2025.11.21
RBFとは?仕組みやメリット・デメリット、おすすめな場合も解説
事業拡大や新規プロジェクトを進める際に、資金調達が必要になることがあります。資金調達は、銀行融資やベンチャーキャピタルからの出資など、さまざまな方法が考えられますが、その中の一つが「RBF」です。
RBFは、将来の売上を基に資金を調達でき、返済額が売上に連動する柔軟な仕組みが特徴です。成長中の企業や、一時的に業績が不安定な企業にとって、魅力的な選択肢となっています。
この記事では、RBFの基本的な仕組みからメリット・デメリット、向いている企業の特徴まで、資金調達の選択肢を広げるための情報を詳しく解説します。
- RBFは「将来の売上」を譲渡して資金を得る、株式希薄化のない調達方法
- 担保・保証人は不要だが、手数料(金利相当)が割高になる傾向がある
- 売上連動返済は柔軟だが、利益率を圧迫するリスクも考慮が必要
- コストを抑えて無担保・無保証で借りるならビジネスローンも有力な選択肢
RBFとは
RBFは、「Revenue Based Financing(レベニュー・ベースド・ファイナンシング)」の略称で、収益連動型の資金調達方法です。
RBFの基本
RBFは、投資家やファンドが企業に資金提供し、企業は毎月の売上の一定割合を返済に充てる方式で、企業の将来の売上(レベニュー)を基に資金を調達する方法です。従来の融資とは異なり、返済額が企業の売上に連動して変動するという特徴があります。
具体的には、資金提供者(投資家やRBF専門の金融機関)が企業に対して資金を提供し、その見返りとして、企業は月々の売上の一定割合を投資家に返済します。売上が多い月は返済額も多くなり、売上が少ない月は返済額も少なくなるという、柔軟な仕組みになっています。
売上に応じた変動型の返済方式により、資金繰りの負担を軽減できることが、RBFの大きな特徴です。固定金額を返済する従来の融資とは異なり、業績に合わせて返済額が調整されるため、事業のキャッシュフローに優しい資金調達方法といえます。
RBFと他の資金調達方法の違い
RBFは、従来の資金調達方法と比較して、いくつかの重要な違いがあります。まず銀行融資との違いは、担保や保証人が基本的に不要である点です。また、返済額が固定ではなく、売上に連動する点も大きく異なります。
ベンチャーキャピタル(VC)などからの出資と比較すると、RBFでは株式を譲渡する必要がないため、創業者や既存株主の持分が希薄化しません。経営権を維持したまま資金調達ができる点が大きなメリットです。
また、融資のように元本と利息という概念ではなく、調達額に対して一定の料率を乗じた総額を返済する仕組みです。例えば1,000万円を調達し料率が1.5倍の場合、最終的に返済する総額は、1,500万円となります。
RBFが注目される背景
近年、RBFが注目されている背景には、従来の資金調達方法では対応しきれないニーズの高まりがあります。スタートアップやベンチャー企業の増加に伴い、成長途上で利益が出ていなくても、将来性のある企業への資金供給の必要性が高まっています。政府もスタートアップや中小企業の多様な資金調達を後押ししており、経済産業省「中小企業向け資金繰り支援策」などでも様々な手法が紹介されています。
また、デジタル化の進展により、サブスクリプションモデルなど、安定した売上が見込める新しいビジネスモデルが増えています。このような予測可能な収益構造を持つ企業にとって、RBFは親和性の高い資金調達手段となっています。
さらに、創業者が、経営権や株式の希薄化を避けながら成長資金を調達したいというニーズも高まっており、RBFはその解決策として注目を集めています。
RBFの仕組み
RBFの具体的な仕組みと、実際にどのようなプロセスで資金調達が行われるのかを見ていきます。
資金調達の基本的な流れ
RBFによる資金調達は、一般的に次のような流れで進みます。まず企業は、RBF提供事業者に申し込みを行い、必要書類を提出します。主に、過去の売上データや事業計画などが求められます。
提出された書類をもとに、RBF提供事業者は審査を行います。この際、特に重視されるのは、安定した売上実績と将来の成長性です。審査通過後、調達金額や返済条件(料率、返済期間など)の交渉・合意を経て契約を締結します。
契約締結後、企業には数日以内に資金が提供されるケースが多く、迅速な資金調達が可能です。銀行融資のような長期の審査期間を要さないため、急ぎの資金需要にも対応できます。
資金提供後は、合意した条件に基づき、月々の売上の一定割合(通常5%〜20%程度)を返済していきます。返済は通常、毎月の売上が確定した後に、自動的に引き落とされる仕組みになっています。
返済の仕方
RBFの返済方法は、その柔軟性が大きな特徴です。毎月の返済額は、基本的に「月間売上×返済割合」で計算されます。例えば、月間売上が500万円で返済割合が10%の場合、その月の返済額は50万円となります。
ただし、多くのRBFプログラムでは、返済期間の上限が設定されています。一般的には、18ヶ月から36ヶ月程度の期間内での完済が求められます。この期間内に総返済額に達しない場合は、残額を一括返済するケースもあります。
また、返済総額は、調達金額に料率を掛けた金額です。料率は、一般的に1.3倍から1.8倍程度で、企業の業績や成長性、リスクなどによって変動します。
例えば、1,000万円を調達し、料率が1.5倍、返済割合が10%、返済上限期間が24ヶ月の場合、返済総額は1,500万円となります。月間売上が600万円の場合、月々の返済額は60万円です。なお、月間売上が変動すると、それに応じて返済額も比例して変動します。

RBFの審査で重視されるポイント
RBFの審査では、従来の銀行融資とは異なる観点が重視されます。最も重要視されるのは、安定した売上実績です。多くのRBF提供事業者は、最低でも6ヶ月〜12ヶ月の売上実績を求めます。
また、月間の安定した売上規模も確認をされます。RBFを提供する事業者によって異なりますが、一般的に、月間売上が数百万円以上あることが望ましいとされています。
さらに、粗利率の高さも審査のポイントになります。サービス業など粗利率が高いビジネスモデルは、RBFの審査において有利に働きます。これは、高い粗利率が安定した返済能力を示す指標となるためです。
事業の成長性や将来性も重要な審査基準です。RBF提供事業者は、将来的に売上が増加すると見込まれる企業に対して、積極的に資金提供する傾向があります。
興味深いことに、赤字企業であっても、安定した売上があれば審査に通る可能性があります。これは、収益性よりも売上の安定性と成長性を重視するRBFならではの特徴です。
RBFのメリット
RBFは、従来の資金調達方法と比較して、企業経営者にとって魅力的なメリットを多く持っています。
経営権の維持が可能
RBFの最大のメリットの一つは、経営権を維持したまま資金調達ができる点です。ベンチャーキャピタルなどからの出資では、株式の一部を譲渡する必要があり、場合によっては経営に対する発言権も生じます。
しかしRBFでは、株式の譲渡は必要なく、創業者や既存株主の持分が希薄化しません。これにより、創業者のビジョンに沿った経営判断を続けることができます。
また、取締役会への参加や定期的な報告義務などの制約も少ないため、経営の自由度を保ったまま事業に集中できます。特に、自社のビジョンやミッションを重視する創業者にとって、このメリットは非常に大きいといえるでしょう。
担保や保証人が不要
RBFでは、基本的に担保や個人保証が不要です。これは、銀行融資と大きく異なる点であり、多くの中小企業やスタートアップにとって大きなメリットとなります。
銀行融資では、不動産などの担保や代表者の個人保証が求められることが一般的です。担保となる資産を持たない企業や、個人保証のリスクを避けたい経営者にとって、RBFは有力な選択肢となります。
事業の将来性と売上実績を評価基準とするRBFは、有形資産よりも無形資産(ビジネスモデルや顧客基盤など)を重視する、現代のビジネス環境に適した資金調達方法といえるでしょう。
売上連動型の柔軟な返済
RBFの大きな特徴である売上連動型の返済構造は、企業のキャッシュフロー管理において大きなメリットをもたらします。売上が多い月は返済額も増えますが、売上が少ない月は返済額も減少するため、資金繰りへの負担が軽減されます。
特に、季節変動のある事業や、成長過程で売上の変動が大きい企業にとって、この柔軟な返済構造は非常に有利です。固定返済額の融資と異なり、業績に合わせた返済が可能なため、資金ショートのリスクを低減できます。
例えば、夏季に売上が集中するような事業では、夏は多く返済し、冬は少なく返済するといった柔軟な資金計画が立てられます。業績に合わせた返済計画により、事業運営に集中しやすくなるでしょう。
調達までがスピーディー
RBFは従来の融資と比較して、審査から資金調達までのスピードが非常に速いことも大きなメリットです。多くのRBF提供事業者は、申し込みから1週間程度で資金提供を行います。
銀行融資では、申し込みから融資実行まで1ヶ月以上かかることも珍しくありません。急な事業拡大の機会や、キャッシュフローの一時的な悪化など、迅速な資金調達が必要な場面において、RBFは大きな強みを発揮します。
また、審査プロセスもオンラインで完結することが多く、煩雑な書類作成や銀行との何度もの面談といった手間も省けます。忙しい経営者にとって、手続きの簡便さも重要なメリットといえるでしょう。
RBFのデメリット
RBFには、多くのメリットがある一方で、検討すべきデメリットも存在します。また、RBFの提供事業者にも注意が必要です。RBFは通常、「貸付(融資)」ではなく、「売上連動の支払い請求権の譲渡」のスキームを用いる場合が多いのが特徴です。従って、貸金業の規制を回避する事業者が多くあります。具体的には、ベンチャーデットファンド、FinTech系資金調達プラットフォーム、銀行のファンド子会社、マーチャントキャッシュアドバンス(MCA)事業者によるサービス提供が主流です。資金調達を検討する際は、これらのデメリットも十分に理解しておく必要があります。
調達コストが高い
RBFの最も大きなデメリットの一つは、銀行融資などと比較して、調達コストが高い点です。一般的なRBFでは、調達額に対して1.3倍〜1.8倍の返済が求められます。これは、年率に換算すると、場合によっては20%以上の金利に相当することもあります。
例えば、1,000万円を調達し、料率1.5倍、24ヶ月で返済する場合、単純計算で500万円のコストがかかります。銀行融資の金利が年数%程度であることを考えると、資金調達コストの差は大きいといえるでしょう。
このコストの高さは、資金の使途に対するリターンが十分に見込めるかどうかを、慎重に検討する必要があります。短期的な運転資金よりも、投資効果の高い事業拡大や設備投資などに活用するのが望ましいでしょう。
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売上実績が必要
RBFを利用するためには、一定期間の売上実績が必要です。多くのRBF提供事業者は、最低でも6ヶ月〜12ヶ月の売上履歴を要求します。また、月間の最低売上額の基準を設けていることも一般的です。
このため、創業間もない企業や、まだ安定した売上が発生していない段階の企業にとっては、RBFを利用することが難しいというデメリットがあります。一定の事業実績が求められる点は、創業初期の資金調達手段としては制約となるでしょう。
また、B2B企業など売上サイクルが長い企業や、プロジェクト型で売上が不定期に発生する企業も、RBFの利用が難しい場合があります。そのため、安定した月次売上が見込める事業モデルとの相性が良いといえます。
負債として扱われる
RBFは会計上、基本的に負債として計上されます。これは、銀行融資と同様ですが、RBFの返済総額(調達額×料率)が全て負債として計上されるため、財務諸表上の負債比率が高くなる可能性があります。
将来的に、銀行融資や他の資金調達を検討している企業にとって、財務バランスへの影響を考慮する必要があります。負債比率が高くなることで、融資審査に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
また、RBFの返済は売上連動型のため、毎月の返済額が変動します。この変動性が、会計処理や資金計画を複雑にする可能性もあります。特に、売上予測が難しい事業では、返済計画の立案にも課題が生じるかもしれません。
返済期間の制約がある
RBFには通常、返済期間の上限が設定されています。一般的には18ヶ月〜36ヶ月程度で、この期間内に合意した総返済額を返済する必要があります。
もし予定通りの売上が立たず、期間内に返済が完了しない場合、残額を一括返済するといった条件が付されていることが多いでしょう。このような返済期間の制約は、長期的な視点での資金計画に影響を与える可能性があります。
また、売上が予想を大きく下回った場合、返済期間の後半で返済負担が急増するリスクもあります。特に、成長予測が不確実な企業や、季節変動の大きい事業では、この制約によるリスクを慎重に評価する必要があるでしょう。
RBFに適している場合
RBFは、すべての企業に適した資金調達方法ではありません。特定の特徴を持つ企業にとって、RBFは効果的な選択肢となります。
成長段階にある場合
RBFは、特に成長段階にある企業に適しています。すでに一定の売上実績があり、今後の成長が見込めるものの、まだ十分な利益を出せていない企業にとって、RBFは魅力的な資金調達手段となります。
特に、急速な成長を見込む拡大期の企業にとって、売上連動型の返済構造は大きなメリットです。売上が増加するにつれて返済額も増えるため、成長とともに資金調達のコストを回収していくことができます。
例えば、マーケティング投資や人材採用など、短期的には費用がかかるものの、中長期的には売上増加につながる投資に対して、RBFは効果的に活用できるでしょう。成長のための資金を調達しつつ、その成長の果実から返済を行うという好循環を生み出せる可能性があります。
株式希薄化を避けたい場合
創業者や既存株主が、株式の希薄化を避けたい場合、RBFは有効な選択肢となります。ベンチャーキャピタルなどからの出資では、株式の一部を譲渡する必要がありますが、RBFでは株式譲渡なしで資金調達が可能です。
特に、創業者の経営理念やビジョンを大切にしている企業にとって、外部からの経営介入なしに資金調達できることは大きな魅力です。自社のペースとビジョンに沿った成長を実現しながら、必要な資金を調達できます。
また、将来的に株式公開(IPO)を目指している企業にとっても、株主構成をシンプルに保ちながら成長資金を調達できるRBFは、戦略的な選択肢となるでしょう。複雑な株主構成は、IPOプロセスを複雑化させるリスクがありますが、RBFならばそのリスクを避けることができます。
銀行融資が難しい場合
従来の銀行融資では審査が厳しく、融資を受けることが難しい企業にとって、RBFは代替的な資金調達手段となります。特に、以下のような特徴を持つ企業は、RBFの検討価値があります。
まず、創業から間もなく財務実績が少ない企業です。銀行は、通常3〜5年の財務実績を重視しますが、RBFでは、6ヶ月〜1年程度の売上実績があれば検討対象となります。
また、赤字経営ながらも売上が安定している企業も、RBFの適用対象となる可能性があります。銀行融資では収益性が重視されますが、RBFでは売上の安定性と成長性が重視されるためです。
さらに、担保となる資産が少ない企業にもRBFは適しています。IT企業やサービス業など、有形資産が少ない企業でも、安定した売上があればRBFによる資金調達が可能です。
過去の財務トラブルがあり、銀行との関係構築が難しい企業にとっても、RBFは新たな選択肢となるでしょう。RBF提供事業者は過去の信用情報よりも、現在の事業状況と将来性を重視する傾向があります。
もし「銀行融資は難しいが、RBFの高い手数料は避けたい」とお考えなら、独自の審査基準を持つ無担保・無保証のビジネスローンの検討をおすすめします。
予測可能な収益モデルを持つ場合
RBFは特に、予測可能で安定した収益モデルを持つ企業との相性が良いでしょう。売上が安定的に発生し、将来の売上予測が立てやすいビジネスモデルであれば、RBFの柔軟な返済構造を最大限に活用できます。
特に、サブスクリプションモデルなどの定期収益が見込めるビジネスは、RBFとの親和性が高いといえます。毎月安定した収益が発生するため、返済計画も立てやすく、RBF提供事業者からも高い評価を受けやすいでしょう。
また、既存顧客からのリピート率が高いビジネスも、RBFに適しています。安定した顧客基盤があれば、将来の売上予測の確度も高まり、RBFの審査においてもプラスに働きます。
さらに、季節変動があっても、その変動パターンが予測可能であれば、RBFは効果的に活用できます。売上に連動した返済構造により、繁忙期に多く返済し、閑散期の返済負担を軽減することが可能です。
RBFに関するよくある質問
まとめ
RBF(Revenue Based Financing)は、将来の売上を基に資金調達し、売上に連動して返済する新しい資金調達方法です。経営権を維持したまま資金調達できる点や、担保・保証人が不要である点、売上に応じた柔軟な返済構造などが、大きなメリットとして挙げられます。
一方で、調達コストが高い点は見過ごせません。年利換算で20%〜数十%になるケースもあり、長期的な資金繰りを圧迫するリスクがあります。コストを抑えたい場合は、銀行融資や低金利のビジネスローンを優先すべきです。。RBFは特に、成長段階にある企業や、株式希薄化を避けたい企業、銀行融資が難しい企業などに適した資金調達手段といえるでしょう。
資金調達方法を選ぶ際は、自社の状況や目的に最適な方法を見極めることが重要です。RBFの特徴を理解した上で、他の資金調達手段と比較検討し、必要に応じて併用することで、効果的な資金戦略を構築することができます。まずは、自社の事業計画と照らし合わせて、RBFが適切な選択肢となるかを検討してみてください。
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