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2025.11.07

日本の社会保険料が高い理由は?計算方法や安くするための方法も解説

「毎月の給料から引かれる社会保険料が高すぎる…」と感じている方は多いはずです。実際に給与明細を見ると、手取り額が予想以上に少なくなっていることに驚く方も少なくありません。特に近年は、保険料率の引き上げが続いています。

この記事では、なぜ日本の社会保険料が高いのか、その理由や計算方法について詳しく解説します。また、負担を少しでも軽減するための方法についても触れていきます。

この記事のポイント

  • 日本の社会保険料が高い主な理由は「少子高齢化」と「医療費・社会保障給付の増大」です。
  • 保険料は給与や手当を含む「標準報酬月額」を基に計算され、毎年9月に見直されます。
  • 負担軽減には「所得控除(iDeCoなど)」の活用や、4〜6月の残業調整(標準報酬月額の適正化)が考えられます。
  • 手取り減少による将来不安に対し、HTファイナンスでは経営者様の資金繰りに関するご相談も承っています。

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日本の社会保険料の特徴

近年、多くの人が社会保険料の負担の増加を実感しています。特に、若い世代ほどその重みを感じている傾向にあります。

現在の社会保険料の水準

日本の社会保険料は、給与の約15〜30%を占めており、国際的に見ても決して低い水準ではありません。健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険などを合わせると、かなりの金額になります。

例えば、月収30万円の会社員の場合、社会保険料の負担は約5万円以上になることも珍しくありません。この金額は年々増加傾向にあり、手取り収入を大きく圧迫している状況です。

実際に2010年と比較すると、同じ給与水準でも、社会保険料負担は約10〜15%増加しています。この上昇率は給与の伸び率を大きく上回っており、実質的な可処分所得の減少につながっています。

国際比較からみる日本の負担の大きさ

日本の社会保険料負担を国際的に比較すると、特に年金保険料の負担が大きいことがわかります。OECD諸国の平均と比べても、日本の年金保険料率は高い部類に入ります。

一方で、北欧諸国などは社会保険料率が高いものの、その分社会保障サービスも充実しています。日本の場合は、負担感の割に将来的な給付への不安が大きいという特徴があります。

特に若い世代では、将来自分が年金を受け取れるのかという不安から、保険料負担に対する不満が高まっています。実際、20代・30代の約7割が「将来の年金に不安がある」と回答している調査結果もあります。

2025年問題と将来の負担増

2025年には、団塊世代がすべて75歳以上となり、医療・介護需要がさらに急増することが予測されています。これは、「2025年問題」として広く認識されており、社会保障費の一層の増加が見込まれています。

厚生労働省の試算によれば、2025年の社会保障給付費は約150兆円に達すると予測されており、2018年の約121兆円から大幅に増加します。この増加分を賄うためには、保険料のさらなる引き上げが避けられない状況です。

さらに、少子化の進行により、支え手である現役世代の人口は減少の一途をたどっており、1人あたりの負担はますます増加する見通しとなっています。これにより、今後も社会保険料の上昇傾向は続くと考えられています。

社会保険料が高い背景

日本の社会保険料がこれほど高くなっている、その主な要因について見ていきます。

少子高齢化と医療費の増加

日本の社会保険料が高い最大の理由は、急速に進む少子高齢化です。2021年時点で65歳以上の高齢者人口は、全体の約29%に達しており、世界でも類を見ない高齢化社会となっています。

高齢者の医療費は、若年層に比べて格段に高く、特に75歳以上の医療費は75歳未満の約4倍にもなります。高齢者人口の増加に伴い、医療費全体も右肩上がりで増加し続けています。

さらに、医療技術の進歩により、高額な治療法や最新医療機器の導入が進み、これらをカバーするために、医療保険料の上昇が避けられない状況となっています。例えば、がん治療の新薬や最新の手術法は、かつてに比べて格段に効果が高いものの、それだけコストも増加しています。

社会保障給付の拡大

日本の社会保障制度は、医療、年金、介護、雇用など多岐にわたり、これらのサービスは年々充実してきました。制度の充実は、国民生活の安定につながる一方で、それを支える財源としての保険料も増加することになります。

例えば、介護保険制度は2000年に導入されましたが、当初の保険料に比べて、現在は約1.5倍に増加しています。これは、介護サービスの利用拡大や介護施設の増加、介護職員の待遇改善などが要因となっています。

また、年金制度においても、かつての高度経済成長期には、5人以上の現役世代で1人の高齢者を支える構造でしたが、現在は約2.1人で1人を支える状況になっており、1人あたりの負担が必然的に重くなっています。

社会保険料の具体的な計算方法

社会保険料がどのように計算されるのか、その仕組みを理解することで、自分の負担額の根拠を知ることができます。

標準報酬月額とは

社会保険料を計算する際の基本となるのが、「標準報酬月額」です。これは、単なる給与額ではなく、給与や各種手当を含めた報酬を一定の幅で区分したものです。

標準報酬月額は、実際の月収を5千円刻みの等級に当てはめて決定されます。例えば、月収が28万5千円の場合は28万円、29万3千円の場合は29万円というように、最も近い等級に区分されます。

この標準報酬月額には、基本給だけでなく、通勤手当、残業手当、役職手当なども含まれます。ただし、賞与や臨時的に支払われる手当は含まれません。このため、月々の変動給が多い場合、標準報酬月額も変わる可能性があります。

保険料率と実際の計算

社会保険料は、この標準報酬月額に各保険の保険料率を掛けて計算されます。主な保険料率は、協会けんぽ(健康保険)日本年金機構(厚生年金)厚生労働省(雇用保険)などの公式サイトで最新の料率が公開されています(下記は2023年時点の一般的な料率例です)。

保険の種類 料率
健康保険料 約10%(協会けんぽの場合、地域により異なる)
厚生年金保険料 18.3%
介護保険料 約1.8%(40歳以上65歳未満の場合)
雇用保険料 0.9%(一般の事業の場合)

例えば、標準報酬月額が30万円の場合、健康保険料は約3万円、厚生年金保険料は約5.5万円となります。これらの合計額の半分が労働者負担となるため、給与から天引きされる金額は約4.25万円となります。

保険料率は毎年見直される可能性があり、特に健康保険料は、加入している健康保険組合や協会けんぽの財政状況によって変動します。近年は上昇傾向にあるため、同じ給与でも年々社会保険料負担が増えていく傾向にあります。

定時決定と随時改定

標準報酬月額は、毎年1回「定時決定」と呼ばれる見直しが行われます。これは、4〜6月の3ヶ月間の給与平均をもとに、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額を決定するものです。

また、昇給や降給などで給与に大きな変動があった場合には、「随時改定」が行われます。これは、3ヶ月連続で標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合に適用され、4ヶ月目から新しい標準報酬月額が適用されます。

この仕組みにより、給与の変動が社会保険料にも反映されるようになっています。特に昇給があった場合は、数ヶ月後に社会保険料も増加することを念頭に置いておく必要があります。

社会保険料の負担を軽減する方法

社会保険料の負担は避けられないものですが、適切な対策を取ることで、少しでも負担を軽減することが可能です。

標準報酬月額の適正化

社会保険料の計算基準となる標準報酬月額を適正に管理することで、一定の負担軽減が可能になる場合があります。特に、給与の受け取り方や手当の設定を見直すことが有効です。

例えば、残業が多い職場では、4〜6月の定時決定期間の残業を可能な範囲で調整することで、年間の標準報酬月額が上がりすぎないようにすることができます。もちろん、これは不正な操作ではなく、適法な範囲での調整に限られます。

また、賞与の支給時期や金額配分を工夫することも一つの方法です。賞与は標準報酬月額には直接影響しませんが、賞与に対する社会保険料(賞与保険料)は別途計算されるため、支給時期や金額の分散によって一時的な負担を抑えることができる場合があります。

所得控除の利用

税制上の優遇措置を活用することも重要です。iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などを利用することで、将来に向けた資産形成と同時に、現在の税負担軽減も図ることができます。

特にiDeCoは掛金が全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税の負担を減らすことができ、手取り収入の減少を部分的に補うことが可能です。

社会保険の適用外となる働き方の検討

収入や働き方によっては、社会保険の適用対象外となるケースもあります。例えば、パートタイム労働者で、労働時間や収入が一定基準以下の場合は、社会保険の加入義務がない場合があります。

具体的には、週の所定労働時間が20時間未満、または月額賃金が8.8万円未満の場合は、原則として社会保険の適用対象外となります。ただし、2022年10月からは従業員数101人以上の企業では適用拡大が行われており、基準が変わっている点に注意が必要です。

ただし、社会保険に加入しないことで将来の年金額が減少したり、医療保険の自己負担が増えたりするデメリットもあります。特に国民年金のみの加入となると、将来の年金額が厚生年金に比べて大幅に少なくなる可能性があります。

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社会保険料が個人の家計に与える影響

社会保険料の上昇は、特に若年層や中間所得層の家計に大きな影響を与えています。その具体的な影響を見ていきましょう。

手取り収入の減少

社会保険料の増加は、直接的に手取り収入の減少につながります。近年は給与の伸びが緩やかな一方で、社会保険料は上昇し続けているため、実質的な可処分所得は減少傾向にあります。

例えば、年収400万円の会社員の場合、健康保険と厚生年金の労働者負担だけでも、年間約65万円に達します。これに所得税や住民税を合わせると、手取り収入は年収の約70〜75%程度まで減少します。

この手取り減少は、特に住宅ローンや教育費など大きな固定支出を抱える30〜40代の世帯にとって、深刻な問題となっています。住宅購入や子どもの教育資金の準備など、ライフプランに大きな影響を与える可能性があります。

将来への不安の増大

社会保険料の上昇は、単に現在の家計を圧迫するだけでなく、将来への不安も増大させています。特に、年金制度の持続可能性に対する懸念から、自助努力による老後資金の準備が重要視されるようになっています。

国の試算によれば、老後に必要な資金は夫婦で約2,000万円と言われており、これを準備するためには、計画的な資産形成が欠かせません。しかし、社会保険料負担の増加により貯蓄に回せる資金が減少しているのが現状です。

このような状況下では、前述のiDeCoやNISAなどの制度を活用した効率的な資産形成や、家計全体の見直しがますます重要になっています。また、複数の収入源を確保するなど、リスク分散も考慮する必要があるでしょう。

世代間格差の発生

社会保険制度は、世代間で支え合う仕組みですが、少子高齢化により、その負担と給付のバランスに世代間格差が生じています。現在の高齢者世代に比べ、若い世代ほど負担が大きく給付が小さくなる傾向にあります。

例えば、現在の70代以上の世代は、自分が支払った年金保険料の数倍の給付を受けることが可能ですが、現在の30代以下の世代では、支払った保険料と同等かそれ以下の給付しか期待できないとの試算もあります。

このような世代間格差を是正するため、今後も制度の見直しが行われる可能性が高いと考えられます。具体的には、支給開始年齢の引き上げや給付水準の調整などが検討されており、将来の社会保障制度の変更にも注意を払う必要があります。

社会保険制度の今後の展望

日本の社会保険制度は、大きな転換点を迎えています。今後どのような変化が予想されるのか見ていきましょう。

制度改革の方向性

社会保険制度の持続可能性を確保するため、様々な改革が進められています。年金制度では、マクロ経済スライドによる給付水準の調整や、支給開始年齢の引き上げなどが既に実施または計画されています。

健康保険制度においても、後期高齢者の窓口負担の見直しや、薬価の適正化など、医療費抑制に向けた取り組みが進められています。特に高額な医薬品や先進医療については、費用対効果の観点からの評価も導入されつつあります。

また、全世代型社会保障への移行が目指されており、現役世代の負担軽減と高齢者の応能負担の強化が進められています。世代間の公平性を確保することが、制度改革の大きな方向性となっています。

社会保険と私的保障のバランス

社会保険だけでは十分な保障が得られない可能性が高まる中、私的保障とのバランスが重要になっています。国も公的年金を「老後の収入の柱」としつつも、それだけでは十分ではないことを認め、私的年金や資産形成を促進する政策を打ち出しています。

例えば、iDeCoやNISAの拡充、企業型確定拠出年金の普及促進など、自助努力による資産形成を後押しする制度が整備されてきています。これらを上手く活用することで、社会保険の限界を補完することが可能です。

また、民間の医療保険や介護保険についても、公的保険でカバーできない部分を補完する役割が期待されています。特に先進医療や高度な治療、介護サービスの充実などについては、私的保障の活用が重要となるでしょう。

持続可能な社会保障制度への志向

社会保険制度を将来にわたって持続可能なものとするためには、負担と給付のバランスを適正化するだけでなく、制度自体の効率化や財源の多様化も必要です。

現在、社会保険料や税金といった形での負担に加え、消費税の活用なども含めた財源の多元化が進められています。消費税率の引き上げは、国民の負担増となる一方で、世代を超えた広い負担の分散という意味では一定の合理性を持っています。

また、デジタル化やAIの活用による業務効率化、保険者機能の強化による医療費の適正化なども重要な取り組みです。特に医療分野では、予防医療の推進やデータ活用による効率的な医療提供体制の構築が、医療費の抑制につながると期待されています。

まとめ

日本の社会保険料が高い理由は、主に少子高齢化による支え手の減少と高齢者医療費の増加、社会保障制度の充実、そして2025年問題などの将来的な課題に起因しています。社会保険料は、標準報酬月額をベースに計算され、定期的な見直しが行われるため、給与の変動に応じて変化します。

負担軽減のためには、標準報酬月額の適正管理や家計全体の見直し、税制優遇措置の活用などが有効です。社会保険制度は、今後も5年ごとの制度見直しを含めて改革が続くと予想されるため、制度の動向を注視しながら、私的保障とのバランスを考えた将来設計を行うことが重要でしょう。特に若い世代は、早めに資産形成を始めるなど、長期的な視点での対策を検討することをお勧めします。

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筆者・監修者 三坂 大作(ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役)

筆者・監修者 ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役 三坂 大作(ミサカ ダイサク)

略歴
  • 1985年:東京大学法学部卒業
  • 1985年:三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行 — 表参道支店:法人融資担当
  • 1989年:同行 ニューヨーク支店勤務 — 非日系企業向けコーポレートファイナンス担当
  • 1992年:三菱銀行を退社、資金調達の専門家として独立
資格・登録情報
・経営革新等支援機関(認定支援機関ID:107813001112)
・貸金業務取扱主任者(資格者:三坂大作)
・貸金業登録:東京都知事(1)第31997号
・日本貸金業協会 会員番号:第006355号
専門分野と活動実績
企業の成長を資金面から支えるファイナンスの専門家として、30年以上にわたり中小企業の財務戦略・資金調達を支援。
国内外の法人融資・国際金融業務の経験を基に、経営者に寄り添った戦略的支援を展開。

現在の取り組み
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役として、以下の事業を統括:
・法人向けビジネスローン事業「HTファイナンス」
・個人事業主向けファクタリングサービス
・資金調達および財務戦略に関する経営コンサルティング

経営革新等支援機関として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や金融支援を行い、貸金業登録事業者として、適正かつ信頼性の高い金融サービスを提供しています。
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