物価高に負けるな!企業活動を支える経済政策:今年のキーポイントとは―②

新たな経済政策の提案
ここからは、これまでの経済政策の限界を踏まえ、新しい経済政策の方向性について考えていきたいと思います。鍵になるのが、MMTという現代貨幣理論の考え方です。これはざっくり言うと、国が自国の通貨を発行できるのであれば、政府債務の拡大を恐れずに大きな政策を実施できるのではないかという積極財政を支える理論です。ただし、実行の仕方を誤ると、ハイパーインフレーションのようなリスクも指摘されています。
また、短期的経済政策の方向性としては、消費行動を刺激する施策と企業活動支援をセットで行うことが重要です。例えば、低所得者向けの購買支援策や、雇用調整助成金の拡充などが具体例として挙げられます。経済政策の展望を考えるならば、単発の支援だけではなく、需要と供給の両面にアプローチする戦略が求められる訳です。
では、その新しい経済政策によって具体的にどのようなメリットがあるのか、そしてどのようなリスクも伴うのか、次の小見出しで解説していきます。
MMTの考え方とその応用
MMT(Modern Monetary Theory)と呼ばれる学説は、国が財政支出を積極的に行うべきだと主張しており、経済政策の新提案として近年話題になりました。詳しくは過去のブログで説明していますので、参考にしてください。
一般的な考え方とは異なり、政府が借金を重ねても、自国通貨建ての負債であればデフォルト(債務不履行)にはならないという概念がポイントです。
しかし、その一方で経済政策の影響として、通貨の信用不安やインフレ率の高騰が懸念されるため、実際に導入するには慎重な検討が必要です。経済政策の効果を最大化するには、財政出動による需要拡大と同時に、企業が生産能力を高める準備を整えておかなければいけません。それが、活性化する消費活動を支え、経済成長、GDP向上につながると考えられます。
例えば、財政規模を拡大して公共事業や社会保障を充実させれば生活実感改善へつながりやすく、消費行動の活性化が期待できます。一方で、財政支出の増大が継続すれば、インフレが過度に進み、物価高対策が難しくなる恐れもあります。このようにMMTの導入には利点とリスクが表裏一体であり、各国の事例や経済政策のトレンドを参考に、適切なバランスを取る必要があるのです。
短期的経済政策の方向性
まず、短期経済政策では、消費行動の刺激策と企業活動のサポートが両立されるように組み立てることがポイントでしょう。たとえば、給与面や税制を調整して実質賃金を底上げしつつ、企業の税負担を軽減する施策を組み合わせることで、雇用を維持しながら内需を拡大できる可能性があります。国民民主党の提唱する課税所得控除に関わる“103万円の壁”を176万円まで引き上げるという政策は効果的であるとの思われます。
さらに、経済政策の改革を現実的に進めるためには、政策のメリットとデメリットを短期間で検証し、順次調整していくアプローチが求められます。経済政策の専門家だけでなく、企業経営者や市民も経済政策の議論に加わりながら決定していくことが、経済政策の必要性を認識してもらううえでも有効でしょう。
企業側としては、新たな短期政策が打ち出された際に即座に対応策を検討する必要があります。業種によっては恩恵を受けやすい政策がある一方で、逆にコスト増を招くような制度変更に備えなければならないこともあるからです。
例えば、食料品の消費税減税によって、外食産業にはマイナスの影響があり、中小事業者の倒産が増えると懸念されています。それは、仕入れ時の税額控除の消失による負担増が起きるというのが理由です。通常、飲食店は食材購入時に支払う消費税(仮払)を、売上時に顧客から預かる税金(仮受)と相殺して納税しています。もし食料品の消費税を0%にすると、仕入れ時の税額控除が使えず、売上には10%の消費税がかかるままなので、仕入時の消費税額の控除がなくなる分、差額的に純粋な税負担が増加するのです。中小規模の飲食店では、月額15万円、年間180万円程度の追加負担になるとの試算例もあります。このように、一つの経済政策の変更は、功罪ある面もあるので、その点の救済措置も必要になると言えるでしょう。
企業活動への具体的な対策
新しい経済政策の発表や法改正が出てきた際、企業が何をしたら良いのか具体的な手掛かりを持っているか否かで、その後の経営成績は大きく変わることがあります。ここでは、企業家が取り組める対策として、コンサルティング会社を使った戦略立案や生活実感改善と消費行動刺激の関係性に着目してみます。
多くの経営者が感じているように、今の日本では経済政策の課題が山積しています。そのため、経済政策の未来を考えるとき、企業側にも自律的な取り組みが求められます。コンサルティング会社に頼るだけでなく、企業自ら従来の経済政策の比較や経済政策の評価を行い、新しい波に合わせる形で戦略を作り上げる視点が大切です。
また、生活実感改善が消費行動を活発化させるとの観点から、広い意味で企業経営においても社会貢献要素を見直す機会が増えています。今後は、単に売上だけを追いかけるのではなく、社会全体の経済成長につながる活動が評価されやすくなるでしょう。そういった意識の変化が、企業にも長期的な安定利益をもたらす可能性があります。
コンサルティング会社の活用方法
経済政策のトレンドを読み解き、経済政策の戦略を具体化するにあたり、コンサルティング会社は強い味方になり得ます。たとえば、ヒューマントラストのような企業は、最新の政策動向や政策の実務面のサポート、そして企業特有の課題に合わせたソリューションを提案してくれます。
しかし、ただコンサルに丸投げするだけでは意味がありません。依頼する側である企業自身が、自社の経営方針や強みを明確に整理し、どの部分に経済政策の効果を取り込みたいかを考え、その方針をコンサルタントと共有することで、はじめて企業活動支援が具体化されます。そうして得られた施策をもとに、実質賃金上昇のための給与体系改革や、経済政策の限界をふまえたリスクヘッジ策などを計画的に進めていくことが大切でしょう。
コンサルティング会社はあくまで補助輪・伴走者の役割であり、最終的な経営判断を下すのは経営者自身です。従来の経済政策を検討するだけでなく、経済政策の事例や、海外の成功例を取り入れながら柔軟に変化していく心構えを持っておきたいところです。
生活実感の改善と消費刺激
企業経営で見落とされがちなのが、生活実感改善と消費行動の関係です。人々が経済成長を実感できるときこそ、積極的に買い物をし、サービスを利用する傾向が強まります。消費が活性化すれば、企業の売上は上がり、さらなる投資や給与引き上げが可能になるでしょう。
一方で、物価高対策が不十分だと、生活の負担感が大きくなるため、むしろ消費が落ち込むリスクもあります。たとえば、従業員の働き方や福利厚生を改善して企業内部で生活実感を高めることは、外部からの人材確保にも有利に働くかもしれません。そうした取り組みが企業のイメージアップにつながり、顧客や取引先への信頼にも良い影響を与えます。
最終的に、生活実感の向上は各種経済政策の効果をより実感しやすくする要素と言えます。経済政策の限界が指摘される中であっても、企業が自ら消費者目線を取り込み、継続的に需要を作り出していく新しいビジネスモデルを模索すれば、経済を回していく原動力となるでしょう。
経済政策における企業活動支援策は、こうした企業活動の戦略的側面をバックアップする税制や補助金の設計が伴っているべきだと思います。
まとめ:企業が取るべき戦略と政策への対応
ここまで見てきたように、物価高、実質賃金の停滞、日本GDP停滞などの問題は複合的な要因で引き起こされており、従来の経済政策だけでは十分な打開が難しい場面が多々あります。それでも、政治と経済政策の関係を理解しながら、企業は経済政策の改革や新しい経済政策提案を自社のビジネスに取り込むことで、成長余地を広げることが重要です。
MMTを含む新たな経済政策の展望には、まだまだ未知数の部分もありますが、短期経済政策や生活実感改善を通じて消費行動を刺激していく政策パッケージ路線は、多くの企業にとってもチャンスにつながるでしょう。ヒューマントラストのようなコンサルティング会社の助けを借りながら、経済政策の戦略を自社の強みに合わせて最適化する工夫を重ねることで、リスクを抑えつつ企業活動支援を最大限に活用する道が開けるはずです。
いずれにせよ、経済政策の必要性がこれほど叫ばれている今こそ、企業家は自ら情報をキャッチし、経済政策の評価や比較を行い、柔軟で戦略的な行動を取ることが求められます。最終的には、社会全体の生活実感改善と経済成長がまとまって前進する形こそが、企業の安定と拡大に最も寄与するからです。こうした視点を大切に、現在の物価高に負けず、未来を見据えたビジネスを展開していきましょう。ヒューマントラストでは、事業統括の三坂を中心に、多様な事業活動に対応するコンサルティングを実施できるように準備していますので、気軽にご連絡ください。