能を接続できるかを見ることが重要です。
日本成長戦略で示されている戦略17分野は、次のとおりです。
ここで注意したいのは、この17分野を「対象業種の一覧表」のように読まないことです。
例えば金属加工会社であっても、会社そのものが「航空・宇宙企業」や「防衛企業」である必要はありません。航空機、人工衛星、ロケット、無人航空機、AIロボットなどに使われる精密部品や耐熱部材を加工できるのであれば、複数の戦略分野との接点が生まれる可能性があります。
システム開発会社も同じです。AI企業を名乗っていなくても、製造現場のデータ処理、港湾物流DX、医療DX、サイバーセキュリティ、設備の予知保全などで接続できる場合があります。
建設会社、設備工事会社、物流会社、倉庫会社、保守会社であれば、半導体工場、データセンター、植物工場、エネルギー設備などの建設、施工、物流、保守、運用を担うことで、戦略分野を支える側に回る可能性があります。
つまり、中小企業が見るべきなのは「自社は17分野の何業か」ではありません。新たな産業構造の中で、自社は何を担えるのか。この視点から見る必要があります。
62の「主要な製品・技術等」とは何か
結論:62項目は、17の戦略分野をより具体的な投資対象へ落とし込んだものであり、中小企業は全項目を追うより、自社が担える工程との接点を探すことが重要です。
政府は、国内の経済安全保障等に関するリスク低減の必要性、海外市場の獲得可能性、関係技術の革新性などの観点から、官民投資を優先的に支援する必要性が高いと考えられる「主要な製品・技術等」を選定しています。
例えばAI・半導体分野では、フィジカルAI、AIロボット、フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体など、より具体的な製品・技術レベルまで投資対象が整理されています。
中小企業が62項目すべてを詳細に追う必要はありません。重要なのは、自社の技術、設備、人材、工程が、その製品・技術を実現するためのどの部分に必要とされるかを確認することです。
この視点を持つことで、「政策上の成長分野に関係しているように見える事業」と、「実際に自社の受注や投資へつながる可能性がある事業」を分けて考えやすくなります。
「370兆円」という数字をどう読むべきか
結論:370兆円超は政府が企業へ配る資金ではなく、62の製品・技術等で期待される官民投資の累計額です。
日本成長戦略で示された「2040年度までに累計370兆円超」は、政府が370兆円を企業へ支給するという意味ではありません。62の「主要な製品・技術等」について期待される官民投資額を積み上げたものであり、2040年度までの投資額が示されていない項目もあることから、「370兆円超」と整理されています。
政府側の投資についても、個別の支援策は予算編成過程で必要性や効果を見極めながら具体化すると説明されています。
したがって、「370兆円市場だから自社も伸びる」と考えるのではなく、その投資のうち、自社へ実際に発注する可能性がある顧客は誰かから逆算する必要があります。
62の主要な製品・技術等についても、今後の戦略改訂に伴って追加・見直しが行われる可能性があるため、現在の一覧だけを前提に長期の事業計画を固定することは避けた方がよいでしょう。
中小企業の機会は「戦略分野そのもの」より供給網への接続にある
結論:政策による投資拡大が中小企業へ波及するとすれば、補助金だけでなく、部品・施工・物流・保守などの新しい商流を通じてです。
中小企業が62の「主要な製品・技術等」そのものを開発していなくても、事業機会がないわけではありません。考えられる接続の型は、次のように整理できます。
| 製品・技術の開発 | 独自製品、ソフトウェア、新素材、装置 |
|---|---|
| 部品・工程 | 部品加工、表面処理、金型、組立て、検査 |
| 導入・実装 | システム導入、施工、設置、運用支援 |
| 維持管理 | 修理、保守、更新、サイバー対策 |
| 周辺インフラ | 物流、倉庫、電力、通信、建設、人材 |
| 品質・標準化 | 認証、測定、試験、トレーサビリティ |
| 海外展開 | 輸出、ライセンス、販売網、コンテンツ展開 |
政府は17分野に加え、「投資促進(新技術立国・競争力強化)」「人材育成」「スタートアップ」「金融」「労働市場改革」「家事等の負担軽減」「賃上げ環境整備」「サイバーセキュリティ」という8つの分野横断的課題も設定しています。
さらに、地域では戦略産業クラスター等を通じた産業集積も進める方針が示されています。大手・中堅企業の設備投資が実際に増えれば、部品、材料、システム、建設、物流、保守などへの発注が増える可能性があります。
一方で、新しい供給網へ入るには、価格だけでは足りません。
- 継続供給能力
- 品質保証
- 納期管理
- 情報管理
- サイバーセキュリティ
- 知的財産管理
- 事業継続体制
政策によって市場が拡大することと、自社がその市場へ参入できることは別の問題です。営業戦略だけではなく、生産、品質、財務、資金調達まで一体で設計する必要があります。
まず作るべきは「政策接続マップ」である
結論:補助金や成長市場を探す前に、「自社の強み→顧客→必要投資→収益化」までを一枚につなげることが先です。

本記事では、このように自社の能力と政策分野との接点を整理する表を、便宜上「政策接続マップ」と呼びます。
| 現在の強み | 技術、設備、資格、人材、顧客基盤、知的財産 |
|---|---|
| 接続する製品・技術 | 62項目のうち、自社が関与できる対象 |
| 担当できる工程 | 開発、加工、導入、保守、物流、検査など |
| 解決する課題 | 人手不足、国産化、軽量化、省エネ、供給安定など |
| 想定顧客 | 元請企業、中堅企業、自治体、研究機関等 |
| 必要な追加投資 | 設備、人材、認証、システム、研究開発 |
| 収益化までの道筋 | 試作、実証、受注、量産、回収までの期間 |
特に重要なのは「想定顧客」です。顧客候補が見えていない状態で大型設備だけを導入すると、政策との接続はできても、売上との接続ができないことがあります。
接続可能性を判断するときは、自社に加工、制御、検査、施工などの既存の強みがあるかだけでなく、すでに大手・中堅企業との取引があるか、新しい仕様や増産について具体的な相談を受けているかまで確認します。こうした事実があれば、「政策上の成長市場」という抽象的な期待を、具体的な顧客需要へ落とし込みやすくなります。
反対に、顧客候補や具体的な商談が見えていない段階では、投資を急ぐ必要はありません。まず試作、仕様確認、見積り、共同開発など、小さな接点から需要を確認する方が現実的です。
政策との接続を示すだけでは不十分です。誰の、どの課題を、何によって解決し、いつ受注し、いつ入金されるのか。ここまで具体化して初めて、事業計画と資金調達計画になります。
成長投資の資金調達は4段階に分けて考える
結論:研究・試作、受注対応、量産投資、財務安定化では資金の性質が異なるため、一つの調達手段ですべてを賄おうとしないことが重要です。
戦略分野への参入では、資金需要が一度に発生するとは限りません。研究開発、試作、認証、受注対応、量産設備、仕入れ、人材採用と、事業の進行によって必要となる資金の性質が変わります。
第1段階|技術と需要を確認する資金
試作、研究開発、顧客調査、共同開発、認証取得などの段階です。まだ売上が確定していない時期に大型借入れを先行させると、返済開始と事業化の時期が合わなくなることがあります。
自己資金、研究開発支援、補助制度、共同開発先との費用分担、出資などを含め、初期投資を必要以上に膨らませない設計が重要です。
第2段階|受注に対応する運転資金
試作品の採用や受注が決まると、原材料、外注費、人件費、在庫などの支払いが入金より先に発生する場合があります。ここで確認すべきなのは受注額ではなく、支払いから売掛金回収まで、最大いくらの資金が先に出ていくのかです。
売上が増えているのに手元資金が減る、いわゆる増収局面の資金不足には注意が必要です。利益計画とは別に、入出金の時間差を確認する必要があります。
第3段階|量産・設備投資の資金
継続受注や量産の見通しが具体化してから、設備投資、工場増設、システム投資、人材採用などを検討します。
長期融資、政策金融、信用保証付き融資、リース、補助制度、資本性資金などが選択肢になりますが、利用できる手段や条件は企業ごとに異なります。ここで重要なのは、設備の使用期間・投資回収期間と、返済期間を合わせることです。
政府の金融政策でも、成長投資を支える資金供給機能の強化が政策課題とされています。政府が2026年7月21日に策定した「成長投資を促進するための金融戦略」では、官民連携による17の戦略分野等への成長資金の供給拡大や、銀行等の資金供給・成長支援機能の強化などが掲げられています。
金融機関側でも、デットだけでなく、案件の性質に応じてメザニンやエクイティ等を含む資金供給を検討する方向性が議論されています。ただし、政策として資金供給を後押ししていることと、個別企業の調達可否は別です。
第4段階|成長後の財務を安定させる資金
事業が軌道に乗った後は、借入期間、返済条件、金利、担保・保証などを改めて確認します。
短期資金は、受注機会を逃さないための時間確保には使えます。しかし、長期間利用する設備や長期開発を短期資金だけで支え続けると、事業から資金を回収する時期と返済時期が合わなくなることがあります。
短期対応を恒常化させず、どの時点で中長期資金へ組み替えるのかまで考えておくことが必要です。
補助金が使えても、資金繰り表は必要になる
結論:補助金は投資負担を軽減する手段の一つであり、自己負担分や入金までの時間差を含む資金繰りまで解決するとは限りません。
政策との関連性が高い事業であっても、補助金だけで成長投資が完結するとは限りません。補助対象経費、補助率、自己負担、支払時期、事業期間、賃上げ要件などは制度ごとに異なり、採択された場合でも、支出が先に発生し、補助金の入金まで資金をつなぐ必要が生じることがあります。
制度例として、中小企業成長加速化補助金では、売上高100億円超を目指す中小企業等の投資について、最大5億円、補助率2分の1の支援枠が設けられています。
公募時期、対象要件、申請条件等は変更される可能性があるため、利用を検討する際は最新の公募情報を確認する必要があります。
「補助金が採択されなければ成立しない事業なのか」を確認しておくことです。不採択なら投資を止めるのか、設備規模を縮小するのか、時期をずらすのか、別の資金調達方法を使うのか。この代替案まで準備しておけば、補助金の結果と会社全体の資金繰りを切り分けて判断できます。
金融機関が見るのは「17分野」ではなく返済原資である
結論:政策対象であることは説明材料になりますが、最終的には「誰に売り、どれだけ利益が残り、何から返すのか」を説明できることが重要です。
金融機関への説明で、「政府の重点分野なので伸びます」というだけでは、融資判断に必要な材料として十分ではありません。実務上、整理しておきたいのは次のような事項です。
金融機関への説明で整理しておきたい事項
- 具体的な受注先・商談状況
- 自社の技術やサービスが選ばれる理由
- 売上、粗利益、営業利益の見通し
- 設備投資額と投資回収期間
- 受注から入金までの期間
- 既存借入れと今後の返済負担
- 主要取引先への依存度
- 技術開発や認証取得の遅延リスク
- 補助金が利用できなかった場合の代替案
- 月次試算表、資金繰り表等の更新状況
金融庁は、事業の将来性に基づく「事業性融資」の推進に取り組んでいます。2026年5月25日には事業性融資の推進等に関する法律が施行され、企業価値担保権制度も開始されています。また、地域金融力強化プランでは、地域金融機関等による中堅・中小企業の価値向上や成長支援を政策課題としています。
ただし、成長分野だから融資判断の基礎がなくなるわけではありません。むしろ将来投資であるほど、「なぜ今この投資が必要なのか」「いつ、どれだけの売上と利益になるのか」「その利益とキャッシュフローから、どのように返済するのか」を具体的に説明する必要があります。
政策との接続は、その説明を補強する材料の一つと考える方が適切です。
経営者が今から90日で確認するなら、この順番で進める
結論:「自社の能力→実際の需要→事業・資金計画」の順で確認し、補助金や大型投資を先行させないことが基本です。
90日という期間がすべての企業に当てはまるわけではありませんが、整理の順番としては3段階に分けると分かりやすくなります。
- 01自社の能力を棚卸しする
- 02実際の需要を確認する
- 03事業計画と資金計画を作る
最初の30日|自社の能力を棚卸しする
技術、設備、人材、資格、顧客、知的財産等を整理し、62の製品・技術との接続候補を数件まで絞ります。この時点では、補助金検索よりも「自社は何を提供できるのか」を明確にすることを優先します。
次の30日|実際の需要を確認する
既存顧客、取引先、業界団体、研究機関、自治体などから、関連する投資計画や需要を確認します。顧客が求める品質、価格、供給量、認証、納期を把握し、いきなり量産ではなく、試作や共同開発から始められないかを検討します。
あわせて、必要となる投資額や資金需要が見え始めた段階で、取引金融機関とも計画を共有します。
この段階では、一社からの相談だけを市場全体の需要と考えないことも重要です。継続受注につながるのか、他の顧客にも展開できるのかを確認し、特定の一社や一件の案件だけに投資判断を依存させないようにします。
その次の30日|事業計画と資金計画を作る
最低限、次の資料をそろえます。
そろえておきたい資料
- 月次試算表
- 12か月程度の資金繰り表
- 借入一覧と返済予定
- 設備投資の見積書
- 受注・商談状況の一覧
- 売上、粗利益、投資回収期間の計画
- 補助制度を利用できなかった場合の代替案
- 投資を段階化・縮小した場合の計画
ここでは、投資額が現在の売上規模や財務体力に対して過大になっていないか、想定する粗利益で追加運転資金と返済を賄えるかも確認します。事業化まで時間がかかる計画であれば、短期返済を前提とした資金調達になっていないかも見直す必要があります。
また、月次試算表、売掛金の状況、借入残高・返済予定などの基礎資料が古いままでは、投資判断そのものの精度が落ちます。政策との接続を説明する前に、現在の財務状況を説明できる状態にしておくことが重要です。
金融機関への相談も、融資申込の直前になって初めて行うのではなく、投資計画がある程度具体化した段階から説明を始めることで、事業内容や資金需要を共有しやすくなります。
今確認すべきこと/慌てなくてよいこと
結論:今確認すべきなのは顧客・投資額・資金ギャップであり、政策キーワードだけを理由に新規事業や大型投資を急ぐ必要はありません。
今、経営者が確認しておきたいこと
- 62の製品・技術のどこへ自社が接続できるのか
- 実際に発注する可能性がある顧客はいるのか
- 求められる品質、認証、供給量、納期は何か
- 追加投資はいくら必要か
- 受注から入金までに最大いくら資金が先行するのか
- 3か月先、6か月先の資金残高はどうなるのか
- 投資した資金を何から回収・返済するのか
一方で、今すぐ行う必要がないのは、「AIだから参入する」「GXだから設備を買う」「政府が370兆円投資するから先に借りる」といった判断です。また、一社からの受注見込みや一つの補助制度だけを前提に、大型投資を決める必要もありません。
補助金についても同様で、自社の接続先、顧客、必要投資を整理し、不採択や受注未達の場合にどこまで投資規模を調整できるかを確認してから制度を探した方が、資金使途と制度要件を合わせやすくなります。
政策情報への反応速度よりも、判断する順番の方が重要です。
よくある質問|17の戦略分野と中小企業への影響
結論:戦略分野に該当するだけで受注や資金調達が決まるわけではなく、自社の具体的な役割と事業性を確認する必要があります。
自社の業種が17分野に入っていなければ関係ありませんか?
いいえ。自社が17分野の製品開発企業でなくても、部品加工、施工、物流、保守、システム、検査など、その供給網を担うことで接点が生まれる可能性があります。
62の主要な製品・技術等に該当すれば補助金を受けられますか?
62項目への関連性だけで補助金の利用が決まるわけではありません。各制度には対象者、対象経費、公募期間、審査等の個別要件があるため、最新の公募要領を確認する必要があります。
戦略17分野であれば融資を受けやすくなりますか?
政策上の重点分野であることは事業説明の材料になり得ますが、それだけで融資可否が決まるわけではありません。受注見込み、利益、資金使途、財務状況、返済原資などを含めて個別に判断されます。
370兆円は政府の補助金予算ですか?
いいえ。62の主要な製品・技術等に関して期待される官民投資の累計規模です。政府による支援と民間による設備投資・研究開発等を含む考え方であり、企業への直接給付額を示す数字ではありません。
中小企業はまず何から始めるべきですか?
自社の技術・設備・人材等を棚卸しし、どの製品・技術のどの工程を担えるかを整理することです。その後、具体的な顧客需要を確認し、必要投資と資金計画へ進む順番が基本です。
まとめ|政策との接続を「売上・利益・返済原資」まで説明できる状態へ
結論:中小企業にとって重要なのは17分野に「入ること」ではなく、新しい産業構造の中で自社の役割と資金の流れを説明できることです。
日本成長戦略の戦略17分野と62の主要な製品・技術等は、中小企業に新しい取引や投資の機会を生む可能性があります。しかし、政策名を事業計画へ書き加えるだけでは、経営判断としては十分ではありません。
確認すべきなのは、自社がどの工程を担えるのか、誰に価値を提供するのか、いつ受注し、いつ入金されるのか、追加投資はいくら必要なのか、その資金を何で賄い、何を返済原資とするのかという点です。
政策による投資拡大が期待される局面ほど、資金調達の順番を崩さないことが重要です。まず可能な範囲で小さく需要を確認し、次に受注に必要な運転資金を確保する。継続性が見えてから量産設備や人材へ本格投資し、短期資金を利用した場合は、その後に中長期資金へ組み替える出口まで考えます。
中小企業にとっての本当の機会は、「17分野に入っている会社になること」ではありません。新しい産業構造の中で自社が担える役割を明確にし、その事業性と資金の流れを、顧客と金融機関の双方へ説明できる状態をつくることです。
本記事は、当サイトのコンテンツポリシーに基づき、ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・三坂大作が執筆し、資金調達顧問・丹下浩一が監修しています。
- >日本成長戦略本部/日本成長戦略会議(内閣官房)
- >戦略17分野の「主要な製品・技術等」における官民投資額
- >日本成長戦略本部「危機管理投資」「成長投資」の17の戦略分野
- >17の戦略分野における官民連携での危機管理投資・成長投資の促進
- >経済財政諮問会議・日本成長戦略会議合同会議(首相官邸)
- >成長投資を促進するための金融戦略(金融庁)
- >我が国の産業発展に向けた今後の金融仲介の在り方
- >中小企業成長加速化補助金/中堅等大規模成長投資補助金(中小企業庁)
- >金融仲介機能の発揮/事業性融資の推進(企業価値担保権等)(金融庁)
- >地域金融力強化プランについて(金融庁)
- >都道府県議会議長との懇談会(首相官邸)
- >戦略17分野における「主要な製品・技術等」

早稲田大学理工学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。法人営業・国際業務・市場営業・支店長・内部監査を歴任し、退職後は事業会社にて経営企画・業務統括責任者を経験。銀行の審査側の論理と事業会社経営の実情の双方に通じた資金調達のスペシャリストとして、中堅中小企業の"実行型支援"を展開。
早稲田大学理工学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。法人営業・国際業務・市場営業・支店長・内部監査を歴任し、退職後は事業会社にて経営企画・業務統括責任者を経験。銀行の審査側の論理と事業会社経営の実情の双方に通じた資金調達のスペシャリストとして、中堅中小企業の"実行型支援"を展開。







