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2025.09.04

不動産担保ローンは共同名義・共有持分でも利用可能?担保を設定するときの注意点についても解説

事業資金の調達方法として不動産担保ローンを検討する際に、共同名義となっている不動産を所有している場合があります。例えば、配偶者や親族と共有している不動産を担保にすることができるのか、一人の判断だけで担保設定が可能なのかなど、判断が難しくなるケースも少なくありません。

共同名義の不動産は、名義人全員が権利を持つ共有財産であるため、担保設定にあたっては共有者全員の同意が必要になるなど、通常の不動産担保ローンとは異なる手続きが必要になることがあります。また、自分の共有持分のみを担保に融資を受ける場合にも、一定の条件や注意点が存在します。

この記事では、共同名義や共有持分の不動産で不動産担保ローンを利用する場合の条件や、必要な手続きを詳しく解説します。さらに、共有不動産を活用した資金調達をスムーズに進めるための具体的なポイントについても紹介します。

不動産担保ローンと共同名義物件の基本

共同名義の不動産担保ローンについて詳しく見ていく前に、まずは不動産担保ローンの基本と共同名義物件の特徴について見ていきます。

不動産担保ローンとは

不動産担保ローンは、所有する不動産を担保として、金融機関から融資を受ける借入方法です。一般的に無担保ローンと比較すると、融資額が大きく、金利が低く、返済期間も長めに設定できるという特徴があります。

担保となる不動産の評価額によって融資可能額が決まりますが、通常は不動産評価額の50〜80%程度が融資の上限となります。不動産担保ローンは、事業資金や運転資金の調達、設備投資、事業拡大など、さまざまな用途に活用できます。

担保価値が高ければ高いほど有利な条件で融資を受けられるため、事業者にとって重要な資金調達手段のひとつとなっています。

共同名義・共有持分の不動産とは

共同名義の不動産とは、複数の人が共同で所有権を持つ不動産のことです。法律上は共有不動産と呼ばれ、民法上の共有の規定が適用されます。例えば、夫婦や親子、兄弟姉妹、あるいはビジネスパートナーなどが、共同で不動産を所有するケースが該当します。

共有持分とは、共有不動産における各所有者の権利の割合を示すものです。例えば、AさんとBさんが50%ずつの持分で不動産を共有している場合、それぞれが不動産の2分の1の権利を持っていることになります。

共有持分は登記簿上に記載され、各共有者の持分に応じた権利と責任が生じます。固定資産税などの費用負担や、不動産から生じる収益の分配なども、原則として持分に応じて行われます。

単独所有と共同所有の法律上の違い

単独所有の不動産と共同所有の不動産には、法的に重要な違いがあります。単独所有の場合、所有者は自分の判断だけで不動産の処分や管理を決定できますが、共有不動産ではそうはいきません。

共有不動産の場合、民法の規定により、不動産の処分には共有者全員の同意が必要です。また、変更を伴う管理行為にも共有者全員の同意が必要となります。通常の管理行為については、持分の過半数の同意で決定できますが、重要な決定には全員の合意が求められます。

このような法的な違いが、共有不動産を担保に融資を受ける際にも影響してきます。金融機関は、担保不動産に対する権利関係が明確であることを重視するため、共有不動産の場合は、単独所有よりも慎重な審査が行われるのが一般的です。

共同名義不動産での担保ローン利用

共同名義の不動産でも担保ローンを利用することは可能ですが、いくつかの条件や特徴を理解しておく必要があります。

全体担保と持分担保の違い

共同名義不動産を担保にする場合、大きく分けて「全体担保」と「持分担保」の2つの方法があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

全体担保は、不動産全体を担保として設定する方法です。この場合、共有者全員の同意が必要となり、全員が連帯債務者または物上保証人になることが一般的です。金融機関にとってはリスクが低いため、より有利な条件で融資を受けられる可能性があります。

一方、持分担保は、自分の共有持分のみを担保として設定する方法です。この場合、融資を受ける人だけが債務者となりますが、融資額は自分の持分相当分に限られます。また、持分だけを担保にする場合でも、多くの金融機関では、他の共有者の同意を求めるケースが一般的です。

全体担保の方が、融資条件が有利になる傾向があるため、可能であれば全体担保での融資を検討することをおすすめします。

金融機関が審査で重視するポイント

金融機関は、共同名義不動産を担保にした融資を行う際、通常の審査項目に加えて以下のポイントを重視します。

まず、共有者間の関係性が重要視されます。親子や夫婦など、親族間の共有であれば比較的融資を受けやすい傾向にありますが、友人や知人との共有の場合は、慎重な審査が行われることが多くあります。

また、共有持分の割合も重要なポイントです。申込者の持分が大きいほど、融資を受けやすくなります。持分が少ない場合、担保価値が低くなるため、融資額が制限されたり、審査が厳しくなったりする可能性があります。

さらに、共有者全員の信用情報や返済能力も確認されます。特に全体担保の場合、連帯債務者となる共有者全員の信用情報が審査対象となるため、一人でも信用情報に問題があると、融資が難しくなることがあります。

融資可能な金融機関の種類

共同名義不動産を担保にした融資を提供している金融機関はいくつかありますが、対応方針は機関によって異なります。

銀行は、一般的に担保評価や審査基準が厳格ですが、低金利での融資が期待できます。特に地方銀行や信用金庫などは、地域密着型の営業を行っているため、地元の不動産事情に詳しく、柔軟な対応をしてくれることもあります。

信販会社やノンバンクは、銀行と比較すると審査基準がやや緩やかで、銀行で融資を受けることが難しい場合の選択肢になります。ただし、金利は銀行より高めに設定されていることが多くあります。

不動産担保ローンを専門に扱うローン会社も存在します。これらの会社は、不動産担保融資に特化しているため、共同名義不動産に対しても、独自の審査基準を持っていることがあります。

各金融機関の提供条件を比較検討することで、最適な選択ができるでしょう。複数の金融機関に相談して、条件を比較することをおすすめします。

共同名義不動産で担保設定するための条件

共同名義の不動産を担保にするためには、いくつかの重要な条件をクリアする必要があります。ここでは、その主な条件について解説します。

共有者全員の同意取得

共同名義不動産を担保に入れる際に最も重要なのが、共有者全員の同意です。これは、民法上の規定に基づいており、不動産に抵当権を設定することは処分行為に該当するため、共有者全員の同意が必要となります。

同意の取得方法としては、抵当権設定契約書への共有者全員の署名・捺印が一般的です。また、融資を受ける金融機関によっては、同意書の提出を求められることもあります。

共有者の中に未成年者がいる場合は、法定代理人(通常は親権者)の同意も必要になります。また、共有者が遠方に住んでいる場合や連絡が取りにくい場合は、事前に十分な時間的余裕をもって、同意取得の手続きを進めることが重要です。

共有者全員の同意がなければ担保設定ができないため、事前に共有者との良好な関係構築と丁寧な説明が不可欠です。

物上保証人の設定

共同名義不動産を担保にする場合、融資を受ける人以外の共有者は、「物上保証人」となることが一般的です。物上保証人とは、自分が借りたお金ではないにもかかわらず、自分の財産(この場合は不動産の持分)を担保として提供する人のことを指します。

物上保証人になるということは、債務者が返済不能になった場合、担保不動産が競売にかけられるリスクを負うことを意味します。そのため、物上保証人になることの意味とリスクを十分に理解した上で同意する必要があります。

金融機関によっては、物上保証人に対しても信用情報の照会や収入証明書の提出を求めることがあります。これは、万が一の際に物上保証人が代わりに返済する能力があるかどうかを確認するためです。

物上保証人の設定に際しては、専門家(司法書士や弁護士)のアドバイスを受けながら進めることが望ましいでしょう。特に親族以外の共有者がいる場合は、トラブル防止のためにも専門家の助言が重要です。

可能な親族関係の範囲

共同名義不動産の担保融資において、共有者同士の関係性は審査の重要なポイントになります。一般的に、親族間の共有不動産の方が融資を受けやすい傾向にあります。

多くの金融機関では、3親等以内の親族が共有する不動産であれば、比較的スムーズに担保設定が行えることが多いものです。具体的には、配偶者、親子、兄弟姉妹、祖父母と孫、叔父叔母と甥姪などが該当します。

一方、親族関係がない友人や知人、ビジネスパートナーなどとの共有不動産の場合は、審査が厳しくなる傾向があります。これは、親族以外の共有関係では、将来的なトラブルのリスクが高いと判断されるためです。

ただし、金融機関によって、親族の範囲に関する基準は異なります。中には、親族関係に厳しい制限を設けていない金融機関もありますので、事前に複数の金融機関に相談することをおすすめします。

親族間の共有不動産の方が融資審査で有利になることが多いため、担保設定を検討する際は参考にしてください。

共同名義不動産担保ローンの進め方

共同名義不動産を担保にしたローンを、実際に利用する際の手順や必要書類について解説します。

申込から融資実行までの流れ

共同名義不動産を担保にしたローンの申込から融資実行までの一般的な流れは、以下のとおりです。

まず、融資を希望する金融機関に事前相談を行います。この段階で、共同名義不動産を担保にした融資が可能かどうか、およその融資条件などを確認します。金融機関によっては、事前審査の段階で必要書類の一部提出を求められることもあります。

事前相談で問題がなければ、正式な融資申込を行います。この際、必要書類を提出し、金融機関は本格的な審査を開始します。審査では、担保不動産の評価や申込者(および連帯債務者・物上保証人)の信用情報、返済能力などが総合的に判断されます。

審査が通過すると、融資条件の最終確認と必要書類の準備に入ります。融資金額、金利、返済期間などの融資条件に合意したら、抵当権設定契約書の作成や、共有者全員の同意書の準備を進めます。

すべての書類が整ったら、金融機関と契約を締結し、抵当権設定登記を行います。登記完了後、融資金が振り込まれ、融資実行となります。

事前に共有者との十分な話し合いと合意形成が融資実現のカギとなります。特に、同意取得に時間がかかる可能性がある場合は、余裕をもったスケジュール設定が重要です。

準備すべき必要書類

共同名義不動産を担保にしたローンを申し込む際に必要な書類は、一般的な不動産担保ローンの書類に加えて、共同名義特有の書類が必要になります。

基本的な必要書類としては、本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)、所得証明書(確定申告書や源泉徴収票など)、不動産関係書類(登記簿謄本、固定資産評価証明書など)、事業計画書や資金使途説明書などがあります。

共同名義特有の書類としては、共有者全員の同意書、物上保証人になる共有者の本人確認書類、物上保証人の所得証明書などが必要になることがあります。また、共有者間の関係性を証明する書類(戸籍謄本など)の提出を求められることもあります。

さらに、不動産の状態を確認するために、不動産の写真や図面、周辺環境の説明資料などを求められることもあります。

これらの書類は、金融機関によって若干異なりますので、申込前に必要書類のリストを確認し、漏れのないように準備することが重要です。特に、同意書や物上保証人関連の書類は、取得に時間がかかることがありますので、早めに準備を始めることをおすすめします。

共同名義不動産を担保にした融資の事例

ここでは、共同名義不動産を担保にした融資の具体的なケースを紹介します。

夫婦共有の自宅不動産を事業資金の担保にする場合

まず、夫婦が共有する自宅を担保として事業資金を調達した事例があります。個人事業を営むA氏は、妻のBさんと共有名義(それぞれが半分ずつ所有)の自宅を担保に、事業拡大のための500万円を調達しようとしていました。

地元の信用金庫に相談した結果、夫婦が共有する不動産であれば、融資が可能という回答を得ました。そのため、A氏が債務者となり、Bさんが物上保証人として同意することで、融資が実行されました。自宅の評価額は3,000万円あり、融資希望額が評価額の17%程度と低かったため、審査は比較的順調に進みました。

兄弟共有の投資不動産を担保にする場合

次に、兄弟が共有している投資用不動産を担保に、事業資金を調達した事例があります。C氏とD氏は兄弟であり、祖父から相続した賃貸アパートをそれぞれが半分ずつ所有していました。

C氏は、自分の事業のために1,000万円の融資を希望して銀行に相談したところ、兄弟共有の不動産を担保にするには、D氏の同意と物上保証人としての信用確認が必要とのことでした。その後、D氏の協力を得て必要な手続きを済ませ、結果的に評価額が4,000万円の不動産を担保として、その25%にあたる1,000万円の融資を受けることができました。

元夫婦の共有不動産を担保にする場合

さらに、離婚した元夫婦が共有している不動産を担保にする事例もあります。E氏と元妻のF氏は、離婚後も財産分与が完了しておらず、共有名義の不動産が残っていました。E氏は、事業資金のために融資を希望しましたが、元妻であるF氏との関係が良好ではなく、同意を得ることが難しい状況でした。

複数の金融機関に相談しましたが、共有者であるF氏の同意が得られない限り、融資は難しいという回答でした。最終的には、E氏がF氏との交渉を重ね、F氏の持分を買い取ることで不動産を単独名義に変更し、その後あらためて担保融資を受けました。

共同名義不動産で担保ローンを受けるメリット

共同名義不動産を担保にしたローンには、いくつかのメリットがあります。ビジネスにおける資金調達の選択肢として、検討する価値があるでしょう。

単独所有より担保価値が高まる可能性がある

共同名義不動産を全体担保として設定する場合、単独所有の一部だけを担保にする場合と比較して、担保価値が高まる可能性があります。これにより、より大きな融資額を獲得できる可能性が広がります。

例えば、評価額5,000万円の不動産を2人で等分に共有している場合、持分のみを担保にするなら、担保価値は2,500万円(評価額の50%)になります。しかし、不動産全体を担保にすれば、担保価値は5,000万円になるため、より多くの融資を受けられる可能性があります。

また、不動産全体を担保にすることで、部分的な担保よりも金融機関にとってのリスクが低減されるため、金利や融資条件が有利になることも期待できます。特に大規模な事業資金が必要な場合、この担保価値の違いは重要なポイントになります。

全体担保で融資額の上限を引き上げることが可能なため、大きな資金調達を検討している事業者にとっては魅力的な選択肢となります。

事業資金調達の選択肢が拡大する

共同名義不動産を担保として活用できることで、事業資金調達の選択肢が大きく広がります。特に単独では十分な担保を持たない事業者にとって、共有不動産を担保に加えることで融資の可能性が広がります。

例えば、個人事業主や中小企業経営者が、事業拡大や設備投資のための資金を調達する際、無担保ローンでは融資限度額が低く、金利も高めになりがちです。しかし、共同名義の不動産を担保として提供できれば、より大きな金額を低金利で借りられる可能性が高まります。

また、不動産担保ローンは、資金使途が比較的自由であることが多いため、運転資金や事業拡大資金、借り換え資金など、事業のさまざまなニーズに対応できます。金融機関によっては、法人・個人事業主向けに特化した不動産担保ローン商品を提供していることもあります。

さらに、共同名義不動産を担保にすることで、銀行だけでなく信用金庫やノンバンクなど、幅広い金融機関からの融資を検討できるようになります。これにより、自社の状況に最も適した融資先を選ぶことが可能になります。

低金利での借入れが可能になる

不動産担保ローンの最大のメリットの一つは、無担保ローンと比較して低金利での借入れが可能になることです。共同名義不動産を担保に設定することでも、この低金利のメリットを享受できます。

一般的に、不動産担保ローンの金利は年1〜5%程度であることが多く、無担保ビジネスローンの金利(年5〜15%程度)と比較すると、大幅に低い金利設定となっています。この金利差は、長期の借入れや大きな融資額の場合、返済総額に大きな差をもたらします。

例えば、1,000万円を5年間借りる場合、金利が年10%の無担保ローンと年3%の不動産担保ローンでは、返済総額に約200万円以上の差が生じることもあります。このような金利メリットは、事業の収益性にも大きく影響します。

また、不動産担保ローンは長期の返済期間を設定できることが多いため、月々の返済負担を軽減できるというメリットもあります。これにより、事業のキャッシュフローに余裕をもたせることができます。

金利負担の軽減が事業収益に直接貢献するため、資金繰りに余裕をもった事業運営が可能になります。

共同名義不動産で担保ローンを受けるデメリット

共同名義不動産を担保にしたローンにはメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点もあります。適切な判断をするために、これらのリスクも理解しておきましょう。

返済不能時のリスクが大きい

共同名義不動産を担保にしたローンで最も重大なリスクは、返済不能になった場合の担保権実行(競売)です。このリスクは、債務者だけでなく、物上保証人となっている共有者全員に影響します。

返済が滞った場合、金融機関は担保不動産に対して競売の申立てを行う可能性があります。競売となれば、不動産は市場価格より安く売却されることが多く、共有者全員が不動産を失うことになります。

特に共有不動産が居住用住宅の場合、競売により住まいを失うリスクがあります。また、事業用不動産の場合は、事業の継続にも影響を与える可能性があります。

さらに、競売で得られた金額が借入金額を下回った場合、その差額(残債)は債務者の責任となります。債務者が支払えない場合でも、物上保証人には残債の支払い義務はありませんが、共有不動産を失うという大きな損失を被ることになります。

返済不能時は共有者全員が不動産を失うリスクがあることを十分に理解し、返済計画は慎重に立てる必要があります。

共有者との関係が悪化する可能性が高い

共同名義不動産を担保にすることで、共有者間の関係に亀裂が生じるリスクも考慮する必要があります。特に、融資を受ける当事者以外の共有者にとっては、自分が借りていないお金のために、自分の不動産が担保に入れられることになるため、不安や不満を感じる可能性があります。

例えば、返済が滞った場合、物上保証人となっている共有者は、自分の落ち度ではないにもかかわらず不動産を失うリスクがあります。このような状況は、家族間やビジネスパートナー間の信頼関係を損なう原因になりかねません。

また、共有者の中から一人でも担保設定に同意しない人がいると、担保ローンの利用自体が困難になります。このような同意を得られない状況も、共有者間の関係に緊張をもたらす可能性があります。

さらに、融資条件や返済計画について、共有者間で認識の相違があると、後々のトラブルの原因になることもあります。特に親族以外との共有不動産の場合、このリスクは一層高まります。

事前の十分な説明と情報共有で信頼関係を維持することが重要です。融資の目的や返済計画、リスクなどを共有者全員が理解し、合意形成を図ることがトラブル防止につながります。

融資審査の難易度が高い

共同名義不動産を担保にした融資は、単独所有の不動産を担保にする場合と比較して、審査の難易度が高くなる傾向があります。これは、権利関係が複雑になることによるリスクを、金融機関が慎重に評価するためです。

多くの金融機関では、共同名義不動産の担保融資に対して、より厳格な審査基準を設けています。例えば、共有者全員の信用情報を確認したり、共有者間の関係性や持分割合に基づいてリスク評価を行ったりします。

また、共有者が多数いる場合や、親族以外の第三者との共有不動産の場合は、さらに審査のハードルが上がります。これは、共有者が多いほど権利関係が複雑になり、将来的なトラブルのリスクが高まると判断されるためです。

さらに、共有持分のみを担保にする場合は、持分の処分が困難であることから、金融機関によっては融資を断られることもあります。特に持分割合が少ない場合や、不動産の種類によっては、担保価値が低く評価されることがあります。

審査の難易度が高いということは、融資実行までに時間がかかることも意味します。急ぎの資金調達には向かない可能性があるため、余裕をもったスケジュール設定が必要です。

通常より準備と時間を要することを念頭に計画することが大切です。特に急ぎの資金調達の場合は、他の融資方法も並行して検討することをおすすめします。

担保設定時の注意点

共同名義不動産に担保を設定する際には、さまざまな注意点があります。ここでは、トラブルを避けるための対策と注意点を解説します。

共有者間の事前の合意形成

共同名義不動産を担保に入れる前に、共有者間で十分な話し合いを行い、合意形成を図ることが極めて重要です。この事前の合意形成が、後々のトラブルを防止する鍵となります。

まず、融資の目的や使途について明確に説明し、共有者全員の理解を得ることが必要です。融資金が共有者全員の利益になるものであれば、同意を得やすくなります。例えば、共有不動産の価値を高めるリフォームや修繕のための資金調達であれば、共有者全員にメリットがあることを説明できます。

また、返済計画や返済不能時のリスクについても具体的に説明し、共有者全員が理解した上で同意することが重要です。特に物上保証人となる共有者には、そのリスクと責任について詳しく説明する必要があります。

さらに、合意内容を書面にまとめておくことも有効です。融資の目的、金額、返済計画、担保設定の内容、各共有者の役割、不測の事態が発生した場合の対応などを明記した文書を作成し、共有者全員で確認・保管しておくことで、後々の認識の相違によるトラブルを防ぐことができます。

丁寧な説明と情報共有が、信頼関係維持の基本となります。特に親族以外との共有不動産の場合は、より慎重かつ透明性の高い進め方が求められます。

最適な金融機関の選択

共同名義不動産を担保にした融資における金融機関の対応は、機関ごとに大きく異なります。この違いを理解し、自分のケースに最適な金融機関を選ぶことが重要です。

大手銀行は、一般的に審査基準が厳格で、共同名義不動産の場合はさらに慎重な審査を行います。特に親族以外との共有不動産や、持分割合が小さい場合などは、融資を受けにくい傾向があります。一方で、融資が実行されれば、低金利で大きな融資額を期待できます。

地方銀行や信用金庫は、地域密着型の営業を行っているため、地元の不動産事情に詳しく、比較的柔軟な対応をしてくれることがあります。特に長期の取引関係がある場合は、個別の事情を考慮した判断をしてもらえる可能性があります。

ノンバンクや不動産担保ローン専門会社は、銀行より審査基準が緩やかで、共同名義不動産に対しても独自の審査基準を持っていることがあります。金利は銀行より高めですが、銀行で断られたケースでも融資を受けられる可能性があります。

また、同じ金融機関でも、支店や担当者によって対応が異なることもあります。経験豊富な担当者であれば、共同名義不動産の担保設定に関する適切なアドバイスが得られる可能性が高まります。

複数の金融機関に相談して最適な条件を見つけることをおすすめします。その際、担当者との相性も重要なポイントとなります。

相談によるトラブルの未然防止

共同名義不動産を担保にする際には、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。これらのトラブルを未然に防ぐための対策を講じておくことが重要です。

まず、専門家(司法書士や弁護士など)のアドバイスを受けながら、手続きを進めることをおすすめします。特に共有関係が複雑な場合や、親族以外との共有不動産の場合は、法的な観点からの助言が重要です。専門家は、担保設定に関する法的リスクを指摘してくれるだけでなく、適切な対応策も提案してくれます。

さらに、共有不動産の将来的な扱いについても、事前に話し合っておくことが有効です。例えば、いずれかの共有者が自分の持分を売却したい場合や、不動産全体を売却したい場合の対応方法などを決めておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

加えて、返済計画に余裕を持たせることも重要です。返済が滞れば担保不動産が競売にかけられるリスクがあるため、景気変動や事業状況の変化などを見越した、余裕のある返済計画を立てることが大切です。

事前準備と専門家の関与でリスクを最小化するようにしましょう。特に、大きな金額の融資や長期の返済期間を伴う場合は、より慎重な対応が求められます。

まとめ

共同名義や共有持分の不動産であっても、適切な条件と手続きを踏むことで、担保ローンの利用は十分に可能です。融資額の上限が高まる、低金利での借入れができるなどのメリットがある一方で、返済不能時のリスク、共有者との関係悪化のリスク、審査の難易度の高さなどのデメリットも存在します。

成功のカギは、共有者間での十分な合意形成と情報共有、適切な金融機関の選択、そして専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることです。まずは複数の金融機関に相談し、自分のケースに最適な融資条件を探してみましょう。また、共有者全員にメリットがある資金調達であることを明確に説明し、理解と協力を得ることが重要です。

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監修者 三坂大作
筆者・監修者 ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役 三坂 大作(ミサカ ダイサク)

略歴
・1985年:東京大学法学部卒業
・1985年:三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
 表参道支店:法人融資担当
・1989年:同行 ニューヨーク支店勤務
 非日系企業向けコーポレートファイナンスを担当
・1992年:三菱銀行を退社、資金調達の専門家として独立
資格・登録情報
・経営革新等支援機関(認定支援機関ID:107813001112)
・貸金業務取扱主任者(資格者:三坂大作)
・貸金業登録:東京都知事(1)第31997号
・日本貸金業協会 会員番号:第006355号

専門分野と活動実績
企業の成長を資金面から支えるファイナンスの専門家として、30年以上にわたり中小企業の財務戦略・資金調達を支援。
国内外の法人融資・国際金融業務の経験を基に、経営者に寄り添った戦略的支援を展開。

現在の取り組み
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役として、以下の事業を統括:
・法人向けビジネスローン事業「HTファイナンス」
・個人事業主向けファクタリングサービス
・資金調達および財務戦略に関する経営コンサルティング

経営革新等支援機関として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や金融支援を行い、貸金業登録事業者として、適正かつ信頼性の高い金融サービスを提供しています。

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