2025.10.06
担保なしで融資を受けることはできる?金利や審査基準の特徴、成功させるためのコツについて解説
事業資金が必要になったとき、担保がないと融資を受けられないのではないかと心配される方は少なくないでしょう。特に、設立間もない企業や小規模事業者の場合、担保となる不動産や有価証券を十分に保有していないケースがほとんどです。
結論から言うと、担保なしでも融資を受ける方法は存在します。本記事では、担保なしで受ける融資の種類や特徴、審査基準、申込時の注意点、そして成功のためのポイントまで詳しく解説します。
担保なしで融資を受けられる無担保融資とは
無担保融資は、その名の通り物的担保や保証人を用意することなく、企業や経営者自身の信用力をもとに資金を借り入れる方法です。
無担保融資の仕組み
従来の融資では、不動産や有価証券などの担保を設定することで、金融機関はリスクを軽減してきました。しかし無担保融資では、企業の信用力や事業の将来性を重視した審査が行われます。
金融機関は、財務諸表や事業計画書、過去の取引履歴などを総合的に判断し、返済能力を評価します。このため、財務内容や事業計画の質が融資可否を大きく左右する点が特徴です。
無担保融資は、審査から融資実行までのスピードが比較的早く、資金調達の機動性が高いという利点があります。急な資金需要に対応できるため、成長機会を逃さないためのツールとして活用されています。
有担保融資との主な違い
無担保融資と有担保融資には、いくつかの違いがあります。以下に、その主な違いをまとめました。
項目 | 無担保融資 | 有担保融資 |
---|---|---|
担保 | 不要 | 必要 |
金利 | 高め(3%〜18%) | 低め(0.5%〜3%) |
限度額 | 低め | 高め |
融資スピード | 早い | 遅め |
審査の重点 | 返済能力、事業計画 | 担保価値 |
有担保融資と比較すると、無担保融資は、手続きの簡便さや融資スピードで優れています。一方で、リスクに見合う金利設定となるため、資金コストは高くなる傾向があります。
また、担保がないことによるリスクを金融機関側が負うため、融資限度額は比較的低めに設定されることが一般的です。そのため、大規模な設備投資などには不向きな場合があります。
無担保融資の主な種類
無担保融資には様々な種類があり、それぞれ特徴や向いている用途が異なります。自社の状況や資金ニーズに合わせて、最適な融資方法を選ぶことが重要です。
ビジネスカードローン
これは、事業者向けのカードローン型融資商品です。あらかじめ設定された限度額の範囲内で、必要なときに必要な金額だけ借り入れできる利便性が最大の特徴です。
運転資金や仕入れ資金など、日常的な資金需要に対応するのに適しています。審査から融資実行までのスピードが速く、急な資金需要にも柔軟に対応できる点が大きなメリットです。
金利は年3%〜18%程度と幅広く、企業の信用力や取引実績によって異なります。一般的に、限度額は数百万円から数千万円程度で、返済方法は借入残高に応じた約定返済が基本となります。
多くの金融機関やノンバンクが提供しており、インターネット申込に対応している商品も増えています。最短即日での審査・融資に対応している商品もあり、資金繰りの緊急時に頼りになるでしょう。
法人向けフリーローン
法人向けフリーローンは、一括で融資を受け、毎月定額で返済していく融資商品です。資金使途が比較的自由で、設備投資や事業拡大など、明確な計画に基づく資金調達に向いています。
ビジネスローンと比較して、一度に大きな金額を借り入れできる点が特徴です。金利は年3%〜14%程度で、融資金額や返済期間によって変動します。
返済計画が明確に立てられるため、資金計画を立てやすく、計画的な経営に役立ちます。一般的な返済期間は1年〜7年程度で、長期的な視点での資金調達が可能です。
審査では、事業計画の実現可能性や将来の収益性が重視されるため、具体的で説得力のある事業計画の提出が重要になります。設備投資や店舗改装、システム導入など、明確な投資対象がある場合に適しています。
※ビジネスローンについて詳しくはこちらの記事もご覧ください。
『ビジネスローンとは?早さと手軽さがメリットの事業者向け金融商品を徹底解説』
信用保証協会付融資
信用保証協会付融資は、信用保証協会が保証人となることで、担保なしでも比較的有利な条件で融資を受けられる公的制度融資です。
信用保証協会が、企業の債務を保証することで金融機関のリスクを軽減するため、金利は年1%〜3%程度と低めに設定されています。ただし、別途信用保証料(年0.5%〜2.2%程度)が必要となります。
公的制度を活用した安定した融資であり、融資限度額も比較的高めに設定されているのが特徴です。一般的に、融資限度額は8,000万円程度(制度によっては数億円以上)となっています。
資金使途は、運転資金や設備資金など幅広く対応しており、創業資金や事業承継資金など特定目的の制度も用意されています。申込みは金融機関を通じて行い、金融機関と信用保証協会の双方の審査を経て融資が実行されます。
審査期間はやや長めですが、民間の融資商品よりも金利負担が小さく、長期の借入が可能です。
無担保融資の審査で重視されるポイント
無担保融資では、金融機関はどのような点を重視して審査を行うのかについて、すなわち審査基準を理解することが大切です。
財務状況からみる返済能力の評価
無担保融資の審査では、企業の財務状況が最も重視される要素の一つです。金融機関は、決算書をもとに、返済能力を多角的に分析します。
特に、売上高・利益の推移、自己資本比率、債務超過の有無などが重要視されます。売上と利益の安定した成長傾向があれば、返済能力の高さを示す好材料となります。
また、キャッシュフロー状況も重要な判断材料とされます。売上は好調でも、資金繰りが悪化している企業は、融資リスクが高いと判断されます。月次の資金繰り表を提出し、安定したキャッシュフローを示せると有利です。
債務償還年数(借入金÷年間キャッシュフロー)も重要な指標で、一般的に10年以内が望ましいとされています。既存の借入金が多すぎると、返済能力に疑問符がつく可能性があります。
代表者の信用情報
中小企業の場合、代表者個人の信用情報も、審査において重要な要素となります。特に無担保融資では、代表者の人格や信用力が融資判断に大きく影響します。
個人信用情報機関に登録されている情報をチェックされ、過去の返済遅延や債務整理などのネガティブ情報があると、融資が困難になる可能性があります。個人の借入状況や返済履歴の健全性が重視されます。
また、代表者の資産状況も間接的に評価されます。個人資産が充実していれば、万が一の際の返済能力を示す材料となり得ます。特に経営者保証を求められるケースでは、個人の資産状況が重要視されます。
さらに、業界での経験年数や実績、事業への取り組み姿勢なども審査対象となります。面談時の受け答えや事業への理解度、誠実さなども金融機関は評価しています。
事業計画の具体性と実現可能性
無担保融資では、特に資金の使途や返済計画を含む事業計画の具体性と実現可能性が重視されます。金融機関は、「融資金がどのように事業に活かされ、どのように返済されるのか」を明確に理解したいと考えています。
具体的な数値目標に基づく説得力ある事業計画を提示することが重要です。売上予測については、過去の実績や市場動向に基づいた現実的な数字であることが求められます。
また、業界動向や競合分析、自社の強みなどを含めた事業環境の分析も評価ポイントです。なぜその事業が成功するのか、競合との差別化要因は何かを明確に示すことで、金融機関の理解を得やすくなります。
資金使途についても、漠然とした「運転資金」ではなく、何にいくら必要で、それによってどのような効果が見込まれるのかを具体的に説明することが重要です。融資後の返済シミュレーションも含めると、さらに説得力が増します。
担保なしの融資を成功させるためのポイント
無担保融資を成功させるためには、審査基準を理解した上で、事前準備と適切な対応が重要です。ここでは、具体的な成功のポイントを解説します。
財務内容の整理と改善
融資審査に向けて、まずは自社の財務状況を客観的に分析し、必要に応じて改善を図ることが重要です。決算書は、金融機関の審査における最も基本的な判断材料となります。
決算内容の適切な整理と改善に取り組むことで、融資の可能性が高まります。特に、資金繰りに余裕がある時期に、財務改善に着手することをおすすめします。
具体的には、不要な借入金の整理や返済額の見直しを行い、過剰な負債を減らすことが効果的です。また、売掛金の回収サイクル短縮や在庫の適正化などで、運転資金効率を改善することも重要です。
可能であれば、決算前に税理士と相談し、自己資本比率の向上や収益性の改善を図るための対策を講じましょう。特に黒字決算を続けることは、金融機関からの信頼獲得に大きく貢献します。
申込のタイミングや複数申込
融資の申込タイミングも、成功率に大きく影響します。融資が必要になってから慌てて申し込むのではなく、計画的に行動することが重要です。
資金ショートが予測される、3〜6ヶ月前から準備を始めるのが理想的です。余裕をもった申込タイミングの設定により、落ち着いて審査に臨むことができます。
また、複数の金融機関に同時に申し込むことは、避けたほうが無難です。信用情報機関には照会履歴が残るため、短期間に多数の申込があると、資金繰りに窮しているという印象を与えかねません。
まずは取引実績のある金融機関や、自社の業種への融資に積極的な金融機関から検討するとよいでしょう。事前に融資担当者と関係構築を図り、自社の事業について理解を深めてもらうことも有効です。
必要書類の適切な準備
融資審査では、提出書類の内容や質もしっかり確認されます。必要書類を適切に準備し、自社の事業や返済能力を正確に伝えることが成功への鍵です。
一般的に必要となる書類には、決算書(過去3期分)、試算表、事業計画書、資金繰り表、会社概要書、法人税申告書などがあります。これらの書類は、整合性のある明確な内容で準備することが重要です。
特に事業計画書は、資金使途や返済計画を具体的に示し、融資の必要性と返済能力を、説得力をもって伝える重要な書類です。単なる数値の羅列ではなく、市場分析や競合状況、差別化戦略などを含む充実した内容にしましょう。
また、金融機関から追加資料の要請があった場合は、速やかに対応することも重要です。迅速かつ誠実な対応は、企業としての信頼性を高める要素となります。
無担保融資のリスク
無担保融資は、便利な資金調達手段ですが、いくつかのリスクや注意点も理解しておく必要があります。適切なリスク管理を行うことで、安全に活用しましょう。
金利が高めになる
無担保融資の最も大きな注意点は、有担保融資と比較して金利が高めに設定されることです。無担保であるため、リスクプレミアムが上乗せされ、年3%〜18%程度の金利設定となるケースが一般的です。
返済負担を正確に試算して計画を立てることが非常に重要です。借入時は返済できるように見えても、事業環境の変化で返済が困難になるケースも少なくありません。
借入前に、最悪のシナリオも想定した返済シミュレーションを行うことをおすすめします。売上が予想を下回った場合でも返済可能な計画を立てることで、返済リスクを軽減できます。
また、複数の融資を組み合わせることで、全体の金利負担を抑える工夫も有効です。例えば、一部を低金利の公的融資で調達し、残りを民間の無担保融資で補うといった方法が考えられます。
融資限度額の制約がある
無担保融資では、有担保融資と比較して、融資限度額が低めに設定される傾向があります。事業規模や資金ニーズによっては、必要な資金を十分に調達できない可能性があります。
このような制約に対しては、複数の融資商品を組み合わせた資金調達戦略を検討する必要があります。例えば、設備投資には長期の制度融資を、運転資金には担保なしビジネスローンを活用するといった方法です。
また、資金調達手段を融資だけに限定せず、リースやファクタリング、クラウドファンディングなど、多様な手法を組み合わせることも有効な対応策です。特に設備投資の場合は、購入ではなくリースを活用することで、初期投資を抑えることができます。
さらに、段階的な事業拡大を計画し、実績を積み重ねながら、徐々に融資限度額を引き上げていく長期的な戦略も検討価値があります。
※ファクタリングについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
『ファクタリングの仕組みとは?メリット・デメリットや利用の流れを解説』
返済遅延時のリスクが大きい
無担保融資では、返済遅延が発生した場合のリスクが、特に大きいことを理解しておく必要があります。遅延が発生すると、信用情報機関に記録が残り、今後の融資に大きな影響を及ぼします。
返済に困難が生じそうな場合は、早期に金融機関に相談して対応策を協議することが最も重要です。多くの金融機関は、事前相談があれば、返済条件の見直しなど柔軟な対応を検討してくれます。
具体的な対処法としては、返済額の一時的な減額や返済期間の延長、一部の借り換えなどが考えられます。また、経営改善計画を提示し、収益構造の改善に取り組む姿勢を示すことも重要です。
万が一の資金ショートに備えて、常に一定の手元資金を確保しておくことも有効なリスク対策です。特に、売上の季節変動が大きい業種では、余裕をもった資金計画が必要となります。
担保なしの融資である無担保融資の活用事例
無担保融資は、様々な事業シーンで活用される柔軟な資金調達手段です。ここでは、無担保融資がどのように活用されているかの一般的な事例を紹介します。
急な運転資金の調達
多くの企業では、予期せぬ運転資金の不足に直面することがあります。例えば、仕入れコストが予想以上に上昇した場合など、急ぎの資金調達が求められます。このような状況では、無担保で迅速に資金を調達できるビジネスローンが有効です。
無担保融資では、担保がなくても審査が通る可能性が高く、事業の安定性や経営者の信用情報が評価されます。審査スピードも速く、必要な資金を迅速に確保することができ、事業機会を逃さずに運転資金を補填することが可能です。
事業拡大時の資金調達
事業が拡大し、新たなサービスや製品の投入に必要な資金が発生することがあります。その際、無担保融資を複数組み合わせることで、柔軟に資金調達が可能です。例えば、信用保証協会付きの融資とフリーローンを組み合わせることにより、適切な金利で資金を調達できます。
事業計画書や市場分析を詳細に説明し、過去の実績をもとに信頼を築くことが重要です。このような準備を通じて、安定した業績と将来の成長性が評価され、計画通りの融資を受けることができます。適切な資金調達により、事業拡大を成功に導くことが可能です。
公的融資の実行前のつなぎ資金の調達
公的融資の申請後、審査に時間がかかる場合があります。特に大型設備投資など、即時の資金調達が必要な場合には、無担保融資を活用することで、短期間で資金を確保できます。例えば、公的融資の実行までのつなぎ資金として、無担保融資を利用することで、事業機会を逃すことなく対応できます。
無担保融資をつなぎ融資として活用する場合、金利はやや高めになることがありますが、急な資金調達が求められる場面では、そのスピードが大きな利点となります。公的融資が実行された後には、無担保融資を全額返済し、事業を順調に進めることができます。
まとめ
無担保融資は、物的担保や保証人がなくても、企業の信用力や事業の将来性を評価して融資を受けられる、重要な資金調達手段です。融資スピードが早く、手続きが簡便である一方、金利は高めで限度額が低めという特徴があります。
融資成功のためには、財務内容の整理と改善、適切なタイミングでの申込、説得力のある事業計画の提示が重要です。また、融資後の金利負担や返済計画も十分に検討し、資金繰りに余裕をもたせることが大切です。自社の状況に最適な融資方法を選び、計画的に資金調達を行うことで、事業の成長や安定した経営に役立てることができるでしょう。
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