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2025.11.06

法人が税金滞納し続けると代表の財産は差し押さえ?影響や対処の仕方について紹介

法人を経営していると、資金繰りの悪化から、税金の納付が難しくなることがあります。法人税の滞納が続くと、法人の財産が差し押さえられるだけでなく、代表者個人の財産にも影響が及ぶ可能性があるので、なるべく滞納を避ける必要があります。

本記事では、法人の税金滞納が招く差し押さえのリスクや、代表者個人への影響について詳しく解説します。また、万が一税金の支払いが困難になった場合の具体的な対処法や、専門家の活用方法についても紹介します。

この記事のポイント

  • 法人税を滞納すると、督促状の送付、財産調査を経て、最終的に法人の預金・不動産・売掛金などが**差し押さえ**られます。
  • 原則、法人の税金で代表者**個人の財産**は差し押さえられませんが、「連帯保証」や「源泉所得税の私的流用」など**例外**も存在します。
  • 口座凍結や資産売却により**事業継続が困難**になるため、滞納したらすぐに**税務署へ相談**し「分割納付」や「納税猶予」を申請することが重要です。
  • 納税資金の確保が難しい場合は、**ビジネスローン**やファクタリングなど早期の資金調達が解決の鍵となります。

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法人の税金滞納とは

法人の税金滞納とは、法人税や消費税、固定資産税などの納付期限までに、支払いができていない状態を指します。

法人税の納付期限

法人税の納付期限は、原則として事業年度終了日から2か月以内とされています。この期限までに納付がなされない場合、税金滞納という状態になります。

例えば、3月決算の会社であれば、5月末日が納付期限となります。この期限を過ぎると、自動的に延滞という状態に陥ります。

納付期限を過ぎると、即日から延滞税が発生するため、滞納状態はできるだけ早く解消することが重要です。

滞納が発生する主な原因

法人が税金を滞納してしまう背景には、いくつかの典型的な原因があります。

最も多いのは、資金繰りの悪化です。売上減少や突発的な支出増加により、手元資金が不足し、納税資金を確保できないケースが多く見られます。

また、税務管理体制の不備も原因の一つです。納税スケジュールの把握ミスや、担当者の引継ぎ不足などにより、納付期限を見落としてしまうこともあります。

さらに、税額計算の誤りにより、予想よりも納税額が大きくなり、準備していた資金では足りなくなるというケースも存在します。正確な税額試算を行うことは、滞納防止の基本です。

法人税滞納後の差し押さえ

税金滞納が続き悪化し続けると、最終的には差し押さえという厳しい措置が取られます。

督促状の送付から差し押さえまで

税金の納付期限を過ぎると、まず税務署から督促状が送付されます。これは、納付期限から概ね50日以内に発送され、発送日から起算して10日以内の納付を求めるものです。

督促状による納付期限を過ぎても納付がない場合、税務署は滞納者の財産調査を開始します。この調査では、預金口座、不動産、売掛金、生命保険など、あらゆる財産が調査対象となります。

財産調査の結果を踏まえて、税務署は差し押さえを執行します。差し押さえは事前通告なく実施されることがほとんどで、突然銀行口座が凍結されるといった事態も起こりえます。

差し押さえられた財産は、原則として公売(競売)にかけられ、その売却代金が滞納税金に充当されます。

税金滞納から差し押さえまでの流れ
納付期限を過ぎる(滞納発生)
督促状の送付(期限から約50日以内)
電話や訪問による催告・財産調査(預金、不動産、売掛金など)
差し押さえ執行(事前通告なし)
差し押さえ財産の換価(公売・競売)
滞納税金への充当

差し押さえの対象となる法人財産

法人税の滞納による差し押さえでは、法人が所有するさまざまな財産が対象となります。

最も一般的なのは、預金口座の差し押さえです。法人名義の普通預金や定期預金などが凍結され、滞納税額に相当する金額が引き出されます。

不動産も重要な差し押さえ対象です。法人所有の土地や建物に差し押さえが入ると、所有権移転などの処分が制限されるだけでなく、最終的には公売にかけられる可能性があります。

売掛金も差し押さえられることがあります。この場合、取引先は法人ではなく税務署に代金を支払うよう通知されます。取引先への影響を最小限に抑えるためにも、滞納状態は早期に解消すべきです。

その他、自動車や機械設備、知的財産権(特許や商標)なども差し押さえの対象となります。法人の事業継続に必要な財産であっても例外ではありません。

法人税を滞納したときの代表者個人への影響

法人税の滞納が続くと、代表者個人にもさまざまな影響が及ぶ可能性があります。ここでは、その詳細を解説します。

法人と個人の財産分離の原則

法人格の独立性により、原則として法人の債務(税金を含む)に対して、代表者個人の財産が差し押さえられることはありません。これは、法人成立の基本的な効果である「有限責任」の原則によるものです。

法人税や法人住民税などの法人課税については、法人自体が納税義務者となるため、これらの税金の滞納があっても、通常は代表者個人の財産は保護されます。

この原則は、中小企業の経営者にとって重要なセーフティーネットとなっています。事業に失敗しても個人の生活基盤は守られるという前提があるからこそ、多くの起業家が事業にチャレンジできるのです。

ただし、法人格の独立性を過信しないことも重要です。以下に説明するように、例外的に個人財産が差し押さえられるケースも存在します。

代表者個人が責任を負う場合

法人と個人の財産は原則として分離されていますが、例外的に代表者個人が責任を負うケースがあります。

最も典型的なのは、銀行借入などで代表者が連帯保証をしている場合です。法人税の滞納により法人の資金繰りが悪化し、銀行借入の返済も滞ると、連帯保証人である代表者個人に返済義務が及びます。

また、源泉所得税や預かり消費税など、「預かり金的性格」を持つ税金の滞納は、特に注意が必要です。これらの税金を、法人が納付せず私的流用したと判断されると、特定の条件下で、代表者個人に第二次納税義務が課される可能性があります。

さらに、脱税行為や法人格の濫用が認められる場合は、法人格否認の法理により、法人のベールが剝がされ、代表者個人の財産も差し押さえの対象となることがあります。故意に税金を免れる行為は、厳しく罰せられることを認識しておく必要があります。

法人税を滞納したときの事業への影響

税金滞納は、法的な問題だけでなく、事業継続の観点からも様々なリスクをもたらします。具体的にどのようなリスクがあるのか見ていきましょう。

事業継続が危うくなる

税金滞納が続くと、事業継続そのものが危うくなるケースが少なくありません。

まず、差し押さえにより事業用の銀行口座が凍結されると、仕入先への支払いや従業員への給与支払いなど、日常的な資金運用ができなくなります。これにより、事業活動が大きく制限されます。資金繰りが回らない状態では、急な支出に対応することが難しく、最悪の場合、事業停止の危機に直面することにもなりかねません。また、仕入れの停止や製造ラインの停止など、事業活動の中核が影響を受けることで、企業の評判も大きく傷つくことがあります。

また、事業用資産(機械設備や車両など)が差し押さえられると、業務の遂行そのものが困難になります。事業継続に必要な資産を守るためにも、税金滞納は早期に解消すべきです。特に、顧客に対する納期や品質の維持が難しくなるため、競争力を失うリスクも高まります。競合他社に市場シェアを奪われると、取り返しのつかない事態になりかねません。

さらに、税金滞納が公知となると、取引先からの信用が失われ、新規取引の停止や既存取引の見直しにつながることもあります。特に、官公庁や大企業との取引では、取引先の納税状況が重視されるケースが多いものです。信用を失うことは、資金調達の難易度を上げ、事業の成長にも悪影響を及ぼします。その結果、企業の成長を妨げる要因となり、長期的な事業運営に支障をきたすことになります。

倒産リスクが高まる

税金滞納は、最終的に倒産リスクを高める要因となります。

差し押さえにより事業資産が失われると、売上の低下を招き、さらなる資金繰り悪化という悪循環に陥りやすくなります。また、金融機関からの融資が受けられなくなることで、資金調達の道が閉ざされてしまいます。これにより、さらなる事業運営が困難になり、利益を得るために必要な活動が停滞します。

税務当局は、他の債権者と異なり、滞納処分という強力な債権回収手段を持っています。税金の滞納処分が進むと、他の債務も返済できなくなり、最終的には倒産に追い込まれることも少なくありません。倒産が進行すれば、企業の社会的信用も失われ、再建が困難になります。

経営危機の予兆を早期に察知することが重要です。税金の納付が難しくなった時点で、それは単なる一時的な資金不足ではなく、事業モデルそのものに問題がある可能性を示唆しています。早期に問題を認識し、適切な対策を講じることで、事業継続の危機を回避することができます。

税金を滞納した際の適切な対応

税金が滞納状態に陥ったとき、パニックになるのではなく、冷静に対処することが重要です。ここでは、具体的な対処法を紹介します。

税務署への相談と分割納付

税金滞納の状況に陥った場合、まず考えるべき選択肢は、税務署への相談です。多くの経営者は、税務署との接触を避けがちですが、実は積極的に相談することで、解決の糸口が見つかることも少なくありません。

相談の際は、滞納に至った経緯や現在の資金状況、今後の見通しなどを正直に説明することが大切です。滞納を放置するよりも、誠意を持って対応する姿勢を示すことで、税務署側も柔軟な対応をしてくれる可能性が高まります。

分割納付の申請を行うことで、一度に大きな金額を支払うのではなく、月々の返済可能額に応じた納付計画を立てることができます。この制度を利用するには、所定の申請書の提出と税務署の承認が必要です。

分割納付が認められると、差し押さえなどの滞納処分が一時的に猶予されることもあります。ただし、分割納付中も延滞税は発生し続けるため、できるだけ早期に完済することが望ましいでしょう。

納税猶予制度の活用

一時的な資金難で税金が納付できない場合、納税猶予制度の活用を検討してもよいでしょう。

納税猶予には、主に二種類あります。一つは「換価の猶予」で、資産の差し押さえは行われるものの、その換価(売却)を猶予してもらう制度です。もう一つは「納税の猶予」で、災害や病気、事業の休廃止など、特別な事情がある場合に認められる制度です。

納税猶予を申請する際は、猶予が必要な理由を証明する資料(財務諸表や資金繰り表など)の提出が求められます。また、原則として担保の提供も必要となります。

猶予が認められると、最大で1年間(特別な事情がある場合は2年間)の納税猶予が与えられます。猶予期間中は、延滞税の一部または全部が免除されるというメリットもあります。制度の詳細を事前に確認することで、自社の状況に最適な申請ができます。

専門家の活用と資金調達

税金を滞納してしまった場合、どのように専門家を活用し、資金を確保すべきかを解説します。

税理士や弁護士への相談

税金滞納問題は、複雑な法的・財務的側面を持つため、専門家のサポートを受けることが解決への近道となります。

税理士は、税務のプロフェッショナルとして、滞納状況の分析や税務署との交渉をサポートしてくれます。特に、分割納付や納税猶予の申請手続きには、税理士の知識と経験が大いに役立ちます。

一方、滞納状況が深刻で法的な対応が必要な場合は、弁護士への相談も検討すべきです。弁護士は、債務整理や事業再生の観点から、総合的な解決策を提案してくれることがあります。

早期に専門家に相談することで、問題が深刻化する前に適切な対策を講じることができます。専門家への相談費用は発生しますが、長期的に見れば、延滞税の軽減や事業継続の可能性を高めるための投資と考えられます。

資金繰り改善のための資金調達

税金滞納を解消するためには、何らかの形で資金を調達する必要があります。状況に応じて、適切な資金調達方法を検討しましょう。資金調達の選択肢を柔軟に選ぶことが、企業の運営において非常に重要です。

銀行融資は、最も一般的な資金調達方法ですが、税金滞納がある状態では、審査が厳しくなることが多いです。そのため、日頃から取引のある金融機関に事情を説明し、事業の将来性をアピールすることが重要です。また、借り入れをする際には、金利や返済期間をよく比較し、過剰な負担を避けるようにしましょう。

ファクタリング(売掛債権の買取)も有効な方法の一つです。将来の売掛金を早期に現金化できるため、緊急の資金需要に対応できます。手数料は高めですが、審査が比較的緩やかで迅速に資金調達できるメリットがあります。しかし、継続的にファクタリングを利用する場合、コスト面をしっかりと把握することが必要です。

資産の売却やリースバックも検討する価値があります。不要な設備や不動産を売却する、あるいは所有資産をいったん売却して再びリースで利用するという方法で、資金を捻出できることもあります。これにより、固定資産を活用しつつ、資金繰りを改善することができます。

複数の資金調達方法を組み合わせることで、より効果的に滞納税金の支払いに充てることができます。資金調達の際は、返済計画も含めた中長期的な資金繰り計画を立てることが重要です。無理なく返済できる範囲で資金調達を行い、事業の健全な運営を維持することが最も重要です。

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税金滞納を未然に防ぐための対策

税金滞納による問題を避けるためには、予防策をとることが何よりも重要です。ここでは、具体的な予防策を紹介します。

計画的な資金管理

税金滞納を未然に防ぐためには、計画的な資金管理が不可欠です。多くの中小企業が陥りがちな誤りは、売上や利益が発生した時点で、その全額を事業拡大や配当などに回してしまうことです。

法人税や消費税などの主要な税金は、通常、事業年度終了後に納付するため、納税資金を事前に確保しておく必要があります。利益の一部を納税用に積み立てる習慣をつけることが重要です。

具体的には、月次決算を徹底し、予想される税額を毎月積み立てる方法が効果的です。税理士と相談しながら、四半期ごとに税額の試算を行い、必要な資金を確保していくことをお勧めします。

専用の税金預金口座を設けることで、事業資金と納税資金を明確に区分けし、納税資金が他の用途に流用されることを防ぐことができます。また、事前に予算を組んでおくことで、急な税金支払いに対応できる準備を整えることができます。

税務カレンダーの活用

納税期限の管理ミスによる滞納を防ぐためには、税務カレンダーの活用が効果的です。

年間の税務スケジュールを一覧にした税務カレンダーを作成し、申告期限や納付期限を経営者や経理担当者が常に把握できるようにしましょう。特に、法人税、消費税、源泉所得税、固定資産税など、複数の税金の期限を管理する必要があります。

納付期限の1ヶ月前には、資金状況を確認し、不足が予想される場合は早めに対策を講じることが重要です。期限ギリギリになって資金繰りに奔走するのではなく、計画的に準備を進めることで、滞納リスクを大幅に減らせます。また、予想外の支出や急な事業投資が必要な場合でも、事前に調整することが可能になります。

また、資金繰りの悪化が予想される場合は、早期に金融機関に相談することも大切です。問題が顕在化する前に対話を始めることで、融資の可能性が高まります。さらに、税務カレンダーを活用することで、従業員の給与支払日や各種経費の支払期限とも調整が取れるため、より円滑な資金管理が可能となります。

まとめ

法人の税金滞納は、延滞税の発生や差し押さえだけでなく、企業信用の低下や事業継続の危機など、さまざまなリスクをもたらします。原則として法人と代表者個人の財産は分離されていますが、連帯保証や特定の条件下では、代表者個人の財産にも影響が及ぶことを理解しておく必要があります。

万が一滞納状態に陥った場合は、放置せずに、税務署への相談や分割納付の申請、納税猶予制度の活用などの対応を早期に行いましょう。また、税理士や弁護士などの専門家の支援を受けることで、より適切な解決策を見つけることができます。今後は、計画的な資金管理と税務カレンダーの活用で、税金滞納を未然に防ぐ体制を整えることが大切です。

「差し押さえ」のリスクが現実になる前に

税金滞納の問題は、1日放置するごとに深刻化します。延滞税は増え続け、差し押さえのリスクは高まります。手遅れになる前に、今すぐ専門家にご相談ください。

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筆者・監修者 三坂 大作(ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役)

筆者・監修者 ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役 三坂 大作(ミサカ ダイサク)

略歴
  • 1985年:東京大学法学部卒業
  • 1985年:三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行 — 表参道支店:法人融資担当
  • 1989年:同行 ニューヨーク支店勤務 — 非日系企業向けコーポレートファイナンス担当
  • 1992年:三菱銀行を退社、資金調達の専門家として独立
資格・登録情報
・経営革新等支援機関(認定支援機関ID:107813001112)
・貸金業務取扱主任者(資格者:三坂大作)
・貸金業登録:東京都知事(1)第31997号
・日本貸金業協会 会員番号:第006355号
専門分野と活動実績
企業の成長を資金面から支えるファイナンスの専門家として、30年以上にわたり中小企業の財務戦略・資金調達を支援。
国内外の法人融資・国際金融業務の経験を基に、経営者に寄り添った戦略的支援を展開。

現在の取り組み
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役として、以下の事業を統括:
・法人向けビジネスローン事業「HTファイナンス」
・個人事業主向けファクタリングサービス
・資金調達および財務戦略に関する経営コンサルティング

経営革新等支援機関として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や金融支援を行い、貸金業登録事業者として、適正かつ信頼性の高い金融サービスを提供しています。
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